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Somewhere Far Beyond 2018-2021

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ハーミットインというスモールビジネス/ホビービジネスのオーナーとして。趣味人として。息子として。父親として。そして一人の人間として。創作のこと。今まで出会ったカッコいい大人たち。…
「フルーツジュースでU.S.A.」「ゾンビに負けるな、クリエイター」「オールドスクールファンタジー…
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2018年7月の記事一覧

校長先生ありがとう

小学校で校長先生が勉強を教えてくれたことはなく、個人的に話したこともない。朝礼でためになる話をしてくれるお爺さん先生、ぐらいの認識でしかなかった。正直言って、顔も覚えていない。 ただ、他の子達はバカにしていたが、俺は、校長先生の話を聞くのが好きだったから、真面目に耳を傾けていた。大人になった今でも、毎晩必ず瞑想をするのは、校長先生がいつかの朝礼で話してくれたからだ。 俺が小学校を卒業するとき、校長先生が卒業生全員に手書きのメッセージを渡してくれた。その内容を、俺は一字一句

昭和でハードボイルドで

俺は探偵物語が大好きだ。 まず、主人公がカッコいい。エピソードが毎回面白い。お約束は守る。でも飽きさせない。この時代のドラマがほとんどそうであるように、シリーズ中盤すこしダルくなるあたりも、人間らしさを感じて最高にいい。 そして登場人物がカッコいい。食い物はうまそうで、誰も彼もがタバコを吸っており、バイクはノーヘル、車はシートベルト着用なし。男も女も服装がカッコいい。街もカッコいい。デザインとフォントと色がカッコいい。車がカッコいい。食器がカッコいい。 なにもかもがカッ

茶を一服

俺はよく茶を点てる。毎日という訳でもない。気が向いた時だ。 俺に茶道の心得はなく、茶器を視る目もなければ、千利休のような茶室もない。和室はあるけど、茶を点てる設備はない。戦国武将のように、戦乱の世において心の平安を求めているわけでもないし、茶道家のように、高度に様式美化された教養として嗜んでいるのでもない。 それでも俺は茶を点てる。なぜか? うまいからだ。そして心が落ち着き…パワーがみなぎる。

オールドスクールファンタジーは古いのか?

オールドスクールファンタジー。「Old school」と言う、“古き良き”みたいなイメージの語が入っているため、「過ぎ去った過去を偲びながら、当時を知る人たちだけが楽しむ、懐古的ファンタジーコンテンツ」に思えるかもしれない。 けど、俺はそうは思わない。ハーミットイン開業宣言以来、俺は一貫して「オールドスクールファンタジーは懐古趣味や懐かしコンテンツじゃない」と言い、「現在進行形がキーワードだ」と言っている。 もちろん、オールドスクールと言うだけあって、その源流は古い。本当

歩きまわるといいアイデアが出る

俺が好きなものはたくさんあるけど、散歩はそのひとつだ。ランニングとかジョギングとかトレッキングとかウォーキングとか、そういうシリアスなものではない。ひらすら近所を歩く。歩き回る。そう、散歩なのだ。 とはいえ、ご近所の住宅街を巡るのではないし、おきまりのルートがあるわけでもない。お気に入りの散歩コースは確かに出てくるけど、毎度同じだと日課みたいな感じがしてきて飽きるので、今日はこっち、明日はあっちと、毎日バラバラなコースを歩く。足が向いたところへ行く。自由。

ナベさんのラーメン

町内に住んでいたナベさんは、横山剣をちょっと細くしたような顔で、庭のある一軒家に住んでいて、カッコいい車に乗っていた。ロックンロールが好きで、いつもタバコを吸っていた。ナベさんには子供が二人いて、犬が大好きな奥さんと暮らしていた。ナベさんは父と仲がよく、その絡みから、俺も随分かわいがってもらった。 ある夏の土曜日。俺が部活の朝練を終えて家路を急いでいると、道でばったりナベさんに出くわした。ナベさんは買い物帰りのようで、近所の食料品店「ファースト・モリタ」の袋を下げている。俺