輝く大教吹部

2023年が終わってしまう前に、定演の備忘録を書かなくてはということで。


第5交響曲「フェニックス」

この曲を私はもともと知らなかったので、発表されたときもふわ~っとした気持ちでした。へえ、こんな曲をやるんだ。まさか40分以上もある曲を吹奏楽人生でやることなんてあるんだなあ、なんて思っていました。

ホルンの鬼ムズさ

パー練で、みんなで初見譜読み大会をやってました。4楽章はかなり吹きやすく、皆すぐに大枠はつかめていましたが、1~3楽章、特に1,2楽章はめちゃくちゃ難しかったです。
おそらくこの曲のホルンの1番の見せ場が1楽章にありました。ご存知、下の音から少しずつ上がっていき、HighFまで要求される、あの場所です。ちなみにHighFを出した後は、HighFの3オクターブ下のF(LowF)まで要求される始末。
テンポは遅く、周りの楽器はなんかいろいろやってて騒がしく()、音域は高い、というめちゃくちゃな難所でした。練習時もそう毎回HighFが出るわけではありません。ここは本当に後輩に助けられていた場所でした。

それから、2楽章の終盤にはホルンとフリューゲルホルンのメロディーがあり、ホルンはベルアップという指定までされていました。そこはリズムを取るのがめちゃくちゃ難しかったです。

といった感じで、ホルンパート皆で鬼ムズ譜面と戦っていました。この譜面と一緒に戦っていたせいか、パートの仲も深まったように感じます(?)

いちばん好きな箇所

各楽章、いちばん好きなところを考えてみました。
まず1楽章、選ぶのにすごく苦労しましたが、一番最後のホルンミュートのメロディーかな~なんて思ってます。4声でしっかりハーモニー作りつつ、音量の波で歌うのがすごく好きです。4パートもあるホルンという楽器をやっててよかった~と思う瞬間でした。ホルンで作る和声こそホルン奏者にとっての至高です。

2楽章の好きなところは、中間部のオーボエとアングレのソロです。ずっとシビアに縦を取り続けてきた楽章で、一旦の大きな盛り上がりを見せたあと、木管のやさしい打ち込みでほんの少しテンポのシビアさが取れ、オーボエの甘い音色が響くあの場所が大好きです。

3楽章は、先輩バカと思われちゃうかもしれないですが、終盤の3rdホルンのミュートソロ(記譜上はソロではないですが)。すごく歌い方上手ですよね、彼。合宿の時から一度たりとも合奏時に音を外してるのを聞いたことなかったし、安定感も素晴らしいなと思っていました。(それ比べて先輩の私はその直後のゲシュトップがとっても下手でした、懺悔…ゲシュトップは一生苦手です…)

4楽章は各カデンツァ~君が代の流れが大好きです。どのカデンツァも大好きだけど、特にクラリネットが大好きです。ハープと合わさることで神秘的で華やかな音楽が生まれていました。
本番、どのソロもめちゃくちゃ上手でしたね…。ほんとにみんな沢山努力したんだろうなと思うと胸がいっぱいです。

定演当日

演奏会の日ってすごくバタバタしますよね。実際定演の日、朝からめちゃくちゃバタバタでした。準備に時間がかかったせいで遅刻ギリギリでとっても危なかったです。部長が遅刻なんてあまりにも面目立ちません。
それから音出ししようとしたら全然楽器に息が通らなくて焦ったり(マウスピースに何か詰まってただけでした)、写真撮影が押して音出し無しで基礎合奏に乗ったり。だけどこういうのも、振り返ると演奏会の醍醐味って感じがしますよね。

本番直前

舞台のプレコンの演奏を聴きつつ、ふわふわした気持ちで開演を待っていました。
最初の曲は"Curtain Up!"。ホルンのトップに座るのは同期の彼女でした。まだ客席は少しざわついている中、舞台に入り、譜面を置いて水を抜いて、一呼吸。彼女に小さく声をかけて、「頑張ろうね」とだけ伝えました。すると彼女は何も言わずに微笑んで、グータッチをしてくれました。その瞬間、すごく胸が熱くて、涙が出そうになりました。「この子と一緒に吹くのはもしかしたら最後になるかもしれない」という気持ちに急に実感が湧いてしまって。
大事な同期との現役最後の舞台での、きっと一生忘れないグータッチだったと思います。


第3部

休憩時間、私はなぜか正指揮者の蝶ネクタイを直したり、服についたホコリをとってあげたりしていました。私ってお付きの者だったんでしょうか。でも面白かったので良し。

バーンズが始まる前は、ただ「全部の音を噛みしめて後悔ないように吹こう」とだけ考えていました。
始まってしまってから、本当に一瞬で過ぎ去っていって、夢をみているみたいでした。

バーンズ4楽章を終え、お客さんからの熱い拍手を受けて、達成感と感動が入り混じった高揚感に包まれていました。「やり切った」って心から言える演奏だったんじゃないかなと思います。きっとそれがお客さんにも伝わっているんだと分かる拍手で、すごく幸せな気持ちでした。涙はギリ流れてはなかったですが、危なかったです。

アンコール「輝く未来」のトランペットソロ。ずっとどう吹くべきか悩んでいたのを知っているので、彼女が思うように吹けますように、と祈っていました。それと同時に、きっとあの子なら上手く吹ける、という自信もありました。あんなに音楽をちゃんと考えて、真摯に向き合えて、まっすぐな彼女なら心配ないな、なんてことを思っていました。

輝く未来が終わり、指揮者がソリストを立たせたとき、私は誇らしい気持ちでいっぱいでした。やり切った表情で観客の拍手を受けて立つ彼女を、しっかりこの目で見つめていました。

部長挨拶

部長挨拶をするにあたり、どんなことを話そうかと考えていました。お客さんに一番伝えたいのは、この吹奏楽部の一年間の歩みなのではないかと思い、そこをメインで話すことは決めていました。
だけど、「部長」挨拶なのだから、少しくらい私自身の気持ちや部活への思いも話してもいいだろうと思って、その部分も話すことにしました。

部員が部活に対してどう思っているか。どんな気持ちを部活に対して抱いているか。不満を持っていないか。そういうことを出来るだけ汲み取りたいと思いながら普段過ごしていましたが、感じ取ることが出来る部分には限界があります。普段あまり話さない部員が部活をどういうふうに感じているのか正直不安でいっぱいでした。
だけど、定期演奏会を迎えられたということは、部員がついてきてくれた結果です。もしかしたら不満を抱いていたかもしれないけれど、結果的には演奏会を開催できた。部員がついてきてくれたおかげでした。そのことへの感謝も伝えたかったので、部長挨拶に盛り込みました。
そして、私を1年間支えてくれた後輩・先輩・同期の皆への大きな愛と感謝を伝えたかった。特に同期は本当に本当に助けられて、一緒に頑張ってくれた大事な仲間です。
「何気ない日常ですら愛おしい、そんな同期の皆と同じステージで、今日、引退を迎えられることを心から嬉しく思います。」
私の一番の気持ちを込めた言葉でした。皆にこの気持ちが伝わっていればいいな、と願ったりしてみます。


吹奏楽部員として

3年間の現役部員生活はこれにて幕を閉じることになりました。50年以上続く歴史ある大教吹部の中で過ごせたことをとても光栄に思うし、1年間部長をさせてもらえたことはきっと一生忘れない大事な経験でした。本当にこれまでありがとうございました。

この先も大教吹部をずっとずっと応援しています。この先も変わらずに、でも、変わり続けていってほしいなと願っています。


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