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パリ軟禁日記

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2020年3月17日、今日から僕らが当たり前に享受していた移動の自由が奪われる。ここ、自由の国フランスで。外出禁止令が施行されたのは、時が真昼を告げる刻だった。 軟禁状態にある…
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#読書感想文

パリ軟禁日記 53日目 ゲバラに学ぶ

2020/5/8(金)  本日はヨーロッパ戦勝記念日。  ナチスドイツが降伏し第二次大戦が終結したことを記念する祝日。  読書をして過ごした。その結果、新訳『ゲバラ日記』を読み終わった。革命家エルネスト・ゲバラが没するまでの最後の1年間の記録だった。  ボリビアの密林で展開されるゲリラ戦…とは言っても、毎日苛烈な戦闘が行われるわけでない。多くの日は密林の中のA地点からB地点に行軍したり、物資を調達したり、食料や備品を隠す穴を掘ったり…という「日常」が淡々とした文体で語られ

パリ軟禁日記 47日目 さらばペスト

2020/5/2(土)  頂からの景色は、やっぱり格別だった。  軟禁生活が始まってから、辞書を引きながらのゆっくり精読していたアルベール・カミュ『ペスト』を読み終わった。長いようで、短い旅だった。以前の日記で「外国語で小説を読むことは、異国の山を登ることに似ている」という日記を書いた。今回の登山も、多くの学びがある素晴らしい旅だった。  読むきっかけは2つあった。まず、この度のウイルス蔓延による都市封鎖と軟禁生活を経験するにあたって、先人の知恵というか、ケーススタディ