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5+1

いなくなった人のことは、もういいんですか?

もういいわけがない。彼がいないことを誰よりも悲しみ、苦しみ、のたうち回った私に容赦のない言葉。もういいわけがない。言い返す術もない。前進するバンドと共に歩むことを選んだ1991年、今なお忘れがたい年。

31年の時を経て、共に歩んだバンドが新作を出す。歩みを止めなかった彼らは2022年も現役だ。どうにもならない感情で気が動転した私も、あの頃の彼らよりずっと年を重ねた。ぼんやりとでも、ずっと眺めてきて良かったなと思える未来、それがまさに今。

言いたいことをわざとはぐらかすもの、良くも悪くも私の癖だ。めちゃくちゃうれしかった。めちゃくちゃ楽しみになった。声を大にして言いたかった。でも言えなかった。なぜって、

いなくなった人のことは、もういいんですか?

誰かに言われたわけでもないのに、あの言葉が頭をよぎった。もういいわけがない。けれど、自分が手放しで喜ぶことで、他の誰かを傷つけたりしないだろうか。その恐怖が上回った。

大好きなキュウソに関して、いよいよ、好きを好きだって「言えなくなった」。黙っていることを最善と考えた。

ヨコタさんは、4人+1人じゃない、5人+1人で演ってると語った。あ!それだ!と思った。驚くほど腑に落ちた。MCがこう聞こえたのではなく、音がそう聴こえた。サポートという言葉ではくくれなかった。5人+1人のセッションに聴こえた。

今なら言えるかな。
いなくなってない。そこにいるって。

どんな状況であっても、彼らはその時の最善を提供してくれる。自分が感じ取ったものを大切にしまっすぐ彼らを眺めていればいいんだと思った。秒で発さずとも、誰かに伝えずとも、自分が認識してればいいんだって。

某番組のインタビューで、目指す方向性を示唆しながら、一番強いところで勝負したいとヨコタさん言ってた。好きだなって思った。躍起になるのも時には必要かもしれないけれど、自然なカタチで、目指す境地にたどり着けますように。これからもぼんやり、まっすぐに眺めさせてください。

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