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陽だまりの粒 外伝⑤中盤

1990年9月17日(月)
デート中の慎一郎と智美がガソリンスタンドで給油をしている最中に灯油を入れるポリタンクを自転車に2タンク積んで持ち込んで来た男がいた。

ガソリンスタンドの店員は「お客様ポリタンクにはガソリンを入れる事が出来ないんすが、宜しければこちらの方で携帯缶をお貸ししますので、そちらに給油いたしますか?」とその客に説明しているが、「それではダメなんだよ!とにかくポリタンク二つにガソリンを満タンに入れてくれ」

その光景を眺めていた智美が「あ~っ」と声を上げて「慎ちゃん、アイツだよ!アイツ!!咲に付きまとって、咲を虐めている安倍喜朗だ!!」

慎一郎がじっと安倍の行動を眺めているが、
安倍はとうとうスタンドの店員と揉めて泣き出してしまった。

「なんだあれ」慎一郎は、智美が吸おうとしたタバコを取り上げて、智美に聞いてみた。
「何って農高3年生で一年生の時から咲に絡んで、咲を苦しませている張本人だよ」

ガソリンを満タンにしてお金を払った慎一郎は、国道4号線を仙台方面に走り出した。

「でさぁ慎ちゃんにお願いがあるんだけど、咲の彼氏が今度の日曜日に宮古からお祭りにやって来るんだけどその時に安倍から守ってやってくれない」
慎一郎は少し考えて「何で俺?咲の彼氏は喧嘩に弱いのか?」と不満そうな感じてタバコに火をつけた。

「ハッキリ言ってね喧嘩は慎ちゃんよりもずーっと強い!でもさっきの安倍の行動を見たでしょ…
アイツは目的のためなら何でもやる!だから慎ちゃんの力がどうしても必要なの」
智美は慎一郎の顔をじっと見て、そう言った。

智美の熱意に負けた慎一郎は、「これで最後だからな」と少し照れたような顔をして智美に返事をした。

「慎ちゃん大好き💓💓💓💓」
「わかってるよ」

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