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2024年2月10日永野護トークショー感想(ネタバレなし)


こそっとトークショーの感想。

ネタバレなし。

ファンを自認していますが、
永野先生個人について、
作品の生みの親以上の関心は低めです。
今回、40年ファンをやって作者に会える、
一生に1度・最初で最後の機会だと思って
応募しました。
この文は私の個人的な気持ちの表明。
なので閲覧は、自己責任でお願いします。


※※※※※※

私的な話で恐縮ですが、
トークショーの感想述べる前に、私という人間の、ちょっとした紹介をさせてください。

私、アニメと漫画が好きな古(いにしえ)のオタク、
腐女子です。
機能不全家庭で育ったため対人恐怖症です。
また障害のある家族がいるためメンタル折れ気味。

そんな私が、永野護作品の虜となったのは
1984年重戦機エルガイムのムック本、リリス・ファウのイラストです。

リリスは元々、
エルガイムの前シーズンに放送されていた聖戦士ダンバインのキャラ。
人気があったので、
次作のエルガイムにもほぼそのまんまのキャラデザインで登場しました。
つまりリリスは、
キャラデザイン=永野護のエルガイムに於いて、
別の人がデザインしたキャラだったのです。
リリスはボディスーツを着た15センチ位の妖精。
それが永野先生のイラストになると…

ヘッドドレスは風に花びら舞い散る大きな赤い芥子?の花。
おぞましさを感じるほど写実的で大きなトンボの翅。
オーガンザの花びらの様なチュチュと、
赤いトゥシューズで水面の上に立つリリスの姿。
超超超可愛くて神秘的で、ロマンチックで、
昆虫の生体を備えたゾッするイラスト!
(ネット探しても見つからない!)
リリスなのに、アニメ版とは全くの別物。
あまりの衝撃に、その一枚で私は虜になった。
原本はなくしてしまったけど、
今でもはっきり思い出せます。
ルイス・ティファニーの写実性と華やかさ、
可愛らしさ、ロマンチックさを彷仏とさせる
素晴らしいイラストでした。

監督や作画監督以外は目立たないアニメ制作者。
そんな中では珍しい、永野護という華々しいクリエイターの存在に私は夢中になりました。
そしてそののち、何十年の山あり谷あり人生で、
付かず離れず永野先生の作品を追ってきました。
長いファン歴で今回、初めて生の先生を拝見しました。


※※※※※※

お話を聞いていて、まず感じたのは
先生は凄まじい空間認知能力を持っている人だ、という事。
高い空間認知力により、複雑極まるメカニックを、
常人を上回るスピードで描ける人なんだなぁ、と。

独特なプロポーションのキャラやメカは、唯一無二で他人の追随を許さない。
昔、何かの記事で読んだのですが、
幾原 邦彦さんが永野護さんのことを
"いつまでたっても、絵が上手くならない"と、
友人だからこそのぶっちゃけトークで言ってました。

私が思うには、
先生が他人とは違うプロポーションをモデルとして描いているなら、写実的に上手くなりようもないな、と。
表現は写実が一番という訳じゃない。
写実と掛け離れていても
見る人に訴えるものがあればいいのだから!
(ただ、作品を大勢の共同作業で作るアニメだとおかしな事になる。
エルガイムの毎話のデッサン違いは相当なものでした。)

また、先生は知識が豊富で、
1つの作品にたくさんのギミックを込める事ができる。それによって、見る人に感動やら困惑やらたくさんの感情を巻き起こさせる。
寡作であっても何度も見たくなり、
見る人を惹きつけて止まない。
本阿弥光悦みたいな人だなぁ…と思えるほどの天才でした。

そんなことを感じながらトークショーが進み、
あれ?と思ったのは
先生本人に、自分の能力が特殊だという自覚が無さそうだ、ということです。更に、
自分にできる事は他人にもできるだろう、
なぜこんな簡単な事が他人はできないのか?という意識がある。
これはヤバいと感じた。
イキって許される若者じゃないのに…先生は相当いい歳である。
人はそれぞれ能力は様々で、
誰しも長所短所があり、
歳を重ねても、謙虚でなければ友人仲間を失くす。
それを経験で知っていていい歳では?と。

それで急に腑に落ちた。
こういう意識だから、
デザイン展に客が5人しか来ないだろうとか、
フザケてるのか何だか分からない事を言うんだな!
あと、後日になって思った。
私がパルスェットのファンだから書いちゃうけど、
先生はデザインズでパルスェットを
「何故か人気がある」って…
あんな可愛くて健気でいじらしい子、人気があるに決まってんでしょう!!(半ギレw)
なんでファンの気持ちが分からないのかなぁ?!
作品を作る神って、そんなもんなの??


ああ、脱線しました。
話戻して、登壇した永野先生、万梨阿さん、井上伸一郎さんはトークがお上手で時間はあっという間に過ぎていきました。

そのうち、私はまた別の事が気になり出しました。
永野護先生は現在64歳。
かの手塚治虫先生が60歳で亡くなられたことを考えると、決して若いとは言えません。
私もそれに準じた年齢なので、
連載中のFSSがこの先どんなふうに進められていくのか気になっていました。

ストーリーが年表で決まっているファイブスター物語。
年表でどのくらい進んだのか、もはや確認しちゃいないけど、まだまだ先は長い。
年表の改変もあるし、本当に最後まで描き切ってくれるのだろうか?
連載中だから、作品の内容についての言及はしないだろう。
また、それについて話すには
トークショー50分は短過ぎる。
それでも、先生がファンに直接お話をする機会なんて滅多に無い。
少なくとも
どのキャラには思い入れがあるとか、
このシーンがお気に入りとか、
そんな作品への思いを語ってくれるのかなーと、
ちょっとだけ期待していました。

ところが…話の大半は、大昔の事。
一体何年前の話をしてるんだろう?と
考えてしまった。
永野先生が話すのは初めてでも、
昔からアニメ雑誌のスタッフインタビューを読んだり、当時の作品を視聴して、その完成度を知っている私にとっては
「さもありなん」という感じで目新しさは無かった。

初めての個展開催記念のトークショーで、
先生がファンに聞いてほしい話は、
こんな昔話なの?
先生はどんな気持ちでこの話をしてるの?
そんな事が気になって、
期待は外れても仕方ないけど….
そのうち私はだんだん苦しくなってきました。

映画「アマデウス」の天才モーツァルトに対する
サリエリの気分というか、
身内に劣等感を抱えて生きている家族がいるせいか…
はたまた私が
ファン歴だけは長くて先生と歳が近いからか…。

作品を見るのは大丈夫だけど、
先生が自分の才能に自覚がない事も相まって…。
私には永野護さんという人が、
ある意味キツく感じられる様に、
なっていってしまいました。

トークショーの内容は
ネタバレするなって言われたけど、
会場出た頃にはほとんど忘れました。
心に残らなかった。
心に残らない事は思い出せない。
だからネタバレしませんが、
これは私の気持ちの表明です。
私は未来の話が聞きたかった。
トークショーの大半は、
私の知りたい話題ではなかった……残念。
先生の作品は好きだけど、
先生が若い頃と
変わらなさ過ぎるように思えてしまった。

天才は孤独、と言うイメージがありますが…
でも永野護さんは、そうではない。
私生活でも、仕事の上でも、
パートナーである川村万梨阿さん、
という伴侶がいるのは、
先生はものすごく幸運ではないか、と思います。
万梨阿さんの声はスプー役の声として毎日聞いていた。相変わらず美しいお声でした。

あ、それから今回初めてお名前覚えた井上伸一郎さんも素敵な方ですね。
こういう素敵なビジネスパートナーに支えられて、永野先生の天才ぶりが発揮されてるんだなぁって感じましたし、私の心も温まりました。
今回のトークショーの印象を一言でまとめるなら、
永野先生は才能に溢れ、
周りに恵まれた幸せを持つ人だ、
という事です。

抽選確率10倍のチケットで見たトークショー。
貴重な機会なのに、こんな感想で申し訳ない。
永野信者の人が気分悪くしないといいけど、
あくまで私の感想、なので…。
ネットにあげるのは迷いましたが、
私はFSS関係でリアルに付き合っている方は居ないし、言える相手も居ないし、こんな人間が1人ぐらいいてもいいかな、と。

他の200人程の星団民の皆様が
どう感じたのか知りたいところではありますけれども、この辺で筆を置きます。
初日のチケットを買い損ねたせいで、まだ展示会を見ていません。
後日、展示会を見るのが楽しみです。

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