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「食旅脳内メモリーズ」イタリア編

函館で出会った友人たちが今は世界のあちこちで暮らしている。できたら全員のとこに会いに行きたい。いつかきっと。イタリアの北西、スイスに程近いピエモンテ州の山の中の小さな町に嫁いだ友人の結婚式に呼んでもらいミラノの空港まで飛んだ。バスに揺られアルプス山麓のドモドッソラという街まで。ピエモンテ州の州都トリノより、山岳鉄道でスイスのロカルノがずっと近いという山の町。そこからさらに北上した友人の住む山の中の町トロンターノへ。小さな町だけど、若い人たちも各々の暮らし方を見つけて住んでいるという素敵な町。各家の庭で葡萄を育てていて、地域にある醸造所がその葡萄を買取り、ワインを製造して、各家庭に安価で提供する。イタリア人にとってワインは欠かせないもの。循環してるシステムだと感心する。数日宿泊した山間にあるB&Bは居心地も景色も素晴らしく、宿主のシモーナは旅好きで、昔インドにも数年住んでいたと話してくれ、インドで覚えたという本格的なチキンカレーを準備して作ってくれた。イタリアの山奥でカレーナイト!手打ちパスタを習いたいと伝えたら、友人と一緒にボロネーゼを仕込んでくれ、粉から一緒にタリアテッレを作ってくれた。その美味しさが忘れられず、函館でも家族と一緒に帰国後に作って食べた。旅の季節は12月。クリスマスシーズン。ドモドッソラからスイスのロカルノまで山間を走る山岳鉄道に乗ってサンタマリアマッジョーレへ。山の中の静かな小さな町だが、クリスマス市が開かれる数日間は、地域の生産者や手作りの商品を販売する方々の素敵なお店がずらりと並ぶ。とうもろこし粉を使ったリゾットのようなポレンタに腸詰サルシッチャ入りのトマト煮込みを食す。大きな鍋を揺らしながら寒空の下作っていた。地域の伝統料理アミアスカというバターと塩だけのシンプルな生地も美味しかった。お土産にと購入したポレンタの粉を帰国後に函館でお店をする友人に渡したら、それを原料にイタリアロンバルディア州マントヴァの伝統菓子ズブリゾローナになって戻ってきた。イタリア、インド、函館。食を通じて世界が繋がり、巡る。旅の豊かさは出会いでどこまでも広がる。

(季刊誌@h 2020年冬号掲載)

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