擬音声命体 うりゃ美とオリャ雄 第15話「ハンマー投げ」

擬音声命体 うりゃ美とオリャ雄

第15話「ハンマー投げ」

ナレーター「この世界にいる不思議な存在である擬音声命体。彼らは今日も精一杯に生きている」

うりゃ美『……』カッ

実況『うりゃ美選手集中しています。雨天中断を何度も挟みながら続けてきましたハンマー投げ。天候は回復し、今では会場から虹が見えます』

クル実『クルクル』ドヤ

実況『この最終投擲でクル実選手が98m57cmと言う高記録を叩き出して、うりゃ美選手の記録を逆転し一位になりました』

うりゃ美『うりゃ』テクテク

実況『サークルの中へ入りました。うりゃ美の最終投擲。青空に描かれた虹にハンマーの軌道を乗せることができるか』

うりゃ美『……』クルクルクル

実況『投げましたー』

うりゃ美『うりゃぁあああああ、うりゃぁあああああああああああああ』

実況『叫んだ、伸びる伸びる、伸びていきましたー。クル実選手の記録をわずかに越えたか。七色のアーチを駆け抜けた渾身の一投……その記録は・・・98m59cm奇跡の逆転勝ち。虹の橋の先に世界一の座を導いた。優勝です。おめでとう、うりゃ美』

言ノ葉ヒビキ『うりゃ美、優勝おめでとう』ぱちぱち

オリャ雄『オリャ~』ぱちぱち

クル実『クルクル~』ぱちぱち

うりゃ美『うりゃあ~』ニコニコ

ナレーター「そんな妄想をうりゃ美は玄関でしていた」

うりゃ美「……」ぼけー

オリャ雄「……」

うりゃ美「うりゃうりゃ、うりゃりゃりゃ//////////」ブツブツ

オリャ雄「……」呆れ目

ナレーター「うりゃ美はまだ妄想の世界でインタビューを受けいている。その受け答えを現実世界で口にしている」

オリャ雄「オリャ」

うりゃ美「うりゃ!」ビクッ

オリャ雄「オリャオリャ、オリャオリャリャ」

うりゃ美「うりゃぁ/////」テレテレ

ナレーター「ゴミ収集車が来る前に早くゴミを捨ててきてと、オリャ雄に催促されるうりゃ美。インタビューを聞かれてうりゃ美は少し恥ずかしくなった」

うりゃ美「うりゃ~」

ナレーター「うりゃ美はゴミを持って家を出た。普段ゴミ捨て置き場にゴミを捨てに行く時に、回りに迷惑が掛からない程度にハンマー投げごっこをしているうりゃ美。その余波で今日はつい妄想に耽ってしまった」

うりゃ美「うりゃうりゃ」テクテク

ご近所さん「おはようございます」

うりゃ美「うりゃ」ぺこり

ナレーター「体を小さくクルクル回転させようとしたが、今日は人がいるからハンマー投げごっこはできそうにない。そのままゴミ捨て場に到着した」

うりゃ美「うりゃりゃ」ゴミぽい

ナレーター「擬音声命体は今日も不思議な音と声を奏でている」

つづく

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うりゃ美「うりゃうりゃ。うりゃりゃ」 オリャ雄「オリャリャ。オリャア」