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Somewhere Far Beyond 2018-2021

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ハーミットインというスモールビジネス/ホビービジネスのオーナーとして。趣味人として。息子として。父親として。そして一人の人間として。創作のこと。今まで出会ったカッコいい大人たち。…
「フルーツジュースでU.S.A.」「ゾンビに負けるな、クリエイター」「オールドスクールファンタジー…
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2019年9月の記事一覧

猫目じじいが俺に教えてくれたこと(前編)

小学校の通学路は、俺たちにとって最高の大人観察だった。登下校にあって、毎日同じ場所、同じ時間に、同じ人たちとすれ違う。大人というものは、自分たちが思っているほど平凡ではない。誰も彼もが、子供の目からすると個性的である。品性や行儀をわきまえぬクソガキであるからして、今思えば、ありえないほどに非礼で不名誉なあだ名をコッソリつけまくっていたものだ。 一部を列記しよう。「ブルドッグばばあ」「ハングリーさん」「おフランスおばさん(のちに「ザーマス」に変化)」「インベーダーおやじ」「親

猫目じじいが俺に教えてくれたこと(後編)

「おじさん、どうしてこうえんの絵をかいてるの? すごい、じょうずだけど、ここは、こうえんじゃないよ」 猫目じじいは答えない。 その時、鳥が空を横切った。猫目じじいはそれをふいと見上げてコクリとうなづくと、何本かの筆を矢継ぎ早に取り、板切れ(それはパレットではなくほんとうに板切れだった)に出してある数色の絵の具をペシペシとキャンバスに載せた。するとどうだ。公園の空に、翼を広げて空に遊ぶ鳥が現れたのだ。やっぱり写真みたいで、それは本当に魔法のようで、俺は何が起こっているのか、

平安時代は平安だったの?

こないだの十五夜は、あいにくの曇天で月を拝むことができなかった。しょうがないので団子を食ったが、それはそれで楽しかったので、俺にとって月はオマケのようなものだったのかも知れない。 俺は、十五夜のような、季節ごとの行事をしっかりやるのが好きだ。なぜかというと、こうした時節ごとの催しを楽しむのが、日々の暮らしを豊かにすることに繋がると思っているからだ。