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chicje パパラチアサファイアを選ぶ会-石好きのための贅沢な時間

月のリズムでスケジュール管理をする人気の手帳、「ムーンプランナー」。その制作者おふたりがスピンオフ的に主催するジュエリーブランド、chicjeによる、石を愛でるイベントに出かけてきた。
今回のテーマは、「非加熱パパラチアサファイアを選ぶ会」(というか、「愛でる会」というべきか?)。会場は、中板橋の名門カフェ、1Room Coffee 内のお部屋。美味しい水出しコーヒーをいただきたながら、chicjeセレクトの、それはそれは美しい鑑定書つきパパラチアをじっくり鑑賞して、気に入ったらお持ち帰りもOKという、石好きにはたまらない時間である。
とはいえ、今日のお目当ては、オパールだった。幻惑的な魅力のオパールは、白系から透明系まで、それぞれの石が特徴を持っている。遊色のある石が好きなので、青味からふわふわいろんな色が流れ出すような石を、長い目で探していた。
パパラチア、と言いつつ、今回は実はオパール祭り?でもあり、ルースケースにいろんな表情の石がこれでもかと並んでいた。
わざわざ事前申し込み制のイベントにしているこの会。ほとんどジュエリーデザイナーさんとマンツーマンでじっくりお話ししながら、選ぶなり愛でるなりできるのがとてもいい。
ただし、私は石に関しては、「呼ばれた!」というような直感で選んでしまう方。今回も、青みがかったオーバルカットの美しい子と目が合って即決した。
当初は、手元でいつも眺めることができるリングも考えていたのだけど、この石は絶対ペンダントトップ向き。そして、デザイナーさんと話しているうち、下の部分に小さなエメラルドをあしらった、アンティーク風の仕立てにしてみようかと思いついた。
実はいっとき、アンティークウォッチに魅了されていたことがあり、お世話になっていた某名門ショップのスタッフさんから、しきりにアンティークジュエリーも勧められた。時代はだいたい19世紀末から20世紀初頭のヨーロッパのものが多かった。当時いくつか購入した時計は1950年代くらいとジュエリーより時代が新しく、そして時計の場合は使わずに在庫されていたり仕舞われていたデッドストックが多い。それに対して、この時代のジュエリーは…。2つの大戦を経た時代、プラチナなどの貴金属は、おそらくは、手軽に携帯できる財産として、波乱の経過を辿ってきたのではないか。ものによっては、弾圧された人びとから乱暴に奪われたものもあるだろう。実際、デザインは気に入ったのに、手に取った瞬間、いやな感覚が走ったものもあった。歴史を知っているだけに、このようなものを身につける気にはどうしてもなれなかった。
今回、ジュエリークロスの上で、一目惚れのオパールに極小エメラルドを並べてみて、ずっと欲しかったアンティークのペンダントの形が頭の中でくっきりと再現された。
ペンダントへのお仕立てをお願いしたオパール。このジュエリーは、何億年ものあいだ、地中で私のことを待っていてくれたものだ。そこには、ほかの誰のどんな記憶も記されてはいない。この石の物語は、仕上がったその日から、持ち主となる私自身が紡いでいくのだ。
ブランドでも値段でもない。好きな石を自分で選び、オーダーする。その贅沢を味わい尽くした、本当に素敵な時間だった。

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