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穴あけパンチのゴミ溜めたくない族

 こんにちは、返却期限です。

 自分だけではないと思うのであえて「族」と呼びますが、私は「穴あけパンチのゴミ溜めたくない族」です。

 事務仕事に追われ、穴あけパンチを使って2穴を穿つ日々を送る人は多いと思いますが、みなさんどのくらいの頻度で裏に溜まったゴミを捨てるのでしょう。
 「いっぱいになったかな、と思ったら」
 という回答が、栄えある第一位でしょうか。
 私は、使用したら、その都度捨てたい。
というのも、あの、丸い紙がミチミチに詰まった状態を見ると、なんだか脳がミチミチに詰まったような感じになるからです。
 もしかすると、満員電車を連想して、酸欠の感覚が蘇ってくるからかもしれません。
 あるいは、なんらかの虫の卵のようで、生命の圧にギャッと首が締まるような気になるからかもしれません。

 ……書いているだけで少し気持ち悪くなってきました。

 ともあれ、私はあれが苦手なので、職場の共用の穴あけパンチのゴミをこまめにチェックしてはすぐ捨てます。
 あの、白い丸いのが落ちてるのだけでも目がチラチラするので、極力拾います。

 などと書くと、私が酷く神経質で几帳面な人間のようですが、そんなことはありません。その証拠に、私は「ラインマーカー雑に引く族」でもあります。

 そもそも私は蛍光ラインマーカーの線を、定規を当てて文字に合わせてキッチリ四角く引くという発想がありませんでした。どちらかというとラインマーカーは「征服欲を満たす道具」と思っていて、教科書の太字を乱暴に塗りつぶしては「へっへっへ、染めてやったぜ」と野蛮な感情になっていました。

 そんな蛮族が、事務用品カタログを二冊渡され、マーカー部分の転記を任されたものだから、さあ大変。

 大量の転記を前に、私の頭は「品番を間違えないように」でいっぱいでした。仕事を任せてくれた先輩に「何度もチェックしましたから大丈夫なはずです!」と笑顔でカタログを返却し、見事、マーカーの引き直しを命じられました。そうです、先輩は「ラインマーカー四角く引く族」だったのです!

 先輩もショックだったでしょう。なんせ穴あけパンチのゴミをこまめに捨てる几帳面な後輩だと思って任せたのに、よりによってフロア全体で共有するカタログがこんな無残な姿で返却されてくるなんて。たいへんな裏切りです。

 つい私は「それならそうと、最初から言ってくだされば、定規を使って引きましたのに!」と言ってしまいました。とんだ甘え蛮族です。が、やっぱり、種族が違うとすり合わせとか折り合いが必要になってきますよね。

 というわけで、「穴あけパンチのゴミ溜めたくない族」の私は、「穴あけパンチのゴミ溜める族」や「穴あけパンチのゴミ散らかす族」を責めたりはいたしません。ただ、私が気づき次第、勝手に捨てていこうと思います。
 白状すると、前の職場では人の机上の穴あけパンチのゴミもこっそり捨てていました。さすがに今はやっておりません……あ、ちょっと嘘、やるときは持ち主の目の前でやってます。

 ちなみに、「穴あけパンチのゴミ溜めたくない族」をもっとコンパクトに命名したくて、「穴あけパンチの裏に、ゴミが雪のように積もっていくのが、脳に充ちていくようで不快」ということから「穴と雪の脳漿」と名付けかけて、即却下にしました。要約するの下手族。

 (※穴あけパンチが嫌いなわけではありません。)
https://youtu.be/byFQhMACUCk

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