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ハルクウーベン博物誌〜ファンタジー世界の住人たち〜

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オールドスクールファンタジー世界『ハルクウーべン』に住まう様々な種族を詳しく紹介するガイド。地勢の解説や短編読物も収録。
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#トロール

ハルクウーベン博物誌〜ファンタジー世界の住人たち〜 序章&項目一覧

『ハルクウーべン博物誌〜ファンタジー世界の住人たち』は、オールドスクールファンタジー世界『ハルクウーべン』に住まう様々な種族やモンスターたちを紹介するnoteマガジンだ。 ここで記される様々な事物を突き止めるため、多くの冒険者や探検家、魔術師、そして学者たちが多大な労苦と時間を費やし、また時に道半ばで命を落とした。原本はハルクウーベンに住む人々の言葉で書かれているため、それを我々の言葉に訳し、君に届けるのは何大抵のことではないが、これから時間をかけて少しずつ、しかし着実に掲

種族解説:トロール(およびその亜種)

トロールははるか昔から現在に至るまでハルクウーベンに棲まう怪物だ。それなりに研究も進んでいる。その生息場所によって細かく分類され、生態もかなり判明しているため、読者諸君にとってはかなり信憑性の高い資料となるだろう。 本稿に収載された情報の多くは、トロール研究の草分けである学者イブリースの編纂した『穴から伸びた影の秘聞』に依るところが大きい。なお、イブリースはサレクロフトにおける霜トロール捜索中、野人に襲われてその生涯を終えた。 *** トロールに関する記録で最古のものは

短編読物:トロールのなかよし兄弟

「なあ、スナッパ。おれはやっぱり、なっとくできねえんだ。かんがえたけど、やっぱ、へんだ。よう、スナッパよう。おきろよう」 ボルゴに耳元で話しかけられ、スナッパは心地よい眠りを諦めねばならなくなった。ドゥームゴブリン部族「悪どい大目玉」の用心棒として、洞穴の入口守備を引き受けてから一月。数日に一度の頻度で、兄は同じ話を蒸し返しているのだ。右手で目を擦りながら、スナッパは忌々しげに口を開いた。 「……ボルゴ兄さん、またかよ。何事かと起きてみりゃあ、またその話か……何度話し合え