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寒気に襲われて目が覚めてしまった。 日の出ているうちは暑いくらいであったが、夜も更けた今、湿り気を帯びた空気は外套に包まってなお寒いほどだ。小さく熾火になった火床をかきまわして火種を見つけ、用意していた薪をくべる。ふと近くの茂みが目についた。何の変哲もない倒木が妙に気にかかる。目を凝らしていると虚に動くものがある。さては住処にしている小動物でもいるのだろう。罠を仕掛ればうまくすると朝にはかかるかもしれない。味気ない携行食ばかりの生活に彩りを添えてくれるかもしれない。 立ち上が