花火の後に

花火の後の静けさは

数秒前まで
まばゆく
辺り一面を照らした光たちが
初めから存在しなかったかのよう

無邪気にはしゃぎ合う人たちの顔を照らして
その光は瞬く間に消えた

長い夢を見ていた心は
まだその景色の中に火(あか)を求めている

使い捨てられた手持ち花火を
意味もなく
ずっと握りしめている

もう二度と戻らないそれを
いつまでも待ち続けている
 
暗闇の真夜中に
涙を流して目覚めたあと、
慰める人はだあれ?

1秒前の儚げな世界で
そっと手を握っていてあげる

残酷な現実を知って
あなたが胸を痛める前に

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?