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『HELL・ラ・ラ・LIFE』(月マガネーム賞投稿用作品)

 まずは、鼻だ……。

 一番最初に鼻がおかしくなる。

 道端に落ちているゴミ。

 地面から発する熱により男も女も常に汗をかき汗の臭いが離れない。

 街のいたるところから発せられる酒やタバコ、クスリの臭い。

 どこからともなくやってくる何かが燃やされる臭い。

 道端に倒れている奴らの血の臭い。

 いたるところから、悪臭という悪臭が集まって鼻に襲いかかってくる。

 そして、鼻が使い物にならなくなる。

 次は、頭だ……。

 どういうわけか、この世界はありとあらゆる物がそろっている。

 服や食べ物、飲み物など、もちろん酒やタバコも山ほどある。

 一人一人に住む場所まで与えられている。

 まずたいていの奴はこう思う。

「天国かここは?」と……。

 すべてがそろったこの世界を満喫しまくる。しかし、次第に頭の中にある疑問が生まれて離れなくなる。

「何かが足りない?」と……。

 金もいらないこの世界で、何をしても自由なこの世界で、誰もかれもだ分からなくなる。

 何をしたらいいのか? 分からなくなる。

 頭がおかしくなるんだ……。

 そして、最後に『心』が壊れる。

 頭がおかしくなった奴らは3種類に分かれる。

 まず、大抵の奴らは何かを始める。

 店を開いたり、気に入りの店で働いたり、街の掃除を始めたり、音楽を始めたり、絵を描いたり、とにかく何かをやり始める。

 金が必要ない世界だ。気が向くままにただ何かをやる。長く続く奴もいれば続かない奴もいる。

 やることに巡り合えた奴らはいい。

 問題は巡り合えなかった奴らだ……。

 色々やっても何をやっても続かない。そんなこのを繰り返しているうちに何もできなくなる奴らが出始める。

 心が死んで、何もできなくなる。

 こういう奴らを『灰人』と呼ぶ。

 灰人は街をふらつくか、道端でうずくまっていることが多い。

 ただただ、そこにいるだけの物になり果てる。

 そして、最後にこの2つに当てはまらいに奴らがいる。

 考え続けている奴らだ。

「いったいここで何をしているんだ?」と……。

「オレはいったい何をしているんだ?」って……。

「ここまで説明したら、ここがどこかもう分るよな?」

ーー分からない……。

「はぁ⁉ 何で分かんねんだよ! 最低最悪な場所って言ったら一つだろ? あ~もういいよ!」

「はじめか最後まで全部話してやるよ‼」

「最低の世界で生きる奴らの、最低最悪、最高最愛の物語を……」

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『HELL・ラ・ラ・LIFE』

~地獄の涙~


【続く】

読んでいただいてありがとうございます。面白い作品を作ってお返ししていきたいと考えています。それまで応援していただけると嬉しいです。