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ハルクウーベン博物誌〜ファンタジー世界の住人たち〜

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オールドスクールファンタジー世界『ハルクウーべン』のモンスターや種族を詳しく紹介するクリーチャーガイドブック。
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#ファンタジーモンスター

ハルクウーベン博物誌〜ファンタジー世界の住人たち〜 序章&項目一覧(24年9月更新)

『ハルクウーべン博物誌〜ファンタジー世界の住人たち』は、オールドスクールファンタジー世界『ハルクウーべン』に住まう様々な種族やモンスターたちを紹介するnoteマガジンだ。 ここで記される様々な事物を突き止めるため、多くの冒険者や探検家、魔術師、そして学者たちが多大な労苦と時間を費やし、また時に道半ばで命を落とした。原本はハルクウーベンに住む人々の言葉で書かれているため、それを我々の言葉に訳し、君に届けるのは何大抵のことではないが、これから時間をかけて少しずつ、しかし着実に掲

種族解説:ゴーレム

上古に生きた人間たちは、現在よりもはるかに高度な文明を築いていた。だが、この真実はほとんどの人々に知られていない。 庶民はおろか王侯貴族に至るまで、現在こそがもっとも文明が進歩している時代と信じて疑わないのは、彼らが愚かなせいではあるまい。為政者たちにとってはむろん、庶民たちでさえ、自分たちの暮らしが過去に劣るとは信じがたいことなのだ。 考古学者や魔術師、そして墓荒らしたちはこの事実を知っているものの、彼らが取り立ててそれを喧伝することはない。学者や魔術師たちは、現在の退

種族解説:ミミック

ミミック、すなわち“擬態せるもの”に関する記録は古い。上古に栄えた国ヘイデリアで記された粘土板に“人食い箱に食われた王女”の記述がある。つまり今から約四千年前に、ミミックに人間が接触した(と言うよりも喰われた)記録がしたためられているのだ。 現在ミミックは、魔術師や学者の間でこそ存在を知られてはいるが、人々の間で、この恐ろしい魔物はほとんど、あるいはまったく知られていない。オークやゴブリン、ノールやコボルド、ドワーフやエルフといった種族は別としても、同族ならざる者たちの存在

種族解説:闇トロール

トロール。この巨大で愚鈍な種族には、実に数多くの亜種が存在する。今回紹介する闇トロールは、無数に存在するトロール民族の中でも、もっとも異質なたぐいと言って差し支えない。 他個体と離れた独居を好む他のトロールと異なり、闇トロールは集落をなして山間部に定住する。彼らはトロール族の中でもとりわけ長身で力も強く、動きも俊敏な上、若い頃から戦いの訓練を積む点でも、暗愚な従兄弟たちとは一線を画す民と言えるだろう。 闇トロールの名は、彼ら自身が自分たちをそう呼ぶことから来ている。彼らが

種族解説:サハギン

サハギンと呼ばれるこの種族は、ハルクウーベンを囲う海で栄える、謎と恐怖に満ちた水生人間の一種だ。その性質は邪悪にして凶暴で、人間の言葉は話さない。 サハギンが暮らすのは、大陸東部から南部にかけての、比較的温暖な海域である。サハギンの生活圏はもっぱら海中で、それゆえハルクウーべンの陸上に住まう者たちとほとんど関わりはないが、無縁ではない。沿岸を離れすぎて沖に出た漁船や交易船は、時折サハギンによる襲撃に遭遇することになろう。一度や二度ではなく、船が沈むまで何度もだ。ゆえに船乗り

種族解説:ゴブリン

ゴブリン。数の上では人間と同じかそれ以上に栄える種族であり、その生活圏は大陸全土に及ぶ。ゆえにその親類も多く、研究が進んでいないものを含めれば、数十種にのぼるゴブリンが現在でも栄え、その分類は近年ますます複雑化しているようだ。ここでは、大陸全土の平野部や山林で見られる最も一般的なゴブリンたち...コモン・ゴブリンを例に、ゴブリンがおしなべてどのような種族であるかを解説しよう。 ゴブリンの背丈はドワーフと同じくらいで、細い手足を持つ。実のところ、人間の成人男性と同じかそれ以上

種族解説:バグベア

この巨大で毛むくじゃらの凶暴な種族がバグベアと呼ばれるようになったのには諸説あるが、おそらく古語由来であろう。今では話す者もいなくなった古の西方語(アルフモート古語の一種)で“燃やす”をバーグ、“けだもの”をボルアと言うが、村々を襲っては火をかけて回った人もどきをバーグボルアと名付け、これが訛ってバグベアとなった、という説がもっとも有力だ。この「古代西方語由来説」は、バグベア及びノール研究の権威たるケイポンの学者デンヴァンが提唱したものである。デンヴァンの著作『ヘネテガルトの

種族解説:ドラウグル

ドラウグルは恐ろしいアンデッドだ。〈冥王〉の支配下になく、また、死霊術師やヴァンパイア、あるいはリッチーといった〈不死なる君主〉に従属する訳でもない。いわば、上位者の存在しないアンデッドである。 ドラウグルは上古の昔に葬られた北方の英雄や豪族、あるいは主君のために殉死した近臣の成れの果てだ。上古のころ、北方の王や英雄の遺体は、丁寧な防腐処理を施され、多数の殉死者と共に埋葬された。神聖アルフモート王国東部から北部に点在する古墳群は、多くが北方人のものである。 スケルトンやゾ