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梓さんと眼鏡を買いに行った話



先日友人の梓さんから「メガネ買いに行くの付き合って」と誘われ、「オッケー」と新宿に向かいました。

梓さんは目が見えないので、私に課せられたミッションは以下の通り。

1、梓さんに似合う眼鏡を見つける
2、大都市新宿、東京砂漠での買い物を無事に乗り切れるようアテンドする
3、久々の友人との再会を楽しむ

以上。
さあ頑張るぞ。

だが、しかし、やはり。

新宿駅のホームで会った瞬間から、ベラベラベラベラ弾丸トークが始まってしまったので、早々に「2」のミッションに支障をきたす。

私はPASMO、梓さんは磁気の券、私がすいーっと通り抜けた改札で、梓さんはピーっっとなってとうせんぼされてしまった。「あ、ごめんね!隣、隣、隣のレーン」とか言う雑な誘導はもちろん役に立たたなくて、梓さんは自分で磁気の通る改札を探しあてていました。
もう、こういう時、己の馬鹿さや気の回らなさを呪うわけです。
再会5分で、この有り様。

梓さんが笑ってくれてるのが救いです。

そこから、お目当てのメガネ屋さんのあるビルに向かったら、なんと開店前で開いてない。
急いでスマホで検索して「じゃあ、ルミネエストにある別のメガネ屋に向かおう!」と暫く歩いてたどり着いたそのビルも、ルミネエストではなくFLAGSだった…。
「梓さん、まずい、私がルミネエストだと思っていたビルは、ルミネですらなかった」と釈明し、案内の人を探しにまたしばらく歩きました…もうやだ、ほんとやだ。

けど、この私の不案内な案内の間の時間でさえも、山のように話さなきゃならない無駄話がある二人にとっては貴重な時間だったわけで、「回り道するくらいで丁度良いのだ!」それくらいの図々しい不案内ぶりで、道を教えて頂けてからは案外スムーズに、無事にルミネエストZof Martに到着。

ここで出会った店員の「Hさん」がほんとにすごかった。

梓さんの「こんなメガネが良くて」という要望を聞くやいなや、瞬く間に6本の眼鏡を持ってきてくれました。

そして、梓さんが眼鏡かけてみる→商品の特徴をHさんが説明する→私がチャチャを入れる、という流れが自然発生的にうまれ、それは想像以上にスムーズに流れ回転していきました。まるで第七世代のコントの雄「ハナコ」のような様式美を生み出すまでになっていました(大袈裟)。

少し詳細な話をすると、梓さんと話す時、「色」の話題って、私にとってはすごく難しいんですよ。
以前、お弁当の彩りの話になった時、「知識として、組み合わせを覚えている」と梓さんは言ってたんですよね。
「お肉は、卵焼きと、プチトマトとブロッコリーと一緒だと、より美味しそうに見えるらしい。それが『彩り』ってことだよ」と。
「なるほどなー」と思ったわけですが、見える私にとって、色は知識ではなく「感覚」で覚えているものなので、梓さんがそういう例えをひとつずつ出してくれないと、「知識で色を知覚する」ということが、やっぱりわからないわけです。

その点、Hさんは凄かった。

私が、赤茶色、濃い茶色、薄い茶色、スケルトンの茶色…としか言いようがないなと思っていた「6本の異なる茶色」を、「お客様の髪の色をワントーン暗くした色」とか「お客様の肌色に馴染む色」とか、「はっきりとお顔の中で主張できる色」などと表現していくわけです。
Hさん。25歳くらいの、色白眼鏡美人。
第一印象からとても素敵だった。
買い物するのは梓さんだから、まずは、梓さんの目を見て話す、横にいる私じゃなくて。
そういう当たり前のはずの接客を、当たり前に出来ない店員さんもとても多いから、安心して「梓さん、もうここの店で眼鏡決めよう」と、勝手に決めたのは私です。

梓さんの要望の伝え方も、さらに凄い。
自分が欲しいものを、的確に伝えていく。
なぜ、欲しいか。使うシチュエーション。どんなイメージにしたいのか。
梓さんは、人前で話すこと教えることのプロだから、流石だなぁと感じ入りました。

二人のプロの前で、「そういうの石原さとみも雑誌でかけてたよ!」とかしか言えないアマチュアな私。
(でも、私にとっては最重要情報です。さとみがかけてた眼鏡っぽいつのは!梓さんだって、知りたかった情報のはずだ!!)

そんな楽しい買い物が終わり、ランチは、羽根つき焼き餃子専門店で、梓さんが点心付きランチ、私は海老チリ付きランチを食べました。

私が「それ絶対熱いよ!湯気めっちゃたってるよ!」という焼売を、「平気平気!」って口に入れて、やっぱり熱くて悶絶していた梓さんに、腹を抱えて笑ってしまいました。

最後の最後、南口から京王線に降りる階段の左下の店に、長い長い行列ができていて、「なんだろう?」って気にしていたら「階段!!!!!」という梓さんの声。
梓さんのおかげで、まっ逆さまに転落しないですみました…。ありがとう、梓さん。
「次同じことあったら、私容赦なく、手離すでっ笑」と言われました。
もう、どっちがアテンドされてんだか、わかりゃしない!!

でもいいんです。
だって、私達は友達だから。
お互いの得意なこと、不得意なことを補い合って、思ったことはなんでも言い合って、楽しい時間を過ごせばいいのです。

ただ、ひとつ。
今日のこの楽しい珍道中、なんでも言い合って話も弾んだ梓さんに、どうしても言えないことがあったのです。

ほんとは私、買い物の途中で「あ!フライングタイガーに行きたい」って思ったよ、ってこと。

だってさ、フライングタイガーがあるの、最初に間違えてたどり着いた「FLAGS」だから…。梓さんに「どんだけ歩かすねん!!」って言われると思ったから、ちゃんと遠慮してみたよ。

本当に楽しい1日だった!
あずささん、また一緒に買い物行こうね!

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