【どんぐりレターボックス】『TSUTAYAプレミアム』で試される映画愛。

昨今、NetflixやHuluなどの定額動画配信サービスに押されて、ジリ貧と噂されているCDやDVDレンタルなどをしているTSUTAYAですが、2017年から実店舗でのレンタルとネットの動画配信が月額1000円で借り放題、見放題になる『TSUTAYAプレミアム』というサービスが登場したのをご存知でしょうか。

お店でも借りられて、なおかつネットでも観れちゃうという一見夢のサービスにも思えて、このサービスが発表された時には真剣に検討したりもしたのですが、色々と見ていくうちに私が出した結論は『これを利用するメリットはない』というものでした。


●普通の人は酔狂ではお金も時間も費やさない

というのもこのサービス、一見『誰でもウェルカムですよー!』みたいな顔をしながら、実はかなーり人を選ぶサービスだと思うんですよね。

その一番端的にあらわれている部分が『※ただし新作や準新作を除く』という部分です。そう、このサービス、取り扱えるのは旧作のみなんですね。
新作、準新作はあくまでお店で借りてくれ、と。
言いたいことは分かりますが、この時点で半分、いやほとんどの人が、このサービスに興味を失うのではないでしょうか。

まず、そこまで映画を観ないライト層は全滅です。だって、話題の新作が観れないんじゃ、そもそも何を観るのって話でしょ。過去の名作だってそんなに知らないし、それだったら『テレビでいいじゃん』ってなるのではないでしょうか。

そして、映画好きの人なら皆価値を感じるかというと、必ずしもそうではないと思います。私の近所では旧作であれば7泊8日で100円で借りれますから、もしお買い得感を感じる為には、少なくても月に10作以上借りなければいけなくなります。しかも旧作を。
これって割とハードルが高いと思うんです。もちろん観ていない映画なんて星の数ほどあるし、たくさん観られる事は嬉しいことには違いないのですが、興味があるのは大体観てたりするし、それに新作や準新作だって観たいのですw。

つまりこのサービスで一番ヒットするのは『月に旧作映画を10本以上は軽く見ていて、かつ、知っている映画を何回も観るタイプか、興味があるけども知らない映画がたくさんある映画好き』というタイプだと思うんです。

そんなやつ、いるかーーいっ!(いるんだろうけどw)

ゾンビ映画好きな人がきっと面白くないと分かっていてもB級ゾンビ映画を観るのはそのジャンルに愛情があるからであって、必ずしもそれが他より優れているからではありません。同じような意味で『TSUTAYAプレミアム』というサービスは、まるで禊のような『このハードルを超えられる者だけが、契約すればよい』みたいな感じだと思うんですよね。そういう『愛』を前提としたサービスはなかなか難しいと思うのです。
普通の人は理由もメリットもなく、そこに時間とお金を費やしたりはしないのですから。

そんなわけで私は、TSUTAYAに行く度にこのサービスを宣伝しているのを目にして、『せめて準新作とか入ってたらな~』なんて思いながら、『新作、準新作5作で1000円』キャンペーンを利用して映画を借りるのです。


●ビデオレンタル店の過去・未来

値段も当時の方が高くて、しかも『字幕版』と『吹替版』が別だったので、しょっちゅう間違えて借りちゃったり、受付のお姉さんが障害になっておっぱい映画を断念したりと、今思うと割と不便だったかもしれませんねw。

今では動画配信サービスの台頭によって、場所や時間を選ばず、好きなときに映画を観ることが出来るんですから、当時の私からしたら「未来じゃん!」って感じですね。ま、未来なんですがw。
そういう意味では映画好きにとって『手軽に観れる』という夢が叶って、いい時代になったなーと思います。

でも一方で、なんとなくもの寂しく感じられるのは何ででしょうね。
実際にお店に行ってタイトルや裏のあらすじを読んで借りたりする感じが、これからは無くなっていくのは寂しいし、映画を観るということが便利になっていけばいくほど、映画としての価値がちょっとづつ下がっているような気になるから不思議です。

「昔は良かった」なんて言うつもりは全然なくて、私がTSUTAYAに通う理由は『私が観たい時、観たいタイミングでタイトルを選んで観ることが出来る(動画配信サービスではそれが出来ない)』という、普通に自分にとっての便利さを追求しただけだったりするのですが、それでも、店舗が無くなっていくのは寂しいな~と思う訳です。

せめて、違う形でも存続してくれればと『TSUTAYAプレミアム』の宣伝を見ながら思ったりもするのですが、出版業界同様、ネットとの共存はなかなか難しいですね。


願わくば、私の近所のTSUTAYAだけは、いつまでも頑張って欲しい。
そんなことを考えながら、今日も映画を観るのでしたw。


(ちくわ【どんぐり】)

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