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高齢者におススメ「上手な転びかたの予行練習」

「こけたらあかんで」「こけて骨折ったら寝たきりになるで」「気いつけて歩きや」年輩の方が集まる場所での声。転倒してケガをする方が多いです。みなさん他人事ではありません。

では100%転倒しない方法はあるのでしょうか。「う~ん・・赤ちゃんみたいにハイハイするとか?」なるほど、両手両膝を着いてたら、バランスを崩して転ぶことはほぼ無いでしょう。
「こけたらあかん」とわかっていても、立って動くなら転倒から逃れることはできないのです。

高齢者向けに『転倒予防教室』が多く開催されてますが、『転倒とはどういう経過をたどるのか』それを体験することはしてないようです。実施してるのは主に筋トレやバランス運動。しかし転倒のリスクがある私たちには、転倒予防の運動といっしょに『転ぶとはどういうことなのか、どこをケガしやすいのか』を体験することが大事だと思うのです。
「はあ? こける練習せえ言うこと?」「はい、そうです」身を守ることも練習しようなんです。

なぜなら次のような動作を長期間してない方がいるからです。
・床に座る(お尻を着く)
・床に手を着く
・床に膝を着く
・床に寝そべる(特にうつ伏せ)
これらは転倒したとき伴う動きです。なのにこれさえもできなかったら、転倒したときに身を守れず大ケガにもつながります。

昔は生活環境が和風だったので、高齢になっても畳にしゃがむ、座る、横になるなど、せざるを得なかったです。和式トイレでは用を足すたびにスクワットしなければなりません。ところが現代は西洋化が進み、学校や仕事、社会生活はほとんどイスです。さらに高齢になると、畳に座るよりイスが便利、布団に寝るよりベッドが楽ちん。安全安楽のために住宅改修もします。どんどん床に密着した生活が減っていきます。
内閣府のデータでは、介護が必要となった原因に「転倒・骨折」が12.5%(女性の場合15%)となってます。地球のおばちゃんは「ちょっと、こけた時どないすんのん!」と言いたいのです。

例えば1年間、床に手を着いたことが無い人がいたとします。その人が転ばないようにと転倒予防の運動をがんばっていても、いざ転倒したとき瞬時に適切に手を着くことは難しいです。慣れてない動作を速いスピード行わなければなりません。とっさに体が反応してくれません。
ですから、転倒の経過をスローで予行練習してみたら、少しはイメージトレーニングができると思うのです。

〇予行練習の例
転倒にはいろいろな場面がありますが、ここでは『立つ姿勢から床に寝た状態になる。これが想定外に一瞬に起こる』とします。
種目➡3つ、Ⓐ前方、Ⓑ側方、Ⓒ後方
順番➡逆回しからスタート。
1番目:下から上(転んだ体勢から立ち上がる。重力に逆らう動きなので自分のペースでできる)
2番目:上から下(立位からゆっくり転んだ体勢になる)

前方に転ぶ(手首や足首の骨折が多い)
床から:うつ伏せ➡手を着く➡四つ這い➡膝立ち➡足裏を着く➡立ち上がる
立位から:立つ➡膝を着く➡手も着く➡うつ伏せ
 
側方に転ぶ(太もも、手首、肩の骨折が多い)
床から:横向きに寝る➡手を着く➡体を起こす➡座る➡膝を立てる➡立つ
立位から:立つ➡しゃがむ➡手を着く➡足を横へ出す➡横向きに寝る
 
後方に転ぶ(頭部障害、腰や胸の圧迫骨折が多い)
床から:あお向けに寝る➡手と肘を着いて背中を丸くして起き上がる➡手で床を押してお尻を上げて立ち上がる
立位から:立つ➡しゃがむ➡お尻と手を着く➡肘を着き背中を丸くして転がる➡あお向けになる。

以上の動きをゆっくりと行い、「転ぶということは、この流れが瞬時に起こるんだ」と想像します。私もやってみました。丁寧にやるとむずかしい。転ぶのは、あらゆる部分を使う複雑な動きだと思いました。

さて、これらの予行練習をしたら転んだ時にケガしないのか。そうではありません、本物は一瞬の出来事ですから。それでも避難訓練みたいに、いざという時「こういうふうに転ぶんだな」「こういうケガをしやすいんだな」と予行練習しておくことは役に立つと思うのです。

地球のおばちゃんも、転んだとき最小限のダメージで済むように、しゃがんだり、手や膝を着いたり、寝転がったりを面倒くさがらず、普段の生活でやっていきます!



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