サマーコンサートの記憶

何を書こうかあまり決めていないまま書き出そうかと思います。今は午前2時です。どうしてか、noteを書きたくなるのって深夜なんですよね。

曲目

数人にこの話はしたことがあるのですが、私が吹奏楽をやっている原動力って、「曲」なんです。
ただ楽器が好きな人もいるだろうし、吹奏楽そのものが好きな人、音楽がまるごと好きな人、部活の雰囲気が好きな人、いろいろあると思います。

私にとっては、吹奏楽をしているモチベーションは曲です。こういう曲をいつかやりたい、というその気持ちが1番の理由になっています。

昨年にサマーコンサートの曲目募集が始まり、決まった曲は計8曲。そのうち2曲は、私が候補としてあげた「亡き王女のためのパヴァーヌ」、「キャラバンの到着」でした。

とても嬉しかったし、たなばたも、ラッキードラゴンも、候補には出していなかったけどずっとやってみたかった曲でした。そういう観点で言うなら、このサマーコンサートへのモチベーションはとっても高かったです。


亡き王女のためのパヴァーヌに出会ったのは多分中学生か高校生の頭くらいでした。ホルンに没頭していた私は、ホルンが主体の曲を聴き漁っていました(多分ちょうどその時に富士山にも出会いました)。

亡き王女のためのパヴァーヌ。題名から感じられる切なさと、美しさと、ホルンソロが奏でる旋律。一瞬で大好きな曲になって、いつしか「このソロを吹いてみたい」と思うようになりました。


パート割を決めるとき、パートリーダーに「この曲、ずっとやりたくて、候補に出して通ったのが本当に嬉しかった」と言ったら、「それなら絶対あすかちゃんがソロを吹いて」と、私にソロを渡してくれました。

本当に嬉しかった。長い間の夢が叶ったようでした。

パヴァーヌ以外も、たなばたとラッキードラゴンもトップに乗ることになり、ますます練習への熱は高まりました。



練習

六大合同演奏会の練習もあったので、サマコンだけに注力というわけにはいかず、なかなか難しかった期間でした。
今振り返ろうとしてるのですが、どういうわけか4月5月あたりの部活の記憶がありません。忙しくて覚えていないか記憶力がゴミかのどちらかです。

最近は、演奏会が差し迫っているという雰囲気で、いい意味で熱が高まっている感じがよかったです。それと同時に、もうすぐサマコンが終わってしまうのか、という寂しさもありました。


書くか迷いましたが、少しだけ書いてみようと思ったことがあります。サマコン前に少し悩んでいたことです。

私はこの部活が大好きで、みんなのことも大好きです。それは建前ではなくて本心です。
それから、私は人に本心を伝えるのが苦手です。意外って思う人ももしかしたらいるかもしれないですね。本心を伝えて関係が悪くなったり、雰囲気が悪くなったりするくらいなら私が耐えればいいと思ってしまう人間です。

部活と皆が大好き、それゆえに思うところもたくさんあって、伝えるべきなのに伝えられない、部長という立場なのに、そういうことが言えない。そんな葛藤で、本当に苦しい時がありました。

これに対する解決策みたいなものは別に見つかっていないし、部長らしい姿にも全然なれていないと思っていますが。周囲の人に救われて生きているなと何度も実感する6月でした。


サマコン当日

当日朝、誰も遅刻することなく来たことが個人的にはかなり満足でした。絶対誰か遅れてくるだろうと思ってたので。笑

リハ中はあまりにホールが暑くて、部長としては部員の体調がめちゃくちゃ心配でしたがなんとか空調も復活し、通しリハ後半からはかなりマシになりました。一安心でした。


タイムスケジュールなどいろいろと反省点はありますが、私が1番心に重く残っているのが、当日に体調不良で参加できなくなってしまった後輩のことです。

本番に乗れない辛さは私が誰よりも分かる自信があります。練習してきた曲を吹けないことがどんなに辛いことか。自分抜きで演奏会が始まってしまう残酷さがどれだけ心にのしかかるか。私には分かります。

毎回懸命に練習してくれていて、上手になったなあとずっと思っていた子でした。出られないと決まった時、すごくやるせなくて悲しい気持ちでいっぱいでした。


本番というのはそういうものです。どんなトラブルが起きて、誰が出られなくなったとしても、演奏会は進んでいく。
定期演奏会は、絶対に全員で乗る。これが、叶うか分からないけれど、私の今の1番の願いです。



そしてリハを終え、幕前アンサンブルによる開演5分押しで本番がスタートしました。


たなばた

本当に良かったですね、たなばた。今までで1番良かったです。

アルトソロ、あまりにもよかったです。彼女が吹いている姿が後ろのひな壇から見えるのですが、思いの丈をたっぷり込めたような吹き方をしていてとても良かった。
いつか彼女が「たなばたで演奏会をスタートさせるのがずっとやりたかった」というのを聞いたことがあって。たなばたに対して思い入れを感じさせるソロでした。

あと、トロンボーンソロもめちゃくちゃよかったです。客席から聴きたかったと思うくらい。

総じていい演奏でしたね。本当に。
演奏会の幕開けにぴったりでした。


亡き王女のためのパヴァーヌ

このソロについての後悔はすでにツイートしてしまったのですが、ここでも少し。

Gのロングトーンから始まるソロ。Gという音は中学の時からずっと苦手にしてきた音でした。本番、どの音がどうだったかとかまでは覚えていませんが、HighDは当たりはしたけど微妙に掠れた音だったと記憶しています。

午後の通しリハの時に吹いたソロの方がずっと良かったです。まだまだ良い音で演奏できるのにと思うと、すごく悔しいです。


ソロ終わりから、悔しさと動揺で全く演奏に集中できませんでした。奏者として失格ですよね。

後から聞いた話ですが、後ろのトランペットからは、ソロ終わり以降私がとても震えてるのが見えたみたいです。

なぜか私はソロ前より終わったあとのほうが身体が震えて止まらなくなります。実は合演の富士山ソロの時も、ソロが終わってからとんでもなく全身が震えて止まらなかったです。緊張が解けたのか何なのかはあまり分かりません。
高校まではそんなことなかったのですが、なんででしょうね。プレッシャーを感じてたのかもしれないです。

悔しい涙をなんとかこらえながら、パヴァーヌが終わりました。指揮者がソリストの私を立たせてくれて。

あんなに不甲斐ない瞬間は初めてでした。浴びる拍手が、本当のものだと自信を持てなくて、でも良い顔をしていなきゃ、そんな気持ちで頭を下げました。

あんなに熱望して、心からやりたいと思っていた曲が、今は「後悔が残る曲」というレッテルを貼られて私の中に残ってしまいました。


レミゼラブル

パヴァーヌのミスを引きずってしまっていたせいで、心から集中した演奏ができませんでした。もちろん決めるべきところはきちんと決めたつもりですが。

この曲は、ホルンパートリーダーの彼女が高校の時にやったことがあるそうです。
その時に1stを吹いて、コールアングレ裏の1stソロがあまり上手く吹けなかった、だからリベンジしたい。そう言って、1stは彼女が吹くことになりました。

その裏で2ndから4thはハーモニーを作っています。音を伸ばしながら、彼女のソロを聴きました。
とても良かった。自分に自信がないといつも言っている彼女があんなに堂々とした音を鳴らしている、それだけでとても素敵でした。


タランテラ

1部が終わり、舞台袖にはけました。あえて名前を出しますが(ごめんね)、玲音ちゃんが私見るなり抱きしめてくれました。その瞬間から涙が溢れて止まらなかったです。
抑えていた悔しい感情が一気に溢れてしまいました。人前であんなに泣いてしまったのはいつぶりか分からないくらいでした。

泣いてしまったことをとっても後悔しています。部員の前では部長でいたい、いつでもしっかりしていたいと思っていたのに、あんな不甲斐ない姿を見せてしまいました。きっと心配もかけてしまっただろうなと思います。

幸いなことに、出演する幕間アンサンブルは2団体目だったので、必死で涙を抑えて、気持ちを切り替えて、本番に臨みました。


あまり始まった実感がなかったというのが正直な感想です。多分メンバー皆そうだったんじゃないかな。出だしは若干ハマりきらない感じがありました。

ここで私は特大ミスをやらかします。観客の1人に気を取られたか何だったか分かりませんが、3連符を全員でつないでいくフレーズでホルン1人だけが吹くところを見事に落としました。不意に訪れた一瞬の静寂。「やばい、やらかした」という思いが一瞬で脳内を駆け巡りました。
ホルンの次に入るのがTp2ndなのですが、彼女は動揺せず拍ジャストに入ってくれました。本当にありがとう。あそこで彼女も動揺して落ちたら完全に曲が止まってました。

中盤からは勢いを取り戻し、金管らしい華やかな音色で中間部の盛り上がりを見せ、最終部へ入りました。高速ベルトーン、かなりの見せ場なのですが、上手くキマって本当に良かったです。

実はタランテラをやりたいと言い出したのは私でした。一度聴いたときから聴き惚れた曲。3回生4人、2回生2人、しかもそのうち1人は本プログラムと違う楽器で乗ってくれました。
2回生の2人がアンサンブルをどんなふうに思っているのかなと少し不安でしたが、誘ってくれてありがとうございました、楽しかったですと言ってくれて嬉しかったです。このメンバーでタランテラが出来て本当によかったと心から思いました。



キャラバンの到着

第2部。この曲を暗転状態から始めようとなったのは確か合奏中だった気がします。さすがにかっこよかったですね。

この曲の異国感というか、何か物語が始まりそうな予感をさせるメロディーラインが大好きです。中世ヨーロッパの海のそばの街並みで、商人が行き交う光景が浮かびます。

あまり触れられないがちですが、トロンボーンソロとトランペットソロどっちもすごく良かったです。ああいうソロがハマる人選でしたね、とても良かった。


ハリウッドマイルストーン

映画音楽曲。今年か去年かの母校の定演で演奏されていたので、曲自体は知ってました。
あんまり語れることはないのですが、色んな意味で緊張感がすごかったですね、結構ヒヤヒヤしました。
トランペットの彼、音がとても美しくてよかったです。練習しているところを何度も見ていたので、いつも心の中でエールを送っていました。



ラッキードラゴン 〜第五福竜丸の記憶〜

この曲を語り付きでやると聞いた時、正直、ネガティブな感情が先行してしまいました。
語り付きで私たちの演奏が見せ場を失わないか、そもそも語り付きってどうやるんだ…などいろんな思いがありました。ある日、全体LINEに送られてきた、語り付きで演奏されたラッキードラゴンの動画を見ました。

結果、とっても辛くてしんどい気持ちになりました。この曲に込められた想いが、あまりにもダイレクトに伝わって来すぎて、音楽というクッションを失っているようで、なんだかしんどかったです。練習がすごく不安になりました。

でも、そのしんどさすら覚えた上で演奏することに意味があるんだろう、そう思って練習をしていました。

ホルンパートとして、この曲は本当に1回生に助けられました。パート割も1ヶ月前に変更することになってしまって、無茶を言ってしまったのですが快く引き受けてくれて、しかもめちゃくちゃ上手に支えてくれました。

私の吹き方というか、音圧のかけ方が最近上手になった気がしているのですが、これは多分1回生のおかげです。ラキドラを通して余計に実感しました。

いつも通りの夜明けが来ますように、という言葉。何度思い返しても鳥肌が立ってしまうあの語り、あの空間、ずっと覚えていたい、そんな我儘な感情が湧いてくるような演奏でした。


エアーズ

我らが副部長によるグロッケンソロから始まります。心がほどけるような、素敵な音でした。

全体を通して柔らかくやさしいサウンドを作れていたんじゃないかと思います。
譜面にフォーカスしたことを言うと、ホルン2ndは比較的音が低めで、上吹きの私にとってはあまり馴染みのない音域でした。
結構苦戦しました。音は鳴っても、理想の低音じゃない。深みのない音になってしまうのが残念でした。
こういう低音も、「上吹きだから」と避けていたのですが、上手く吹けるようになりたいですね。引退までの課題にしようと思います。


September

エアーズが終わり、奏者は全員起立。すぐに楽器を置いて、原稿を持って部長挨拶をしに行きました。

実は前日に原稿を書き足して、家で練習していたのですが、もうあまりにも読むのが下手くそで、本番で噛まないかめちゃくちゃ不安でした。

不思議なことに、本番はほとんど緊張しませんでした。照明が強すぎて、客席がほとんど見えなかったのもあるかもしれません。
そして部長挨拶、一言も噛みませんでした!!歓喜。内容も、サマコンにふさわしく、重すぎず、程よく軽かったんじゃないでしょうか。

先輩から「スマートな部長挨拶」とのお言葉いただき嬉しかったです。兄が撮ってくれた部長挨拶の動画を見返したんですが、確かにあれはスマートでしたね。()

ピアノのソロから始まるアンコール。ただただ楽しかったです。サマーコンサートらしい、明るい締まり方だったと思います。


終演

めちゃくちゃ急いで楽屋に戻り、爆速で楽器を片付けてロビーコールに行きました。

たっくさんの人に会えてすごく嬉しかったです。大好きな先輩たち、中高からずっと慕ってくれる後輩、家族、学科の友人…たくさんの人が見に来てくれたことを実感して、嬉しくなりました。
抱えきれないくらい大量の差し入れを頂いて、本当に嬉しかったです。私たちのために時間を使ってくれる人がたくさんいる、すごく不思議な気持ちになりました。


積み込みを終え、ホールで終礼をしました。すると突然、後輩たちからのサプライズ。
まさかサマコンではそんなことないだろうなと思っていたのでめちゃくちゃびっくりしました。きっと1,2回生で協力して企画してくれたんですよね。
自分たち3回生、特に三役がやっていることに対しては絶対的な自信を持てずにいました。後輩たちは本心でどう思っているんだろうか、本当に楽しい部活だと思ってくれているだろうか、これからもついていきたいと思ってくれるだろうか。色々と不安な気持ちもある中で迎えたサマーコンサートだったので、言葉で「これからもよろしくお願いします」と伝えてくれたことが本当に嬉しかったです。

みんな、こちらこそありがとう。皆のおかげで、私は部長を出来ています。不甲斐ないけれど、部長を任せてくれてありがとう。全力で頑張ります。


おしまい

ただの書き連ねなので、どれくらい読んでいる人がいるのかは分かりませんが、ありがとうございました。

3回生にとって最後のサマーコンサート。とても素敵な経験になりました。
定演はもっともっと、最高の舞台にしましょう。







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