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思考の旅する文庫

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つれづれなるままに、文庫本を読んで思いついたあれこれ。 書物との接し方も人生の後半戦になると、知識を得るためではなく、己の人生に悔いを残さないために、と変化するのです。
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2022年4月の記事一覧

『花森安治の編集室「暮しの手帖」ですごした日々_書を持って、家にいよう』

●文章にもある適材適所 雑誌にかかわらず、メディアに執筆する際にはそのメディアにあった文章というのが必要となります、当然ながら。 先日、尊敬する二十代の頃からお仕事をご一緒させていただいている方と、自動車評論に関してある話題があがりました。 それは、自動車のインプレで、「私にはとうてい買えるような値段ではないが」という内容から始まり、「仮に購入できる余裕があっても買わない」という感じで終わる文章です。 この手の文章って、インプレ原稿の中でまったく意味がないよねー、とい

『庭仕事の愉しみ_自然に老いてみよう』

ひさしぶりにカサブランカを買ってみました。咲いているのは2輪。先端の3つは、まだ蕾の状態です。 花瓶に入れてから2日後、上から3番目の蕾に亀裂が入り、まだ固い黄色い雄しべの姿がちらりとのぞくようになりました。その3番目の花が大きく開いた状態になると、一番下にある買ったときに満開状態だった花の真っ白な花弁に、花脈がほんのりと現れてきました。その花脈が明瞭になってくると、花弁自体も薄く茶色に染まってきて、3番目の花に勢いを吸い取られるようにして徐々に萎れていくのです。こうして2