1万円

朝730のマックは出勤前のサラリーマンがいっぱい。

本日ノーワークデイにつき、子供達とのランニング1キロ伸ばして朝ごはんを外で一緒に食べることになっていた。
ランニング時にはお財布は持たない。iphoneを携帯するラン用のウェストポーチにお札だけいれる。今日は細かいお札がなくて1万円。

ランは順調。おお、ちゃんと3キロ走れたね、と駅前のマクドナルドの近くでiphoneでの計測を確認して、お店にはいる。
並んで何食べる〜?なんて話しながら、

あ!!!1万円がない(@_@)!と気がつく。

さっきiphone出した時に落としたんだ、とお店でて、道を捜索する、、、

子供たちも、え、ママいくら落としたの?ええ!!1万円?!(@_@) やばいじゃん!!と、大騒ぎ。。
多分、この辺の道にあるはず、、、と声をかけ、店のまわりの道の端から端まで見渡していたから、、、

ん?ママ、あの人、1万円眺めて首かしげてる、あれじゃない??

と娘が囁いた。
んん?と頭をあげ目を向けると、50メートル先に駅に向かう人の中で、確かに何かを目の前に見つめながら首をかしげて歩いている背中を見た。

手を見るとお札のようだ。
あ!!!と思い、ダッシュで追いかける!!
その間多分3秒ぐらい。
走馬灯のように、色々なシュミレーションが思い浮かぶ。そのお札、私のです!と言っても証拠がない。逆に怪しまれるのではないか?もし、相手が悪意あるおじさんだったら、逆にいちゃもんつけられるのではないか?

あ!!私が追いついた時には、なんとその彼は首をかしげながら、自分の財布に1万円をしまおうとしていた!!(@_@)

しかし、追いついて斜めから顔が見えた時、よし、と腹が据わった。

その1万円、もしかして拾った??

と、お財布にしまおうとしていた1万円を指差して、私はにこやかに聞く。

その彼はビックリして表情が硬直していた。コクリ、とだけうなづいた。

あ、それ、私が落としたんだ、すみません。

と言ったら、彼はしまおうとしていた、お札をそのまま私に渡してくれた。
後ろで子供たちが、ママー!よかったねーー!と騒いでいる。

多分、中学生か高校生のその彼は、顔が硬直したまま、無言で足早に駅に去っていった。

娘が、ママ本当によかったね、あの人、お金拾ってどうしようと思って、交番に持っていこうと思っていたんだよ、あとちょっと声かけるの遅かったら交番まで、いかないといけなかったね!(^^)と、にこやかに言う。
自分だったら絶対そうするーーと言いながら、やや興奮気味にこの顛末を笑っていた。

いや、違う、娘よ、彼は首をかしげてうーん、うーんと考えた後に、自分の財布に入れようとしていたのだ。きっと、1万円は交番には届かない。

きっと彼は、
ん?なんだ?1万円??え!1万円??俺、拾ったの?マジで?!こんなことあるの?わー、1万円だよー、、と思いながら1万円を眺めながら歩いて、どうするの?こういう時どうするんだ?こんなの初めて、、でも誰もわからんよね、、という思いもよぎり、とりあえずしまっておくか、、と財布を出したのだと見えた。(私の想像だけど)

決して悪気があったようには見えない。きっとこんな機会は初めてで、どんな風に対処していいのか、自分でもわからなかった。交番はあと50メートル先にある、けど、でも、とりあえず後で、、ぐらいに思ったのだと思う。

小学生の娘は、そんな人間の複雑な心境は読んでないから、そのまんまを想像する。純粋に性善説。素晴らしい。

大人の私は、そんな彼の表情、年齢、態度を、瞬間に見極めて、本当は私のものである証明もできないのに、その心境を逆手にとって、自分の落ち度で落とした1万円をやや強引に奪回した。。(^^;;

そして、親子3人で娘のファインプレーを肴に、朝マックを楽しんだとさ。
ある朝の1万円をめぐるお話でした。

#情とか性とか

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