見出し画像

【月刊 大相撲魅力発見伝】2024年7月号 ~大相撲の勝敗は立ち合いが8割?~

みなさん、こんにちは! ひだまり66です✋
大相撲名古屋場所は本日、千秋楽を迎えました!
長い歴史があった愛知県体育館(ドルフィンズアリーナ)も今回が最後の場所となり、来年から別の場所で開催されることが決まっています。
場所の中盤までは横綱照ノ富士の独走状態でしたが、最終的に優勝決定戦になるとは思いもよりませんでしたね・・・😅
ただ、最後は見事に横綱が10度目の優勝を果たして幕を閉じました。久しぶりに締まった場所になって、個人的にも熱い場所でした!!

その余韻に乗じて、今回も大相撲の魅力をお伝えしていきます👇


①大相撲の基礎知識 ~立ち合い~

前回のこのシリーズでは、大相撲のルールや勝負が決まる際の ”決まり手” について、そのバリエーションの多さを中心にお伝えしました! もちろん、勝負なので最後まで諦めないことが重要ではあるのですが、実は逆に「大相撲の勝敗は立ち合いで8割決まる」と言われることも多いです。
ボクシングや柔道など、多くの格闘技は試合開始の合図と同時に試合が始まりますよね?
大相撲も勝負を裁く行司さんが両力士の間に立っていて「はっきよい!」と言うので、そのようなルールだと思われがちなのですが、実は両力士がぶつかるのはお互いの阿吽の呼吸なのです!
決して、行司さんが立ち合いの合図をしている訳ではなく、両力士がお互いの仕草や目を見て、同時に立っているのです。
それでも人間なので、呼吸が合わない時もあるでしょう。明らかに両者の立ち合いにズレが生じた場合のみ、行司さんが立ち合いのやり直しを命ずることがあります。
とは言え、テレビで相撲を見ていると土俵に上がった後、すぐに立ち合うことは稀で、土俵内を行ったり来たりしながら土俵中央で腰を深く下ろす動作を繰り返しているのをご存じですか? これは一般に ”仕切り” と言われており、勝負までの数分間、土俵上で精神統一をするための時間とされています。一方で、仕切りは「今日は相手の動きがちょっと変だから、緊張しているな」「敢えて、ゆっくり仕切ることで相手の心理を探ろう!」など、最も駆け引きが行われている場面とも言えそうですww
しかも、仕切りの回数は明確に決まっていません。むしろ、全取組の終了は18時ということの方が重視されているので、休場者が多くて全体の取組数が少ない時は一番あたりの仕切り時間が長くなったり、熱戦が多くて時間が押している時は仕切り時間が短くなったりと時間調整の役割も兼ねています。
一般に、時間管理をしている審判の親方が合図をして、両力士に身体を拭くタオルが渡されると、それは「次の仕切りで必ず立ち合いなさい」というメッセージなので、それ以上長く仕切りをすることはできません。(これを”制限時間いっぱい”と言います)
逆に制限時間いっぱいでないのに、早めに立ち合うことはお互いの呼吸があった時のみOKとされていますが、近年はかなり稀な事象です。
なぜなら、ほとんどの力士が制限時間いっぱいになったら立ち合うことを暗黙のルールみたいに考えているからだと思われます💦
見ている方からしたら、仕切りの時間は退屈な時間にも感じられるかもしれません・・・
次回以降は、そんな仕切りの時間さえも楽しくなる見方をお伝えしましょう!笑

②大相撲の魅力発見! ~多彩な立ち合い~

それでは、先述の立ち合いについて詳しく見ていきましょう( ^o^)ノ
前号でお伝えした通り、大相撲のルールに違反しなければ立ち合いも個人の自由です。だからこそ、力士たちは立ち合いに全集中してくると言っても過言ではありません!

(1)頭から当たる

最もオーソドックスな立ち合いは頭から、前傾姿勢の状態で相手に突進していくような立ち合いです。お互いが頭で当たると「ゴツン!」という凄い音がする時がありますが、観客からすれば小細工なしの真向勝負感が一番強い立ち合いでもあります。
一方で力士からするとその衝撃で眉間から流血してしまったり、首を負傷してしまったりするリスクがあります…
個人的に頭で当たる立ち合いの迫力が大きいのは現役最年長の関取で、幕内優勝2回を経験しているベテラン玉鷲関だと思っています(^^♪

(2)張る

相手の頬を狙ったビンタのような立ち合い方法です。
番付が上の力士が格下相手に使うことが多く、まともに食らうと脳震とうが起きるなど、危険な技でもあるほか、外してしまった場合に自分の重心がかなり上がってしまうので相手の圧を諸に食らう可能性もあります・・・
テレビやラジオの解説で出演されている親方衆は「張り差しは自分の脇が甘くなり、逆に差されるリスクが高い」と口を揃えて言っているのも事実です(-_-;)
最近の上位陣では大関豊昇龍、過去には横綱白鵬が晩年に多用して批判を呼んだこともありました😓

(3)諸手突き

相手の胸や喉元を目がけて、両手を出すような立ち合いです。
こちらは突っ張り等を得意とする、押し相撲の力士が見せることが多いですが、こちらも外すと状態が前のめりになるので、リスクと隣り合わせですww
三役常連の阿炎がこの立ち合いをすることが多い印象です。ただ、相手の胸や喉元に的中すれば有利になることも多いですが、失敗して自分の重心が上がってしまい自滅してしまう相撲もしばしば見られますww

(4)かちあげ

自身の肘を折りたたんだ状態で、相手にぶつけることで相手を仰け反らせる方法のひとつです。胸を狙うことが多いですが、近年は顎や喉を狙ったものも見られるようになり、ルール違反ではないものの危険な行為として物議を醸しました。
どちらかと言えば自身の体重や重みを活用した技になるので、がっちりと力士が使うことが多いです。
最近では元大関の高安が立ち合いの圧力を相手に伝えるためによく使っている気がします💪

(5)変化

正面から当たらずに、右や左にずれることで相手の立ち合いの威力を逃がすための方法です。小兵力士が大型力士に対して行ったり、負傷を抱えた力士が苦肉の策として行ったりします。
ただ、小兵力士はそのように意表を突いた立ち合いをしてくる可能性があるというのをだいたいの力士が読んでいますので、易々と策にハマる力士も多くはありません。
熱戦を期待している観客目線でも期待を裏切ることになるので、やはり稀に行うくらいがちょうどいいのかもしれません。
先日引退を発表した照強なんかはよくこのような立ち合いをしていましたが、一か八かの駆け引きのような感じでした(;^ω^)

(6)猫だまし

立ち合いと同時に相手の目の前で、両手を叩くという奇襲作戦のひとつです。先述の変化と同じく、小兵力士が大型力士をビビらせるために行ったりするようですが、今ではほとんど見られなくなりました・・・🤔
頻度が少な過ぎて公式の映像もありませんでしたので、気になる方はぜひ検索してみてください!笑

③力士紹介(各力士の紹介で推し力士を見つけよう!)

最後のコーナーでは現役力士や筆者が知る範囲内の過去の力士も含めて人物紹介をしていきます。
相撲に限らずですが、”推し” ができるともっと楽しくなること間違いなしです!
今回は本年の名古屋場所にて、膝の大怪我から幕内に復活した若隆景関の特集です!

日本相撲協会公式HP 力士プロフィールから引用

所属部屋:荒汐部屋
出身地:福島県福島市
年齢:29歳(2024年7月時点)
身長:182cm
体重:135kg
優勝回数:1回(2024年7月時点)
最高位:関脇

日本相撲協会公式HP 力士プロフィールより

実は筆者はこの若隆景関のファンでいつも応援しています!!
最初に幕内に上がってきた頃は若隆景(わかたかかげ)って ”か” が多くて言いにくいな程度にしか思っていませんでした。しかし、実際に彼の相撲を見ていると小柄な体格にもかかわらず、小細工の相撲はほとんど取らずに重心を低くした攻めを繰り出すことで体重のハンデをカバーしているのを見て、すっかりファンになりました😋
なんと言っても ”おっつけ” がきれいなのです!!
(”おっつけ” とは相手の差し手を封じるために自分の肘を相手の脇に押し付ける技術のこと)
その後も順調に番付を上げ、令和4年の春場所、優勝決定戦で元大関の高安を破って悲願の初優勝を果たしました🎉

この時は、新関脇での優勝が86年ぶりの快挙だったこともあって、若隆景の地元の福島をはじめ、全国的にも話題となりました!

ここから「大関昇進も近いのでは?」と周囲から声も上がり、しばらく大関候補として健闘していたところで悲劇が起こりました…
初優勝からちょうど1年の令和5年春場所の14日目、勝ち越しをかけた一番で力士の生命線とも言える膝を負傷してしまいました😨
診断結果は ”靭帯断裂” ということで靭帯の再建手術が必要となり、3場所連続で全休した結果、幕下まで番付を下げることになりました…
しかし、慎重なリハビリを経て令和5年の九州場所から土俵に復帰。
今場所は持ち味のおっつけをはじめとした ”下からの攻め” を存分に活かしながら戦っています!

今場所(令和6年名古屋場所)それが光った一番が個人的にはこの相撲かと思います。

この一番もちょっと見づらいですが、若隆景の左のおっつけが強烈でした・・・
常に相手より低く、前傾姿勢を崩さない取り口はとてもカッコよく映っています(^^♪
来場所以降、再び幕内上位で活躍してくれることを期待😚

令和4年初場所の観戦時

タオルを持っての応援!
ちなみに、筆者が国技館で観戦した2回は若隆景が勝ったので、タオルを高く上げて喜んだ記憶があります✋

「立ち合いは勝負の8割を占める」と言われるくらい大事なので、中継でもよくスローモーションが映されます。
ちょっと意識して見るだけで相撲の見方が変わってくるかもしれません!
ぜひ、じっくりと見てみてください😄

🖐それでは、本日は打ち止め〜🖐