2020jul.5tracks plus.

   もよう

群れはまるで巨大な一匹みたいだった
追いかけてるつもりが追われてもいたんだ

 羽を広げたまま動かなくなった
 目のような模様は話しかけてくる

それは花盛り 花びらの目眩し
近づいている筈なのに たどり着かない


 ワタシも同じ 逃れられない
 何もわからず ここにいる

テントの裏に衣装を干してある
別の時間でお目に掛かりましょう

別の地面で又お会いしましょう


   ⚪︎⚪︎⚪︎

何かの一部としたら
推し量ればそれは
どういったものか

小さな靴と合わない服
食を取り込み場所を押さえる

或る家は嵐の中に
あるいは蜜と傷の味
機能する喜び

いつまでも眺めていたい
眠らない人達の明かり


    地上

数字は続く どこまでも
アナタとワタシ どこにでも
見つかる 必ず

それはこの世の出来事で
裏返しの続きもの
影絵の地上

鉄塔水路 低空飛行
拾い集めた 破片と場面
脱ぎ捨てた服に火が燃え移る
未生の光 記憶の森


    おでかけ

某かで船にのる 
水のない川から 意識の海へと

どこかしら似ている筈
一人でおでかけ 光の住処へ

某かで船にのる
流れない時間 測れない空間


    ハナシ

アナタの知らないワタシ
悪さをしてるのご存知?
町でアナタが見たのは
おそらくよく似た別人
ワタシはいつだってワタシではなかった

ワタシはいる そこら中に
溶け込む ありふれた一員
眺めは画一で均一
同じ表情と感情
どこからどこまでがワタシ
ワタシだけがワタシ

アナタの知らないワタシ
悪さをしてるのご存知?
今日は誰かがワタシ
誰がワタシでもいい
確かめようとするのは
止めておくように


     フチまでいっぱい

2階の窓には女の子

知り合うことにはならないけど

或る日の暮れあいの1コマ

フチまでいっぱいになったような

四つ角に見かけた 誰だろう

何百年も前に存在した人

幾重にも重なる時間の影

フチまでいっぱいになってるって



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