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母が脳出血で倒れてから今日までの話#3

行きの新幹線。


あいかわらず全く実感が湧かなくて、到着すれば「ドッキリでした〜」なんていいながら誰かがプラカードでも持って出てくるだろう。

そんなくだらない妄想をしていた。


だけど到着が近づくにつれて現実味が増してくる。

着いてすぐに旦那さんの元へ向かい
直接改めて話を聞いた。


その時何もかも全てが本当になってしまった。
嘘ではなかった。
確かに母は倒れて意識が戻っていない。
そしてコロナ禍により面会は息子の僕でも一切できない。

こうしている間にこのまま誰にも看取られることなく
母は逝ってしまうかもしれない。

気がおかしくなりそうだった。


人と連絡を取るたびに
電話越しに泣き声が聞こえてくる。


みんな信じられなくて、パニックで
溢れ出してしまう。


それに触発されて。
僕もしばらく1人部屋で泣き崩れた。


落ち着いたところで、母が入院している病院の真隣のホテルにチェックインした。


母が入院している病院を見上げる
どこで寝ているんだろうか


目と鼻の先まできているのに
そばにいることも叶わない


地獄。ここが地獄。


チェックインして部屋に入る
少しでも近づけるように病院側に体を向ける


「絶対死ぬなよ…。
こんなんで別れるなんてありえないからな…。」


無力。本当に無力。
最後は手と手を合わせて祈ることしかできない。


これはあらかじめ用意されていた運命や試練なのかとかそんなことも考えたりもした。

気持ちを強く持って。
どっしり構えろ。


沢山の人に言われた。
そうだ。強く。必ず母は帰ってくると信じて待とう。


なんてったって僕を産んだ母だ。
ずっとロックな母ちゃんだ。
必ず帰ってくる。大丈夫。

そう思った時気持ちが一気に楽になった。
考えても仕方がない。


必ず最後は勝つ。


この日はずっと待っても病院から連絡がこなかったので近くのうどん屋さんで夜ご飯を済ませて床についた。

明日こそ連絡がくるかな…。

続く。



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