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オートリバース

今、読み終わった。やるせない気持ちが多いな、と今は思っている。
いがりくんとさくまくんがこの原作のラジオドラマをすると発表された日の朝、ホームページにあった試し読みで92ページまで読んだ。そして、3週間程経った日に紙媒体の本が届いた。でも読めなかった。いろんな人の感想を見てきて、この本の内容を自分がどう思うか怖かったから。そして今日、読める読みたいと思った。やっぱり自分のペースで読みたかった。焦りたくなかった。

胸が締め付けられるほど痛い。なんでこんなことしなきゃいけないの?って何度も心の中で叫んだ。
親衛隊って何? よく分からない。

なんてったってアイドルが今までと全く違うイメージで聞こえた。今までは、(言い方は悪いかもしれないけど)何の不自由もないアイドルがキラキラして歌って踊ってみんなを楽しませるために歌っているのだと思っていた。でも今のワタシには、自分がアイドルでいる事を自分自身で呪いのように自分に歌っているように聞こえた。何でだろう。

作中に出てくる生写真のおじさんが言った言葉

『何かを得るとき、必ずひとは何かを失うんだ』

凄くびっくりした。この言葉はなんなんだろう。ワタシが読む本のほとんどと言っていいほど、この言葉と同じ言葉が違う作品にも出てくる。ワタシが今までで一番読んだ作品にも出てきた。その本は自分でのお小遣いではじめて買った本だった気がする。『世界から猫が消えたなら』という作品。映画も見た。映画の後にこの小説を買って読んだから内容は頭に入っていて、読書が苦手だったワタシも読みやすかった。多分中学生の時に買って読書感想文を書いた。その時にはじめてこの言葉を知って、全身に痺れが走った。知っていたはずなのに、知らなかったから。妙に納得してしまう言葉だった。凄く好きな本というわけでもなく、ワタシはその本を持ち歩いていた。中学生の時は朝読書・高校生の時は昼読書では6割の時間を割いてその本を読んだ。ただ単に違う本を選ぶのが嫌だったのと、自分が本を読む時のポリシーとして最初から最後まで1日で読み切りたいという思いがあったから。でも、ワタシには世界から猫が消えたならという本が一番読んでてしっくりきていた。他の本が嫌いだったとかそういうのじゃない。なぜか分からないけど、自分の周りを纏う空気のようであったから特に気にせずにもいられたのかな…。でもワタシにとって世界から猫が消えたならという本はなくてはならない存在(本)だと思っている。高校生の時、目をつぶって開いたページから読むなどとひとりで遊んでた。楽しかった。内容は知っているのにぞくぞくした。先程、凄く好きな本ではないと言ったけど、紛れもなく一番好きな本だ。

ワタシの文章恒例行事にもなりつつある話の脱線。またもや脱線してしまった。アハ。でも話は続きます。なんせ、自分の気持ちを吐き出してるから。

何かを得るためには何かを失うのは何故なのだろう。神からの宿題なのか?とも思ったが、よくよく考えてみると当然のことのように思う。ワタシは栄養士の卵として栄養や食・人体・健康などについて学んでいる。これが影響しているのかどうかは分からないが、私たちが日々食べている食材には必ず命が宿ってる。それを私たちは自分たちが生きるため命を絶たせてまでも食べる。これこそが何かを得るためには何かを失うという最大の事なのではないか。と最近思った。

本はなにかと昔の記憶を蘇らせる。今まで読んできた本はなにかと昔の記憶を嫌と言っていいほど思い出させた。考えたくなかったことももちろん考えさせられた。本は人を成長させるんだと身をもって感じた。今から1年3ヶ月前くらいから読書記録をつけてきた。自分が思ったことをメモ程度に書き留めてきた。でも飽きたのか、考えたくなかったのか分からないが本のタイトルをメモるだけに最近はなってしまっていた。多分考えたくなかったのかもしれない。本当は自分の思いを言葉にできなかったのが大きいのだけれど、ペンを持ちノートに文字を書くことができなかった。頭が痛くなった。これは脳が拒絶していたのだろうか。

話は戻るが、親衛隊の経緯に正直戸惑った。怖かった。文字だけなのに頭の中で無意識のうちに映像化されて。高階のことも嫌いになりかけた。嫌いになった。直のことも。でも全部を拒否したくなるほど嫌いにはなれなかった。アイドルとファンってなんなんだろう。この関係性はずっと続いていくのだろうか。親衛隊のように一歩違った道に進めばおかしくなる。最近のオタクたちにもこの親衛隊の序盤の空気感を思い出させるような感じがあるなと思う。だからこわい。アイドルを貶めるような言葉を誰でも見れるSNSなどで声を荒げて。見て見ぬ振りをすることもあるけど、勝手に傷ついてしまうこともある。バカだよね。そんなこと気にするなって話だし、気にしてたら相手の思う壺なのにね。何でだろうね。心の底から好きって言ってるのに、この言葉より棘のある言葉ばかりがアイドル側に伝わってしまうのは何で何だろうね。愛のある言葉も伝わってると思う。誰にも負けないほど愛に塗れて生きててほしい。

高階と直。
さくまくんといがりくんどちらがどちらを演じるのかな。

終わり方は本当に悲しかった。泣いた。涙が止まらなかった。本当の居場所を見つけたのに。またやり直せるはずだったのに。だからやるせない気持ちになった。助けてあげたかった。

本当に良い作品に出会えたなと思う。何十年後また時を経て読んだ時感じることも違うのだろう。みんなが各々感想を述べていたのと同じように、ワタシの中のワタシも変わって別の人になっていると思うから、この時の気持ちは大切にしまっておく。

ラジオが一層楽しみになりました。アイドルがアイドルの親衛隊の役を演じることに違和感を覚えるけれど、2人ならきっと大丈夫。素晴らしい作品になると思います。

あっ!早くヘッドホン買わなきゃ!

おしまい。読んでくれてありがとう。

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