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新型コロナウイルスは免疫を麻痺させる性質があります(2021/8/13)

【飛騨市民病院 中林玄一ICD】

新型コロナウイルスは免疫を麻痺させる

意外と浸透していない知識と思い発信します。

通常の感染(例えると火事のようなもの)では、体の早期警戒システムが速やかに反応して、「変なヤツが来たから知らせるぞ(消防通報)」→「とりあえず初期対応するぞ(初期消火)」→「もっと上手く対処できるように訓練された人員を配置するぞ(特異的免疫)」へと進みます。

けれど新型コロナウイルスでは「最初の段階の消防通報の回線をあちこち断線」させてしまって通報できなくしてしまい(2枚目の図の×印。特にI型インターフェロン回路)、やがて「大火事になってから体がようやく気付く」と、「あわてて狂った整合性のないシグナルが乱れ飛ぶことで、みずから体を壊して廃墟のようにしてしまう」ことが分かってきました(びっくりするくらいスゴい仕組みを備えたウイルスです)。

「正常な免疫が作動していない」ためか、「苦労して感染から回復しても、mRNAワクチン1回と同等の各人バラバラ強さの免疫獲得の程度に留まる」など「お得感のない結果」になります(場合によっては命が回復しない)。
「人生100年時代で長期間の健康が大切な時代」だからこそ、「ウイルスに免疫を浸食・麻痺させられた状態」でワクチンの何百万倍以上のスパイク蛋白に体を満たされることは、既に有名な後遺症のみならず、長期的な障害リスクも心配されます。さらに新型コロナが世の中から無くならない場合は反復感染によるリスクも加わります。

「ワクチン済(重症化しない≒適切に訓練された免疫が対処できる状態)でも罹患して感染源になるブレイクスルー感染」が起こると判明した現在では、「こうなるといいな」と希望された「集団免疫によって非接種者も社会的に守られる状況の達成」は不可能(に近い)とわかってきました。

これからは「ワクチン接種」vs「実際の感染」の2択しかない残念な状況と言えます(絶対に感染しないならワクチンは不要ですが、罹患を避け続ける確実な方策は、おそらく誰にもない状況と言えます)。

一方、mRNAワクチンについては「世界中で1年ほどの長期的投与を経ても顕著な副作用が無い(最も懸念されている心筋炎も100万例に1例程度で、かつ軽症で全員回復)」ことから、今後これから大問題を起こす可能性は、計算上は0.00数%しかないと言われます(なお、「実際の感染」における心筋障害の確率は日本人のデータで3人に2人≒60%にも上り、ワクチンとは大違いです)。

各人が「リスク」vs「ベネフィット」を冷静に評価して、自分だけでなく大切な周囲/生活基盤である社会を守る行動を選択されることを祈念いたします。

希望者全員のワクチン接種、そして容易な検査アクセス、さらに軽症時から使用できる内服薬(抗体カクテル療法は入院前提で役割的に難しそう)の普及まで、基本の防疫行動を忘れずに活動し、社会を回しつづける事が(現時点で)できる最善かと思われます。

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一般の方は混同しているかもしれませんので念のため追記(2021/8/14)

「ウイルスに感染すること」と「症状が出ること」はイコールではありません。私たちが症状と呼んでいるものは「ウイルスに対する体の抵抗・攻撃反応」のことです(よほど症状が進めばウイルスによる体の機能不全が顕在化しますが、それは大抵重症化してからです)。したがって初期の免疫応答回路を切断されてしまうと、当事者は「症状が(ほとんど)出ない」ことになります。今回の新型コロナウイルスの対応困難はまさに本特徴によるところが大きいと考えています。

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