夏に寄せて

去年の夏と今年の夏について、取り留めもなく思うことを書こう。もうすぐ1年が経とうとする今、私は2017年をどうやって昇華して2018年をどうやって迎えようとしているのか。残しておこうと思う。

ちょっと前に映画『君の名前で僕を呼んで』をみた。ラストのオリヴァーがエリオに電話をかけてくるシーンがとても好きで1番印象に残ってる。立場や常識に囚われずに互いを大切だと思いあった夏を終え、冬になり、2人の将来に未来の予感さえないのだとオリヴァーがエリオに伝える場面。それでもオリヴァーはあの夏が大切だ/だったということを伝えるために、エリオに「I remember everything」と言う。

ここの「I remember everything」の訳が素敵で、直訳すれば「私は全て覚えているよ」なのに、日本語字幕では「何一つ忘れない」となっていた。ひとつの季節で起きた強烈な思いや経験がその後の人生にまで影響を与えてしまうこと、創作物の中ではありがちな内容で、私はそういうものが結構好きなんだけど、物語の中の話だと思ってた。

私の場合人生にまで影響を与えるというと大袈裟になってしまうんだけど、それでも「あの夏」と言ったらいつまでも、来年も再来年も、5年後も10年後も多分2017年の8月15日から8月17日のことを言っている気がする。文章の1番初めで私がどうやって去年の夏を昇華させたのか覚えておこう、って書いてあるくせに、正直いうとあの時のこと全然昇華させてない、出来てない。いまでもガイズ聞いたり真夏の夜の花聞くだけで感情が昂ってきて気持ち悪くなってるしボロボロなく。プレゾンに間に合わなかったド新規のくせに。

私はただこうやって昇華させないで残しておくことで昇華させることにした。大切だと思った時のことを上書きしないで閉まっておくことで、新しい彼らに向き合うことにしよう。ぶっちゃけ言うと今年の夏がEXじゃなくてTDCで、8月18日スタートだって言うことにほっとした自分がいないわけじゃない。彼らの誕生するきっかけで誇りで青春のPLAYZONEをなぞる様な形で見せてくれた夏の公演。トラジャは地味だとか個性がないとか色々言われてたけどさぁ!!!!パフォーマンスだってライブの構成だって他のグループに引けを取らないと思った。どうなっていくのか分からない向かい風が吹いてる中、プライドを見せつけて命削って存在を証明するみたいに踊り狂ってた(文字通り)7人はめちゃめちゃにかっこよくて強い7人だった。

今年の夏すごく凄く楽しみだ。だけど同時に「I remember everything(何一つ忘れない)」私があの夏の公演に入って見て感じたものは何も忘れない。それは今に期待しないって言うことではなくて、過去を大切に保存しながら、今から進んでいく未来に希望を見ることだ。過去を大切に思うことと未来に希望を見ることは、相反することじゃない。今を嫌って過去を押し付けて文句を言うなんて、辛いだけだよ。私はしない。