マガジンのカバー画像

ハルクウーベン博物誌〜ファンタジー世界の住人たち〜

31
オールドスクールファンタジー世界『ハルクウーべン』のモンスターや種族を詳しく紹介するクリーチャーガイドブック。
運営しているクリエイター

#ハルクウーべン

ハルクウーベン博物誌〜ファンタジー世界の住人たち〜 序章&項目一覧(24年9月更新)

『ハルクウーべン博物誌〜ファンタジー世界の住人たち』は、オールドスクールファンタジー世界『ハルクウーべン』に住まう様々な種族やモンスターたちを紹介するnoteマガジンだ。 ここで記される様々な事物を突き止めるため、多くの冒険者や探検家、魔術師、そして学者たちが多大な労苦と時間を費やし、また時に道半ばで命を落とした。原本はハルクウーベンに住む人々の言葉で書かれているため、それを我々の言葉に訳し、君に届けるのは何大抵のことではないが、これから時間をかけて少しずつ、しかし着実に掲

短編読物:どんぐりの木の下で

一日の仕事を終えて食卓についたボリスは、母にようやく、自分の考えを伝えることができました。今まで何度も口にのぼせては、そのたびにはぐらかされてきましたが、今夜ようやく、母はボリスの話を最後まで聞いてくれたのです。 言い終わったボリスが冷たくなったお茶をすすると、母はため息をつき、悲しそうな声でボリスに言いました。 「おまえはまたそんなことを言うのかい。ここにいれば、おまえはずっと安穏に暮らせるんだよ、ボリス」 「おまえは、里の学校を一番の成績で卒業したじゃないか。どうし

種族解説:ゴブリン

ゴブリン。数の上では人間と同じかそれ以上に栄える種族であり、その生活圏は大陸全土に及ぶ。ゆえにその親類も多く、研究が進んでいないものを含めれば、数十種にのぼるゴブリンが現在でも栄え、その分類は近年ますます複雑化しているようだ。ここでは、大陸全土の平野部や山林で見られる最も一般的なゴブリンたち...コモン・ゴブリンを例に、ゴブリンがおしなべてどのような種族であるかを解説しよう。 ゴブリンの背丈はドワーフと同じくらいで、細い手足を持つ。実のところ、人間の成人男性と同じかそれ以上

種族解説:バグベア

この巨大で毛むくじゃらの凶暴な種族がバグベアと呼ばれるようになったのには諸説あるが、おそらく古語由来であろう。今では話す者もいなくなった古の西方語(アルフモート古語の一種)で“燃やす”をバーグ、“けだもの”をボルアと言うが、村々を襲っては火をかけて回った人もどきをバーグボルアと名付け、これが訛ってバグベアとなった、という説がもっとも有力だ。この「古代西方語由来説」は、バグベア及びノール研究の権威たるケイポンの学者デンヴァンが提唱したものである。デンヴァンの著作『ヘネテガルトの

種族解説:コボルド

コボルドは小柄で、その背丈は人間の子供、あるいは成人したハーフリングと同じくらいだ。犬によく似た顔をしているが、小さな角が生えており、体毛は薄く、ウロコのような表皮を持つものもいる。その声は甲高く上ずっており、エルフたちはコボルドの声を大変嫌う。 性格はおしなべて意地悪くずる賢いが、それは敵対者に対してのことだ。コボルドは細工が好きで、家族の団らんや、親戚や友人を招いて食事と会話を楽しむこと、草花を育てることなどは、略奪や強盗、あるいは捕らえたハーフリングに靴を履かせていじ