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レベッカ・キャンベル『ディスカバー ユア コズミック ブループリント』を受講して

大ヒットしたオラクルカード「ワークユアライト」

オラクルカード好きな人なら、オーストラリア出身のスピリチュアリスト、レベッカ・キャンベル氏が2018年にリリースした「ワークユアライト オラクルカード(Work Your Light Oracle Cards)」をきっと一度は手に取ったことがあるだろう。英語圏だけではなく、このデッキは、原著出版翌年の2019年にライトワークスから日本語版が出版されるや、たちまちオラクルカード分野の売上ナンバーワンの座を独占することになった。ピオニーローズ色を中心とした美麗なペールカラーを基調に、あくまで美しく見る者の想像力と好奇心を刺激しながら描き出される神秘的な世界は、日ごろオラクルカードを自分では購入しないタイプの人たちの心までもしっかりととらえて離さなかった。日本語版の出版当時、筆者はたまたまライトワークス本店の店頭でワークショップやセッションを受ける機会を多く持ったが、このカードは本当に売れに売れて、商品を収めた陳列キャビネットが何度も空になる光景を今でもはっきりと記憶している。

ビジュアルの点で、これほどまでに美しいカードは後にも先にもなかなかないのでは、と思えた「ワークユアライト 」だが、他方、カードリーダーとして扱うとなると、このデッキはなかなかくせ者でもあった。背景にあるヴィジョンがあまりに深遠で、解説書を見てもやや難解な宇宙レベルでガイダンスが示され、なんとなく「行間を読め」的な著者の態度も見え隠れする。そんなこんなで、私の中ではいつしか、クライアントさまからリクエストがない限りなかなか手を触れないデッキとなっていた。ある時、某カードリーダーの先生とこのデッキのことを話題にした時、そのあまりにも可憐でガーリーな雰囲気と内容の難解さのギャップを、「見た目は可愛いけど口の悪いギャル」と表現されていたのが、実に言い得て妙だと感じられたりもした。

レベッカ・キャンベルから学べる新講座登場

なんとなく敬遠しがちになってしまった人気のデッキ。しかし、その理由が単なる好き嫌いではなく、実際には自分自身が著者レベッカ・キャンベル氏の哲学を理解しきれていないことにあるのは、なんとなくわかっていた。

こんなふうにもやもやとした気持ちを抱いていたタイミングで、2020年3月、ライトワークス社の通信講座サイト、ライトワークス スタディにレベッカ・キャンベル氏による新講座、「ディスカバー ユア コズミック ブループリント」が登場したのだった。まずは、この魅力的だが難解なカードデッキの真髄に触れたい気持ちから、すぐに受講を申し込んだ。

この講座の目的は、ひとことで言うなら「魂の探求(Soul InquiryTM)」である。つまり、何度も転生しながら学びと経験を深め、共通した目的を遂げようと旅を続ける自分自身の魂の声に耳を傾け、それを掘り下げる過程を受講者に体験させることにあるのだ。

講座冒頭のキャンベル氏によるイントロダクションによれば、もともと彼女は自身のウェブサイトにて「ソウルブループリントレポート」という「探求」の手段を提供していたらしいのだが、これがたちまち大好評となって対応できなくなり、レクチャーの形を通じてより多くの人がそのプロセスを体験できるように、というコンセプトで編み出されたのがこの新講座「ディスカバー ユア コズミック ブループリント」だということらしい。

気になる講座の内容は…

講座をスタートしてまず驚きだったのは、スタートとともに膨大な資料のプリントアウトを求められたことだ。従来のライトワークスの通信講座は日本語スクリプトもすべてPDFで見られるようになっていて、パソコンと自分のメモがあれば最後までスムーズに受講できる仕組みになっていた。

しかも、キャンベル氏がこの講座のために用意した資料は全147ページ。これは全く思いもよらなかった。冒頭「イントロダクション」を視聴したあと、ごそごそと一時間ほど、資料の印刷に勤しむことになった。

そして、講座のスタイルも実にユニークだ。全6課はそれぞれ12のビデオから構成されていて、受講の手順としては、まずキャンベル氏のコンセプト、哲学にまつわる説明を聞いて、そのあとは自分で、プリントアウトした資料とワークブックをかなりの時間を取りながら埋めていく。まさしくこの膨大な資料こそが自分の魂の「ブループリント」ということになるわけで、過去生、魂のタイプ、運命と宿命など、つぎつぎと与えられる多様なテーマごとに自分の本当の姿を少しずつ丁寧に掘り下げていくプロセスがここで実現する仕組みになっている。

これは最後まで受講したあとでつくづく感じるのだが、この「魂の掘り下げ」(講座中でキャンベル氏はこの行為を「深海ダイブ」と呼ぶ)は、自分の手で書き、構成することによって初めて意味を持つのだと思う。どのようなアプローチであれ、他人から「あなたの魂は〇〇タイプで過去生は▲▲」と言い当てられたところで、そのことにさほどの意味はないだろう。自分自身で魂の深い記憶に回帰し、そこから本来の自分の意図やあり方を「採って」くることこそが大切なのであって、その経験を経てこそ、自分の「いま」の姿についてより深い落とし込みが可能になるのだと、自分でワークブックを埋めてみて、つくづく実感した。

誘導瞑想の素晴らしさ

「ディスカバー ユア コズミック ブループリント」講座の素晴らしさのひとつは、随所に挿入されたすぐれた誘導瞑想だろう。

たとえば、キャンベル氏によれば、私たちひとりひとりは心の中に「内なる神殿」をもつという。受講者たちがこの「内なる神殿」へと足を踏み入れられるようになるために、キャンベル氏は講座内で20分程度かけて丁寧な誘導瞑想を提供している。明快なゆっくりした言葉で私たちを心のうちの精神スペースへと導き、それぞれにとって最高に美しく、神聖かつ居心地のいい神殿へと導いてくれるのだ。

ちなみに私の「内なる神殿」は、フランスの片田舎の人里離れた場所に忘れられたかのように建つロマネスク風の古い礼拝堂で、入り口にはいつもミモザの花がアーチ状に咲き乱れていた。このイメージが、何度も繰り返されるうちに自分にとって本当に懐かしい場所へと変わっていくのが不思議な体験だった。

さて、課題として「内なる神殿」が登場したあと、アカシックレコードからソウルツリーまで、様々な概念が紹介され、私たちはその都度、人類の全記憶を収めた巨大図書館や生命の森、さらにはレムリア大陸を、上質の誘導瞑想を通じて訪れることになる。

ただし、どこへ連れていかれるにせよ、基本の入り口はいつも「内なる神殿」なので、受講ステップが進むにつれて、自然と脳裏のどこかに、この神殿に通じる道筋が作られていく。誘導瞑想は一度きりではなく、このように繰り返し練習を重ねることで、自分の気持ちが最も静かになれるところ、自分自身の本当の魂の声と対話できる場所への「パス」が可能になる、ということもまた、じつに新鮮な体験だった。

もうひとつ付け加えるなら、誘導瞑想だけでなく、講座全体を通じて、キャンベル氏が明らかに、わかりやすく平易で、そして美しい英語の言葉を選んで使っていることが聞いていてよくわかり、その点でもとても好感がもてた。

「ワークユアライト・オラクルカード」の世界

さて、講座の冒頭動画を最初に見たとき、なんとも言えない既視感、デジャヴュ感にとらわれたのは、おそらく筆者だけではないだろう。背景に咲き乱れる薄桃色のピオニーローズ(芍薬)、白いスレートの柱と床、樹々をわたってどこからか吹き込む風。フラワーモチーフのややオールドファッションなドレスに身を包んだキャンベル氏その人を含め、これらはまさしく「ワークユアライト・オラクルカード」の裏表の絵柄に繰り返し登場するモチーフばかりだ。

最初はあまりに装飾的で違和感すら覚えたこのセッティングだが、受講ステップの半ばで、実は、何ひとつとして講座の内容に関係のないものはこの映像には含まれていないことがわかる。特に、芍薬の花は、私たちが自分の心に咲く「魂の花」を探る作業において大切な役割を負うことになる。「ワークユアライト・オラクルカード」の裏面に乱れ咲くピンクの薔薇とピオニーの意味を、このとき初めて意識した。

結局のところ、第一印象で非常に難解に思えたこのカードデッキは、実は、「ソウルブループリントレポート」という、きわめてすぐれた魂の掘り下げ、魂の軌跡の探求作業をするための、補助ツールとして構想されたものにほかならない。講座を受けたのちに改めて手に取ったデッキは、すでに解説書を見なくても、講座内容が素直に落とし込めるようになっていた。「かわいいけれどコワモテ」に思えたこの作品は、まさしく、レベッカ・キャンベルによる「魂の探求(Soul InquiryTM)」と「ブループリント」の哲学を封じ込めた貴重なシンボルの集成であったのだ。

ちなみに、おなじく発売後大人気を博している「ワークユアライト」の姉妹版デッキ、「スターシードオラクル」(2020年)は、講座の後半で扱われる「宇宙レベルでの転生」というコンセプトにより特化した構造になっている。自身の魂のルーツが宇宙にあるという直感を受けた人は、こちらのデッキから、よりピタリとくるメッセージを受け取れるかもしれない。

おわりに

ちょっと苦手だったオラクルカードに込められた真意が知りたくて受講を決めた通信講座。結果的には、174ページにもわたるワークブックを埋め、すばらしい誘導瞑想に身を委ねることで、これまでとは人生の見え方が違ってくるほどの学びを得ることができた。自分を見つめ直したい、自分が生きていることの意味を知りたい。そんな人にはぜひおすすめしたい講座である。


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