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新婚生活からドン底生活へ

運命と信じて結婚した夫の女癖の悪さは落ち着くことはなかった。
元教え子のカノジョも悪びれた様子はなく町で偶然に会ってしまったときも私の顔を見ても平気な様子だった。

嫉妬で苦しみ眠れない夜にカノジョの携帯に電話したこともある。
そんなときもカノジョは平然と
「先生とは結婚をする気なんてないので。
遊んでるだけだし…」とあっけらかんと話す。
夫にもカノジョにも怒りや悲しみをぶつけたところで
現実は何も変わらず私の気持ちは治まることはできずにいた。
ただただ寂しくて、悲しい夫婦生活だった。
外向きには高学歴、高収入の夫。
高級レストランに連れて行ってくれたり、
海外旅行にも連れて行ってくれる。
でもどんなときも
こころの中の嫉妬も寂しさも共にある感じだった。
私に対して罪悪感があるから
償いのためにしてくれているのかとおもえた。

数年たって夫は単身赴任で東京の大学に転職することになり、私は仕事の関係で神戸に残り
単身赴任の生活がはじまった。
週末には互いに東京か神戸を行き来し一緒に過ごしている間に息子を授かる。
出産してから1年半はほぼ夫が隔週で神戸に帰ってくる日々がつづいていたのだけれど
ある日、私の会社に大きな段ボールが一つ届いた。
送り主は夫の名前。
でも書体は幼く彼の字でないことはすぐにわかった。
開けるとそこには夫の下着や本。
コンドームやマッサージオイルが入っている。
一枚のカードもあり
「あなたの花になりたい」と記されていた。
すぐに夫に電話し問い詰めると
「この世の終わりと思ってくれ」と意味不明な返答。
義理の両親にも相談して即座に東京から夫も帰って来て家族会議となった。
カノジョと別れたくなり一方的に会いに行かなくなり執拗に連絡があるので無視をしていたから私に段ボールを送ってきたのだろうとのことだった。
元教え子のカノジョは有名な美術館で働きときどきメディアでも紹介される知る人は知っている存在だった。
笑顔がかわいい。優しい笑顔と記事になっているのを目にするたびに怒りでカノジョを刺しに行きたくなる程の感情が湧くこともあった。
そして何よりそんな怒りや嫉妬に狂う自分が自分のなかにあることに気づき恐ろしくもあったのだ。