短編読物:野伏マルドゥクの憂鬱
北方の流れ者ガルス、遍歴の行にある聖職者アレクセイ、青年魔術師アルドレドの三人は、放浪の野伏マルドゥクに従い、冒険者として各地を渡り歩いている。すでに何度か仕事をこなしているが、まだ一行の結束は固くはない。いや……より正確に言えば、そりの合わない者が二人いた。ガルスとアルドレドだ。
それぞれに有能で、どちらもマルドゥクとアレクセイには信を置いている。だが、当人同士がどうにも合わない。白ケ原に生まれ、傭兵として各地を渡り歩いてきた戦士ガルスは、マルドゥクが組んで久しい無二の相