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遺留分について➀ Q.相続における「遺留分」って何??

A. 遺書でも侵害できない、相続人に与えられた権利のこと

1. はじめに

前回のnoteで、「特別縁故者」についてお話ししました。

そこから飛んで、今回は「遺留分」についてお話していきたいと思います。

そもそも「遺留分」についてはこのnoteの最後の部分でちらっと触れただけでした。

話がコロコロ変わって申し訳ありません。まだ相続放棄や特別縁故者について話足りないこともありますが、こちらもそれらに負けず劣らず大事な話になりますので、こちらを優先的に書きたいと思います。

それでは行きます。

2.  遺留分とはなんぞや

....突然ですが、みなさんが下記のような場面に遭遇することが一生のうちであるかもしれません。

➀母が遺した遺言書に、「全財産を自分以外の兄弟にに譲る」、と書いてあった場合。
➁父親には愛人がおり、財産をすべてその愛人に遺したいと遺言書に書いていたば
絶縁状態にある親に1円でも財産を渡したくないと考えた場合。
LGBT事実婚の方など、愛するパートナーが相続人となれないが、財産のすべてを譲りたいと考えたとき。

その全てに関係してくるのが、"遺留分"という考えです。

「お前さっきから遺留分、遺留分って繰り返し言ってるけど、そもそもどういう意味なの??」

申し遅れました、その答えは、民法1028条の解説に載っています。

"被相続人が遺贈または生前贈与を行っていても、本条に定める法定相続人は相続財産のうちで一定の相続分を自己のために確保することができる。これを遺留分という。"


...遺留分
とは、簡潔に言うと、"相続人(兄弟、姉妹以外)が最低限の財産を相続できる権利"のことです。

3. Q 遺言書、遺留分ってどっちが優先されるの?

→A. 遺留分

民法902条には次のように書かれています。

"被相続人は、前二条の規定にかかわらず、遺言で、共同相続人の相続分を定め、又はこれを定めることを第三者に委託することができる。ただし、被相続人又は第三者は、遺留分に関する規定に違反することができない。"


この条文の中の、

"ただし、被相続人又は第三者は、遺留分に関する規定に違反することができない。"

という文に注目です。ここから、遺留分>遺言となるわけです。

4. 遺留分減殺請求について

...さて、皆さんは前述した民法902条を読んでみてどのような感想を持ちましたか??

私はといえば、「なんだかちぐはぐな条文だ」という印象を持ちました。

「遺言」「遺留分」という相反する2つの単語が混ざっているからです。

つまり、遺言は"被相続人"、遺留分は相続人の権利を守っているのではないかと思うのです。

まあ、双方の権利はお互いに全うであり、なおかつ完全な意思の一致はありえないと考えれば、このように妥協するしかないのかもしれません。

そして、この一連の流れについては、「遺留分減殺請求」と呼ばれます。

5. 余談

ここで余談ですが、

遺留分減殺請求という言葉が、長ったらしいので、ちょっと言葉を分解して考えてみましょう。

「遺留分」という言葉は先程説明したので省略します。

「減殺」と言う言葉の意味は、文字通り、「少なくする」という意味です。

相続において自分の取り分を主張して(遺留分)受遺者らの取り分を少なくする(減殺)という意味になります。

...どうですか、分解するとより言葉がわかりやすくなりませんか?

これに限らず、相続の単語においては、無駄に長ったらしい言葉がよくありますが、分解して考えるとわかりやすくなりますし、記憶も長続きしますのでおすすめです。

6. 遺留分減殺請求に関しての注意点

はい、本題に戻ります。この制度に関して調べていく中で、気をつけなければならない点がいくつかありました。今回はそのうち1つについて話していきたいとお思います。

注意点 遺留分減殺請求には期限がある

遺留分は絶対的なものではありません。
相続人の権利である遺留分を侵害した内容の遺書を作成しても無効にはなりませんし、遺留分の侵害をした内容で相続が行われることもあります。

上記は、主に、相続人が遺留分減殺請求の申立 をしないときに起こります。
自分の財産権が侵害されていることが分かったら、直ちに遺留分の請求を行うべきです。

7. 遺留分減殺請求を行える期間について

具体的に請求できる期間について見ていきましょう。

先程、遺留分減殺請求を行える期間は予め決まっているというお話をしましたが、具体的にいつまでなのでしょうか。

民法1042条に次のような記載があります。

"減殺の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。"

キーポイントは、条文の中に出てくる「一年間」「十年」の2つですね。

順番に説明していきます。

まず「1年」時効消滅を指します。相続が開始した時を知ってから一年経つと時効によって権利が消滅してしまいます。

「時効」

と聞くと、刑事事件で犯人を罪に問える期間、と自動的に想像してしまいますが、もちろん時効にはそれ以外の意味もあります。

また、相続開始期間から10年が経過したときにもこの遺留分減殺請求は消滅するのです。こっちは除斥期間(じょせききかん)と呼ばれます。

2つともざっくりいうと"期間"について話しているのに別々の名前がついているのはなんだか不思議ですね。

除斥期間については、初耳で、気になったので詳しく調べてみました。

調べてみてからわかったのですが、この言葉は相続の文脈だけではなく日常生活においても使われているということを知りました。

"法律で定められた期間のうち、その期間内に権利を行使しないと権利が当然に消滅する場合の、その期間をいう。"

    https://www.athome.co.jp/contents/words/term_2043/
           (除斥期間について)

                                 

8. 「時効」と「除斥」って具体的に何が違うの??

この2つの単語で異なっていることはいくつかあります。

ただ、遺留分の話をしていたのに、どんどん話が遠ざかってしまっているような気がするので、ここは参考URLを使用させてもらって端折りたいと思います。

...話を戻します。

民法1042条を読んだとき、私が違和感を感じた部分が1つあります。それが

「排斥期間を10年間も設定する必要ある??」

というものでした。

確かに、遺留分減殺請求ができる期間を最長10年に設定しておくことは相続人の権利を守るためにも大切なことだと思います。

忙しいビジネスパーソンで相続税、まして遺留分減殺請求のことを一から勉強するのは大変なことだと思いますし、弁護士を探すのは、一年では大変な部分もあるでしょう。

ただその一方で期間が長かればよいという単純な話でもないと思うのです。

なぜなら10年の期間で状況は大きく変わっているからです。

新たな問題、トラブルが発生することは目に見えているでしょう。

....とここまで書いてきてまた文字数が3000字を超えてしまいました。

遺留分については内容が濃くて、まだ伝えたい内容の2割も話せておりませんが、これからコツコツ話していければと思います。


9. おわりに(毎度のことですが...)

みなさまの貴重な時間をいただき、また最後まで読んでくださりありがとうございます。
ただ、本noteの内容は、完全性や正確性を保証するものではございません。記載内容を利用される際は、ご自身のご判断と責任に基づいてご利用くださいませ。

また、この中に相続のお医者様がいらっしゃいましたら、間違っているとこを容赦なくご指摘いただければ幸いです。

それでは、良い週末を。


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