people1ライブに行った
昨日people1のライブ「after dark」に行った。people1は3年ほど前初めて「常夜燈」という曲を聴いた時から大好きなアーティストだ。常夜燈以外にも、「113号室」「魔法の歌」「銃の部品」「DOGLAND」など、出す曲出す曲全部良い。メロディはもちろん、歌詞のセンスが天才的だと思っている。圧倒的な言語センスで俺の心臓をえぐってくる。普段なかなか音楽のライブに行くことはないが、一度生でpeople1の音楽を聴いてみたいと思い、チケットぴあの抽選を申し込んだ。昔から運の悪い俺だけど、今回は珍しく当選した。
会場はオリックス劇場という心斎橋付近にある初めて行くホールだった。ホールの中に入るとにぎやかな大学の学園祭のような雰囲気で少し嫌な予感がした。髪型と髪色に全てのアイデンティティを詰め込んだような人や、ライブ後に興奮をSNSで伝えることがあらかじめ決まっているような人、いかにもサークルでバーベキューやスノーボードを楽しんでいそうな人たちがたくさんいた。正直、客層がキラキラし過ぎていて、自分はどこか場違いな人間な気がした。周りの人の派手なグッズの身につけ具合、記念写真を撮っている時の表情、何をとっても俺はこの人たちと仲良くなれないと思った。でも皆俺と同じようにpeople1が好きで来ていることは間違いなかった。皆とにかく楽しみにしている雰囲気だった。それは少し不思議で少し嬉しくて何故か少しムカついた。とりあえず俺もpeople1の生の音楽を堪能しようと思った。
しかし、ライブが始まると、やはりその場違い感が間違っていないことに気づいた。people1がアップテンポな曲を演奏すると、周りの若者たちは一斉に腕を伸ばし、手の平をパーにして、上下にバタバタ動かしている。ライブでよく見掛けるあの光景だ。あの手はずっと疑問だ。アーティストに風でも送っているのか、盛り上がり過ぎているから落ち着けと言っているのか、皆なにを表しているんだ。
俺もライブという空間にわざわざお金を払って足を運んでいるわけだし、一応大人だから、みんなと同じように手を上下に動かすべきだと思ったけど、なかなか手が動かない。皆と同じように手を動かすことで盛り上がる空間なのに、なぜか俺の頭は手を一向に動かしたがらない。社会的な自分は手を動かせと言っているが、本能的な自分は手を動かすなと言っている。なぜ、みんなと同じように手を動かせないのだろうか。people1のcloserの冒頭の通り、「なんでなんだろう、どうしてなんだろう」である。というかそもそも、people1の音楽を初めて聴いた時、この人はライブでみんなと同じように手を動かせない俺みたいな人間なのではないかと感じた。だから好きになったのに、その人のライブに来てみるとやっぱりみんな盛り上がっていて少しショックだった。でも、音楽のライブってそういうものだから、俺のこの感覚がおかしいのは分かっている。マイノリティの思考を拗らせながら圧倒的なマジョリティの中で自分らしく生きる道を探すことは俺の人生課題だ。そんなことを頭の片隅で考えていたけど、いつの間にか「怪獣」の素晴らしい演奏に頭も目も耳も釘付けになっていた。その後も相変わらず手さえ動かせずにいたが、大好きな曲を生で聴けて最高だった。
2時間ほどでライブが終わった。
楽しかった。感動した。
でもやっぱり俺は盛り上がりすぎるライブはあまり向いてないと思った。椅子に座って落ち着いて聴けるようなライブに行きたいと思った。でもやっぱり何故か心のどこかで、何の疑問も無く皆と同じように手を上下に動かして、盛り上がれる自分になりたいとも思った。なんでそんなことを思ってしまうのかと一瞬考えたけど、やっぱりそうなったほうがこの世界が楽しくなるのは間違いないから、そう思うんだなと思った。そんなことを思いながら帰宅後、people1の「僕の心」を聴いた。大勢で生で聴くpeople1は良かったけど、やっぱり一人でイヤホンで聴くpeople1はもっと良かった。今のところ俺はそういう感じだった。
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