卓球混合ダブルス決勝戦感想 - 2020 2021東京五輪ピック

水谷・伊藤 4-3 許・劉

第1ゲーム。水谷・伊藤ペアから見て5-11。伊藤さんが許の回転に苦しむ。中陣から食い込んでくるフォアドライブを返球できない。水谷さんからも許の良いボールを防ぐ意図が見えるも、やや無理のある返球で失点。 許・劉 (Xu, Liu) ペアが取る。ただ、「Number1033・1034号 (2021年9月号。文藝春秋)」によると、伊藤さんは「思い切って打ってくるというより台上に入れにきてる」と感じたようで、こちらが返球できるようになればチャンスはあると見ていたそう。

第2ゲーム。7-11。水谷さんがフォアハンドでもレシーブするようになる (ここに至るまでは一貫してバックハンドでレシーブしていませんでしたっけ?)。ただ、ラリーになると許・劉に打ち抜かれてしまう。

第3ゲーム。11-8。変化が3点。

まず、水谷さんがあまり下がらなくなる。もちろん返球の時間的余裕は中陣よりもなくなるし、パートナのために常に足を動かすダブルスではさらに大変になる。その中で早いピッチで攻撃的なボールを返球していく。このプレーは次のゲームでさらに輝くことになる。

次に3球目攻撃。「劉に横回転系サービスを出す → そこまで厳しくないレシーブが来る → それを叩く」の得点パターンをほぼ見つける。このゲームに関しては攻撃が決まらず失点が多かったが、布石にはなった。

最後に、伊藤さんのスマッシュが決まりだす。いくら「入れにきている」印象だったとはいえ、なぜ第1ゲームで手を焼いた許のドライブに対応できるようになっているのか。準決勝でもそうだったが、さも当然のように男子選手の強いボールを返球できるのだから恐れ入る。

5-6、7-7でのラリーは伊藤さんのスマッシュで得点。リードした9-7での好ラリーでは水谷さんがストレートのコースで勝負をかけたが失点。ここが重要な一本と見ていたろう水谷さんは相当悔しそうだった。終盤に1点差に詰め寄られるも、水谷さんのバックハンドが許のミドルを突いて10-8。次の一本は伊藤さんのスマッシュが炸裂してこのゲームを奪った。

第4ゲーム。11-9。水谷さんが信じられない前陣捌きを連発する。許の打つコースを許より先に分かっていのるかと疑うほどの予測と反応速度。0-3でのラリーとか何なんでしょうね。前陣で2回ミドル突かれたのに返球して得点したんですけど。

許もいいプレーを見せていた。0-2で横入れして得点。水谷さんのカウンタで先にゲームポイントを握られるも、10-7から強いボールを打って水谷さんの決め球ミスを誘い、10-9にまで追い上げる。ただ、最後の一本は水谷さんがまたしても魅せた。伊藤さんが許のミドルを攻めて強いボールを封じる間に、中陣で滑りながらもフォア側からバック側に大きく回り込み、渾身のフォアドライブを2発打ち込んでゲームを奪う。僕、ここで泣く。水谷さん、あんたって人は。テレビ番組も伊藤さん抱き付き話でおちゃらけずに、この偉大なる一本を繰り返し放送してほしい。

第5ゲーム。11-9。水谷さんの好判断が光る。第1, 2ゲームからの失点パターンで、伊藤さんのバックハンドに弱い回転のボールを送られ、返球にミスが出る展開があった。その展開にならないように上回転ラリーに持ち込む。時にはただ止めるだけのブロックさえ効果的に使い、伊藤さんの決め球に誘導。僅差でゲームを取る。

第6ゲーム。6-11。許・劉がラリーの強さを発揮。一本が長くなると、他のペアなら決まるはずのボールが返球される、いつもの中国の力を見せつける。サービスでも優位に立ち、ゲーム獲得に成功。ここまで、許・劉ペアがゲームを取るときは比較的差が離れていて、水谷・伊藤ペアは僅差ながらゲームをものにしている流れ。ぎりぎりの勝負が続く。

第7ゲーム。11-6。これまでの得点パターンを総動員してスタートダッシュに成功。劉がレシーブのときの3球目と、上回転を起こさせてからの伊藤さんの強打。水谷さんが許の待ちを見透かすかのようにことごとく裏をかき、大量リードを奪う。チェンジエンド後も6-0から伊藤さんが許のフォア側に払うレシーブがノータッチで抜けていった。攻めて失点しても強気のプレーを続け、最後は伊藤さんのハーフロング? の下回転系サービスを許が持ち上げきれずにゲームセット。とんでもない瞬間を目撃した。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?