短編読物:どんぐりの木の下で
一日の仕事を終えて食卓についたボリスは、母にようやく、自分の考えを伝えることができました。今まで何度も口にのぼせては、そのたびにはぐらかされてきましたが、今夜ようやく、母はボリスの話を最後まで聞いてくれたのです。
言い終わったボリスが冷たくなったお茶をすすると、母はため息をつき、悲しそうな声でボリスに言いました。
「おまえはまたそんなことを言うのかい。ここにいれば、おまえはずっと安穏に暮らせるんだよ、ボリス」
「おまえは、里の学校を一番の成績で卒業したじゃないか。どうし