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松濤美術館の文体練習

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かつてレーモン・クノーは、1つの出来事を99通りの文体で提示し、その出来事のイメージを変幻自在に書き分けた。 これは建築空間を言語で説明するための、私にとっての建築文体練習である…
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2019年9月の記事一覧

12・誇張法

日本で一番、いや、世界で一番の繁華街渋谷の先に 豪華絢爛でありながら、人っ子一人いない静寂極まる松濤という町がある。 総合芸術と呼ばれる建築の中でも松濤美術館は 美の頂点といっても過言ではない。 その外観は荘厳ここに極まりといった風情があり、 日本には存在しない希少な石を外壁に贅沢に使い、 その外壁の中心には黄金の滝を思わせる格子が位置し、 軒裏から降り注ぐそれはまさに天から流れ落ちる滝である。 厳粛な面持ちで中に入るとそこには黄金の宮殿と違わない風景が広がる。 その黄金

11・二重否定

決して賑わってないと言うことができない文化村ストリート、 その道中は坂道と言えなくもない。 その先には閑静といっても過言ではない松濤がある。 知らないわけはないと思うがその町に松濤美術館がある。 松濤美術館の岩と金色格子の外観は美しいと言わざるを得ないだろう。 もちろん外観を観て中を観ないわけにはいかない。 エントランスのオニキスの金色の天井も目を見張らない訳がない。 向こうには美しい屋外ブリッジがあり、これを渡らない人はいないだろう。 展示を観に地下へ降りるが、この螺

10・畳語法

賑やかで 更に賑やかで 一層賑やかな! 渋谷の街を抜け、松濤美術館は ひっそり建っている。 外壁には紅雲石とよばれる石・石・石。 それらが重々しく設えられている。 金色の縦格子もまた一本、二本、三本…と、建物の中心と軒裏に張り巡らされている。 中に入っても金色・金色・金色。 中央の吹抜けには、ブリッジと噴水を取り囲むように柱、その周りにも柱、一周ぐるりと柱が建っていて、ブリッジに立つと物々しい雰囲気を感じる。 そう、物々しい雰囲気を感じる。 上下に螺旋階段がぐるぐるぐ

9・冗語法

賑わい溢れて栄える華々しい繁華街の渋谷の 道行く途中の道中の中頃で 閑静で静謐な松濤美術館は静かに美術を観賞する美術館として佇んでいる。 外の外壁は外部に面していて、その外壁は外皮として外面に意外な形で屋外で規格外な外観をしている。 それは白と赤を混ぜたピンク色したほんのり桜色の桃のようなカラーの石でできた花崗岩の紅雲石である。 その白と赤を混ぜたピンク色したほんのり桜色の桃のようなカラーの石でできた花崗岩の紅雲石の外壁は、外皮として外面に意外な形で屋外で規格外な外観をし