猫目じじいが俺に教えてくれたこと(前編)
小学校の通学路は、俺たちにとって最高の大人観察だった。登下校にあって、毎日同じ場所、同じ時間に、同じ人たちとすれ違う。大人というものは、自分たちが思っているほど平凡ではない。誰も彼もが、子供の目からすると個性的である。品性や行儀をわきまえぬクソガキであるからして、今思えば、ありえないほどに非礼で不名誉なあだ名をコッソリつけまくっていたものだ。
一部を列記しよう。「ブルドッグばばあ」「ハングリーさん」「おフランスおばさん(のちに「ザーマス」に変化)」「インベーダーおやじ」「親