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「チャーハン定食」

作家の西村賢太さんが亡くなった。
読書をする方ではないので
彼の自伝的小説の「苦役列車」を読んだことはないが
映画版は観て、切ない青春に感動した。

当時、TVで彼の特集がされていた。
自分がいつも、通学、通勤で通っていた
駅前の居酒屋が彼の行きつけだと知り
大人になってから地元の友人と何度も飲みに行った。

ホテル街に囲まれた場所にあり
古びた店構えでカウンター席がメインの
一人で入るには躊躇するようなお店。

映画のロケでも使われた場所で
TVで紹介された本人がいつも頼むとうメニューの
赤いウィンナー揚やハムカツを食べたりした。
簡素な盛り付けだったけれどお酒には合った。

お腹のすいた日に、友人と店に入った時
チャーハンを注文した。
みそ汁も欲しかったので定員さんの外国籍の男性に
「チャーハンを定食にしてください」とお願いそた。
しばらくして、出てきたのが
チャーハンに、ご飯が一膳ついたセットだった。

確かに、これもチャーハン定食であるのは間違いないけど、、。
思い返すと、定員もいぶかしい顔をしていたのに
合点がいき、友人と笑った。
ご飯はその後、いくつかのつまみをおかずにして食べた。

「苦役列車」はいい映画。
孤独な青年が、友人と好きな女の子と仲良くなるも
身勝手な性格から大事な友人も女の子も失ってしまう。
その後、主人公は机に向かい
物書きを目指し始めるラストで終わる。

電車の中で、今日のニュースを目にし
映画で描かれていた若いころの
作者の青春を思い出し少し寂しくなった。

※あとがき
つげ義春の漫画にも感じる
あの昭和の貧しさにある郷愁を西村賢太さんにも感じる。
今の人たちにとって、あの時代やその雰囲気が残っている場所は
ノスタルジーだけでなくファンタジー思う部分があるのかもしれない。

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