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藤代三郎さんの本が面白い(今更ながら)

1月に亡くなったエッセイストの藤代三郎さんの著書を読んでいます。これは週刊ギャロップに連載されていた競馬エッセイを書籍化したもので、現時点で最新巻である『外れ馬券に帆を上げて』をまずは読了しました。

私は買うなら週刊競馬ブックなので、ギャロップでこの連載をしていたことを知らなかったですし、競馬ブックにはかなざわいっせい氏がいたので競馬に関するエッセイはかなざわ氏ということになり、藤代さんについては知識がなかったというのが実際のところです。しかし、先日も書いたとおり、グリーンチャンネルの「全日本はずれ馬券委員会」という番組で藤代さんのことを知ることとなり、面白そうなおじさんだという認識が芽生えて間もなく訃報に接するという事態となっておりました。

最新巻が2021年の出版で、内容は2020年にギャロップに連載したものとなっています。亡くなる直前の2022年12月までは連載していたので、2021年分はすでに出版されていてもおかしくないのですが、未刊のまま。結果的にがんで亡くなっていますので、途中で休載などがあったのかもしれませんが、早々に出して欲しいところ。もっとも、競馬というジャンルに縛られた内容ですので広く読まれるという類のものではないでしょうし、この出版不況を鑑みるとこの状態は理解できなくもないです。しかし、かなざわいっせい氏も途中から書籍化されていない件については電子書籍限定でもいいのでなんとかして欲しいと書いた記憶がありますが、それと同様、藤代さんの本についてもなんとか続けて欲しいものです。なんといっても、原稿はすでにあるわけですから、あとは編集するだけですし、流通については電子書籍ではあまり考えなくてもいいはずなので、週刊ギャロップの奮起に期待します。

本書の中でちょっと意外だったのは、かなざわいっせい氏と一緒に競馬場に行ったことがあるという件。言ってしまえばライバル関係にあった2人だとおもいますが、その辺の絡みがあるというのは興味深い。実際に一緒に小倉競馬場に行ったのは1994年のようで、すでに両者ともに連載を持っていたので、どんな会話がされていたのかは気になりますね。天国で会話の続きでもしてるんですかね。

ところで、本書の終盤、つまり2020年の暮れくらいですが、この辺りは無観客競馬になったりならなかったりの頃で、しんみりと次に競馬場に行くことはできるのかといった感じの描写がちらほら出てきます。年齢的なものもあると書いていましたが、この頃から体調は悪かったのかもしれません。私の父は癌で亡くなっていますが、高齢になると癌の進行は遅くなるもので、かつ適切な治療を受けていればケースによってはさらに進行を遅らせることができるというのは経験的に実感しています。仮にこの頃に発病していたとしても、そこから2年以上の生存は十分にあり得ますので、この辺からいろいろなことを覚悟していたのかもしれませんね。

さて、すでに2冊目として『外れ馬券にさよならを』を入手済みです。これは2019年の連載分をまとめたもので、やはり面白い!実に惜しい人を亡くしたものですが、入手できるところまでは遡って入手していこうと考えています。

(了)

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