カードゲーム『勇者の帰還』の紹介
はじめに
筆者がここ数年、オンライン・オフライン共に遊んでいるカードゲーム『勇者の帰還』がとても面白いので遊んでくれる人が増えたらいいな、という記事です。お付き合い頂けますと幸いです。
『勇者の帰還』の概要
『勇者の帰還』は、ひいらさん(@hiirach)が個人制作した2人対戦用のカードゲームです。固定のカードプールの中からそれぞれが作成したデッキを持ち寄って対戦する、いわゆるLCGと呼ばれるジャンルのゲームです。ユニット・スペル・スキルの3種類のカードを駆使して、相手のリンク(HP)を0にすることが勝利条件です。2021年から本格的な制作が始まり、主にオンライン上での有志のテストプレイと調整を経て、2024年に完全版としてリアルカード版の頒布に至りました。
後ほど触れますが、任天堂が開発したゲーム『カードヒーロー』の影響を強く受けており、そのゲーム内容は主に『カードヒーロー』のカードプールのバランス調整、及び基本ルールの部分的なアップデート、の2点から成っています。
『勇者の帰還』の魅力
『勇者の帰還』の制作におけるひいらさんの目標は「対戦相手との対話に富み、全てのプレイに選択肢が存在するような、(ひいらさん自身を含む)TCGコアゲーマーを満足させる対戦カードゲームの実現」だと理解しています。『勇者の帰還』においてこの目標は見事に達成されており、120種程度の限られたカードプールでありながら、デッキ構築・プレイ共に難解かつ奥深い対戦環境が提供されています。これが、『勇者の帰還』の最大の魅力と言えます。
この魅力を形作る基盤として、『勇者の帰還』には以下の特徴があります。(2.と3.は『カードヒーロー』から引き継いだものです。)
カードの色が8種類に分かれていて、その中から2種類の色を選んでデッキを構築する。
ユニットを配置する場所と攻撃範囲の概念があり、ユニットの攻撃範囲を活かした陣形構築が重要となる。
カードの効果を使うための共通コストである“チップ”は手番を跨いで持ち越しされるため、効果的なタイミングを見極めて使うことが重要となる。
1.の特徴によってデッキ構築の幅広さが、2.と3.の特徴によってプレイの選択肢の幅広さが生まれています。
尚、詳細なルールはひいらさんのブログで公開されています。
『カードヒーロー』との関係について
上のルール詳細を読むと、『カードヒーロー』をご存知の方はこのゲームが『カードヒーロー』とかなり似ていることに気付くと思います。『カードヒーロー』は任天堂が2000年及び2007年に発売したカードゲームで、商業的には成功しませんでしたが(泣)、根強いファンを持つゲームです。ひいらさん自身が”カードヒーローおばけ”を自称するファン(と表現するのは生ぬるい狂人)です。『勇者の帰還』は『カードヒーロー』から多くの要素を引き継いでおり、リメイクと言って差し支えありません。
では『カードヒーロー』と比べて『勇者の帰還』は何が良くなったのかと言えば、最も大きいのはデッキ構築の幅が大きく広がったことだと思います。
『カードヒーロー』は素晴らしいゲームでしたが、カードバランスについては最高ではありませんでした。更に比較的小さいカードプールと相まって、”対戦で強いカード”は限られていました。そのため真に勝率の高いデッキを求めた場合、有力なデッキタイプはわずか数個程度で、リストも9割方が固定されてしまう、という問題がありました。(それでも尚、プレイにおける選択肢の幅広さによって奥深い対戦のできるゲームでした。)
『勇者の帰還』では、多くのカードが『カードヒーロー』に元ネタを持ちながら、全てが”対戦で強いカード”に調整されています。その結果、『カードヒーロー』よりもはるかに多くの戦略でデッキを構築できるようになっています。
例えば筆者のお気に入りは”狙撃手”で、”ケッコウ”や”キラービ"から追加されたパッシブスキルによって、”4パワー後衛”としてデッキの主力を担えるようになっています。(後衛に強みを持つ”黄色”ならではのカードです。)
その他、長くなるので詳しくは述べませんが、表題にもなっている”勇者"システムや、”固定スペル”の存在、チップを回復する”ドライブ”の選択肢等がゲームの基本ルールをアップデートしており、デッキ構築及び対戦における選択を更に奥深くしています。
購入方法、遊べる場所
リアルカード版の購入については、ひいらさん(@hiirach)に直接お問合わせをお願いします。基本的にはひいらさんの遠征のタイミングに合わせて手渡しで対応しているようです。
イベントへの出展では、今年7月に浜松市で行われる以下のイベントで頒布があります。ただ、リアルカード版の在庫は既に大部分が捌けてしまったとのことで、持ち込み数は少なくなりそうです。
浜松ボードゲーム祭の翌日には、同じ会場で対戦会も予定しています。
ちなみに、リアルカード版の価格はフルセット(カードのみ、全374枚)で¥10,000です。
…分かります。娯楽の溢れた現代において、決して安価ではありません。
もっと手軽(?)に遊んでみるには、以下のディスコードサーバー内でオンライン版が無料で遊べます。ハクシさん(@ki_999999)から提供されている、『勇者の帰還』専用のユドナリウムサーバーを使います。希望してもらえれば、インストから対応します。
ユドナリウムでの対戦風景は以下のような感じです。概ねマニュアル操作ではあるものの、ハクシさんの手によって色々な工夫が施され、遊びやすくなっています。
また、なんでもいいさん(@nandemoii_games)のYouTubeチャンネルでは、過去の対戦動画も見ることができます。
おわりに
かれこれ3年ほどテストプレイヤーの一人として遊んでいますが、強調したいのは、テストプレイヤーとしての義務感で遊んだことはなく、あくまで楽しいから遊んでいたということです。筆者にはまだ小さな子供がおり、限られた自由時間の中で、それでも他のことよりも優先して『勇者の帰還』を遊びたいと思いました。これは、他のテストプレイヤー達も同じであったと思います。(白状すると、"ティアキン"や"スプラ3"が出た時はしばらく対戦数が激減しましたが。)
ひいらさんとそんなテストプレイヤー達で叩き上げたゲームなので、これは挑戦状でもあります。このゲーム、壊せるものなら壊してみせよ、です。
興味を持ってもらえましたら是非遊んでみて下さい。かつて『カードヒーロー』を遊んだ人に、そうでなくても、対戦カードゲームが好きな人には、お勧めできるゲームだと思います。
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