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#68 新たな年度へ向けて、心身の健康を取り戻す

私たちは、時には友達や家族と遊びに出かけたり、
ひとりであっても、買い物や散歩などに出かけたりします

あるいは、休みの日にまとめて好きな映画を観ようとか、
好きなことをやろうとか、考えながらも日々仕事をしています

ほぼすべての方々が、毎日何かしら働いています
週に2日休める方もいれば、1日しか休めない方もいるかもしれません
職場に出勤する方もいれば、家で仕事をする方もいます

このように私たちにとって仕事、あるいは働くということは、
ものすごく人生の中でも重要な意味を占めています

そして1日の中でも、仕事をしている時間というのは長いわけです

仏教の教えの中でも、この仕事について説かれています
それが、正命しょうみょうです

これは八正道はっしょうどうという、
苦を手放して明るく生きて行くための8つの実践方法、
これを具体的にお釈迦様が教えられた中のひとつです

このようにお釈迦様は、私たちに考え方だけではなく、
どのように日々を過ごしたら良いのかというところまで説かれています

一口に仕事と言っても、非常に多くの種類があります
その中で、自分にぴったりな仕事を見つけるというのもたいへんです

私は仕事柄、高校の進路室で、
就職に関するアドバイザーのような仕事もしている中で、
今までたくさんの生徒たちや先生たち、親御さんと関わってきました

まだまだやはり、私たち大人がこの仕事というもの、
あるいは働くということを、
しっかりと捉えていかないといけないなと感じています

自分はこういうことしかできないとか、
自分にはこういう仕事は向いていないとか、
そういう風に決めつけている方も多いようです

さらには、早くからやりたいことを見つけ、
そして希望通りの会社に採用されても、
自分の考えと現実のギャップだったり、
他のトラブルなどで病んでしまい、
休職せざるを得なかったり、辞めてしまったりする方もいます

この日本では、少子高齢化が進行し、
これからどんどん仕事をする世代が減ってきています
そしてそのこれからを担うべき世代が、
せっかく一生懸命に仕事をしているのに、心や身体を病んでしまう、
これは個人の責任とはいえないですね

もはや、社会の責任だと捉え、
仕事を作り出す方々もそこをきちんと理解して、
働く環境を考えるとか、内容を考えるとか、
その場のみんなで考えていくことも大事だと思います

中々頑張って働いているのに、給与に反映されないという方も多いです
それに伴い、少しこうするだけでものすごく稼げるとか、
ものすごく儲けているのに、
それはどうなんだと思われる仕事もたくさんあります

SNSにもそれこそたくさんいます
これをすれば、これを受ければ、この仕組みを使えばなどなど、
仕事をして、お金を稼ぐのは決して悪いことではありません
しかし、その仕事で結果的に誰かを傷つけたり、追い込んだり、
こんなことがあってはいけないはずです

先に書いたように、せっかく希望の仕事に就けたとしても、
心を病んでしまう方が非常に増えています

こうなってしまうと、会社などに行けなくなってしまいます
そして、家にこもりがちになってしまい、
ずっとスマホを眺めたり、パソコンを観たりしてしまいます
すると今度は、身体も病んでしまいます

ですから、心を病んでしまってしまった方、
今、しんどいだろうと思います
そんな中、少しでも良いので仕事をしてみてください

うつで仕事ができないから休んでいるのに、
何を言うんだと思われると思います

仕事というのは、会社に行き給与をもらうだけではありません
生活する上で大事な仕事もあります
それは家での仕事です、内仕事うちしごとです

洗濯をする、掃除をする、料理をする、洗い物をするなど、
もちろん給与は出ませんが、生活する上で欠かせない大事な仕事です
全部を一気に出来なくても、何か一つでも少しずつやってみてください
しかも、自分の身体を使ってです

現在では多くの家庭に便利な道具や機械があるかもしれません
しかしできる限り自分の身体を使ってやってみてください

食器を洗うにしても、一つ一つ洗って汚れを落とし、
水ですすいで、ふきんで拭いて水気をとり、棚に戻す
こうした単純作業が、実はとても脳の休息になります

掃除にしても、細かいところまで念入りにやってみてください
筋力も使うので、身体もとても疲れます
ですが、それによりぐっすり眠ることもでき、
脳もリフレッシュされます

お寺に行ったことがある方は、お坊さんが庭を掃いていたり、
廊下などを雑巾がけしているのを見たことがあると思います
これらは、作務さむと言って、すべてに意味があります
そして修行の一環でもあります

これらを行うことで、心と身体のバランスがとれてくるのが実感してきます
それともう一つ、気にして意識してほしいのが、
自分の頭を使うこと、自分の身体を使うこと、誰かに心を配ること、
この3つです

どんなに心が辛くて休んでいても、
きっと頭ではいろんなことを考えていると思います
それは自然なことですし、悪いことではないです
ですから考える時は頭を使って、よく考えて、ノートにも書き出して、
自分はこれからどうすればいいのか、
何か自分のためにこれを勉強しようとか、
休んでいる間にこんなことができるかもしれないとか、
焦らないでじっくりと考えてみてください

そして身体を使うこと、これは日の光を浴びることでもあります
よく一目を気にして、夜暗くなってから出かける方も多いですが、
それでは良くなりません
他の人の目なんてどうでもいいんです
しっかりと日中に外に出て、歩くだけでもいいし、
どこか行く場所を決めて行ってもいいです
このように、外で日光を浴びて、人や植物、動物と関わるということです

そして、心を配ること、
これは自分が誰かに対して、心を使うということです
普段は自分が動けないので、家族が食事を持ってきてくれるかもしれません
そんな方の為に、大きいことでなくても、
何か少しでもできることはないかと心を使うんです

とにかく自分の為に生きるという、
自分に向いているベクトルを外へ向けるんです
このようにして出来る限りの自分の力を発揮して生きてください

他人の為に生きて、自分の気を使うから病気になるんだと、
そう思われている風潮が見られます
これは実は逆なんです
みんな自分のことばかり、どこかで考えているんです
そんな中で無理して、他の人に気を使うんです
だから病気になるんです

本来私たちは、誰かの為に力を発揮することに一番喜びを感じ、
それと同時に一番力が発揮される性質を持っています

本当は自分のわがままを通したいのに、
世間体や格好を気にして、人の為になんてやればすぐに疲れます

ですから小さいことでも良い、
素直にこの人の為に、誰かの為にと思えることを少しやってみてください
それが後々に社会に対するえきになります

今、心や身体に病気を抱え休んでいる方、またはそうでない方も、
この新年度を迎えるにあたり、もう一度自分の有り様を見つめ直す、
最大のチャンスだと思います

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