陽だまりの粒 外伝⑤ 後半
1990年9月20日(木)
昼休みの軽音楽部部室
美彩、智美、里香、芳恵、美佳の5人が集まって弁当を食べながら会議を開いていた。
議長の里香が、各自の安倍に関する調査レポートに目を通しながら溜息をついて言葉を発した。
「何で咲がいじめられてた事に誰も気が付かなかったんだろうな」
里香の言葉に続く者が誰もいない。
押し黙ったままの空気が支配する中、里香がボソッと一言呟いた「安倍って一体何者だ」
智美も美彩も安倍の奇行を目の前で見ているが安倍という男のことは以外に知られていない。
さらに里香は話を続けて「美彩も智ちゃんも咲の気の強さは知ってると思う…だから何で咲がそこまでいじめられてたんだ?」
「食物科を調査したら、まず教科書やノートに落書きした人物は自分から名乗り出なかったんで、そこを少し暴れて脅かしてやったら 、以外な話が聞けたんだ」と智美が話し出したら、「何々何々何々何何々何々何々何々」とそこにいる全員が話に乗ってきた。
「食物科が実習で教室を離れる時は誰かが🔑を教室に掛けていくんだけど、わざとカギを掛けない様に誰かが安倍に手引きをしてたみたい」智美のレポートにその場にいた者皆が驚いた。
「智ちゃん食物科の男子の人数って何名?」
「3人」里香の問いかけに智美は即答で答えた
「もし安倍に手伝っているのが男子だったら、咲が気の毒過ぎるな…その3人呼び出して締めて
みるか?」
「もし手引きしてるのが女子だったら里香はどうする?」それまで口を閉ざしていた美彩が重いく口を開いた。
「どうするもこうするも、当然それ相当の代償は償ってもらうよ!」
「それってリンチする」
その時、貴代が軽音楽部部室の戸を思いっきり開けた。
そこにいた者が注目する中、息を切らしながら貴代は、「大変なの、咲が暴れて指導室に連れて行かれた」と叫んだ。
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