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東京 | カラオケボックス 店舗デザイン【Vol.72】

台湾での活動と並行して東京でもデザイン活動を行なっており、特にこれまでの海外での経験やネットワークを活かしたインバウンド集客にも配慮したデザインを手がけていきます。

直近のプロジェクトになりますが、都内の8階建てオフィスビルの上層部4層をリノベーションしてカラオケボックスにする店舗デザイン、更にリノベーションによって商業ビルに変わるので用途変更という確認申請業務を行うことになります。

クライアントは大手カラオケチェーンで、担当者男性Iさんから工事予算は少ないがお客様に「あっ」と言ってもらえるデザインを作ってほしいとリクエストされますが、この系統の要望が一番困ります。
これまでのお店は床や壁は安い材料を色の張りわけでやってきたそうで、その予算設定で、ゴージャスにとか、まあ、現実離れした夢のような事をたくさん要望されます。

銀座に新しいコンセプトのカラオケボックスが出来たので、社長が気に入っているので担当者Iさんから見に行ってみないか?と言われて行くのですが、広々ゴージャスでカラオケというよりラウンジのような空間と予算の使い方をしていて、今回の低予算カラオケボックスはワンフロア30坪(約100m2)程度のスペースにたくさん部屋を作るように要望されていて全く参考になりません。
やりたい事はわかるのですが、「もう少し予算を増やせませんか?」と言うと「それは無理だ」と言って、まあ、デザインに取り掛かっていくのですが、お店のコンセプト立案もこちらに丸投げで、大手カラオケチェーンも雑な仕事の進め方をするものだなあ、と思ったものです。

今回のデザインは台湾スタッフKさん、友人Sさんも東京サイドと一緒に遠隔で作業していくのですが、とにかくデザインのやり直しやり直しで、さすがにみんなウンザリしてきて、「もうこうなったら予算を無視してデザイン優先で考えよう!」、デザインが良ければ予算は何とかなるだろうと考えて、各フロア毎に異なる、テーマパークのようなコンセプトを立てて提案することにしました。

5階:大人の博物館・6階:TOKYO牧場・7階:ラグジュアリー(王様)・8階:銭湯カラオケ

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工事予算のこともあるので少しやり過ぎかなあ?とも思いましたが、日台共同作業で頑張ってプレゼン資料を纏め上げ、クライアントに提案し、これまでダメだダメだと言ってきたクライアントが大絶賛してくれて、提案したデザインで進めていくことになったのですが、逆にクライアントがやり過ぎだろうかとビビり出して、いろいろ言ってくるので、「これでやるしかないでしょう!」とこちらが背中を押す始末。

ご来店くださるお客様にデザインが受け入れられるかどうか、これってクライアントもデザイナーも感覚でやっている部分があって根拠付け出来ている事が実はあまりありません。
クライアントも社内女性スタッフに聞いてこうだったと言うくらいで、弊社も台湾のKさんやSさん、東京オフィスのMさんは女性なので、「どう思う?」とアドバイスを求めて、実際にデザインも考えてもらいますが、一概に女性と言ってもそれぞれ好みは違うものです。

私はデザインがお客様に受け入れられる根拠付けをするために、SNSに各フロアのイメージデザインを広告掲載し、広告ではエリア設定から年代や属性まで細かく設定出来るので、反応を本当に細かく分析し、日本では東京のみならず主要な都市部、台湾はじめアジア、さらにヨーロッパやアメリカなど、インバウンド集客が期待できそうなエリアの情報も取って、その結果をクライアントに報告し、「このデザインのままで良い反応が出てるので進めましょう!」と提言し、若干困った顔をしていましたが、押し切って実施設計に入る事にします。

この調査は非常に重要で、この反応が店づくりだけでなく、その後のプロモーション手法の検討にも使うことができます。
エリア毎で反応はいろいろあって、面白いデータがとれますし、何より世界中からメッセージが入って、これはどこに出来るんだ?、行ってみたい、など事前プロモーションにも繋がります。

当初のイメージデザインで想像以上に時間が掛かってしまったので、実施設計の時間が少なくなり、本当にバタバタでしたが日台共同でみんな頑張ってくれたおかげで何とか工事会社の見積りに移行するのですが、まあ、当たり前な事ですが見積結果は大幅な予算オーバーです。
結局、クライアントは工事費の追加費用を組んでくれないのにデザインはそのままで、となってしまい、工事会社とデザインはそれなりに維持した減額案で工事が進むことになりました。

オフィスビルから商業ビルへの用途変更申請も許可が出て、デザイン業務も終わり、リノベーション工事の着工が遅れながらも今年初めにスタートしました。

デザインを凝ってしまったためにこちらの作業が大幅に増えて大変でしたが、それなりに工事も進んで、工事も終盤に差し掛かったところで世界の皆さんが大きな影響を受けたであろうあの理由でクライアントの営業自粛に伴って工事現場が強制的にストップしてしまいます。

このタイミングでカラオケボックスのデザインに関わっていれば、あの影響を受けざるを得ませんね。
まあ、仕方ありません…

#コラム #仕事 #デザイン #店舗デザイン #リノベーション #カラオケ #東京

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