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愛しのラオス | 不発弾処理研修センター(2)【Vol.19】

東京での打合せを終えてプノンペンへ一旦戻り、後日ラオスの現場調査へ。

日系NGO・J様ビエンチャンオフィスで、弊社が担当する二期工事の構想内容を確認した後、ローカル会社が一期工事を行なっている郊外の現場へ移動し、到着して衝撃の光景が…

「こ、これ、基礎が浮いてるで!」

基礎もそうですが、何せ建設重機というものが現場に全くなく、手作業で現場を進めています。

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この世にこんな建設現場があるのか、とラオスの建設事情に衝撃を受けたのですが、「一期工事がうまくいかず苦戦している」とクライアントから聞いていた言葉を思い出しました。

ラオスがこんな工事レベルであれば、二期工事の設計どころではありませんし、工程管理もめちゃくちゃの様子。

「えらい工事の設計請けてしもたなあ」

現場調査の後、急遽、私たちは青い顔をしながらラオスの建設事情に詳しい、現地の建設会社や建築設計事務所を訪ね、いろいろレクチャーしてもらいました。

結論としては、概ねカンボジアと似た建設事情でしたが、このようなドローカルな建設会社もラオスにはまだ存在しているので、工事会社の選定には気をつけた方が良いとのことでした。

ちなみに、建築材料の流通に関しては、タイと近い首都ビエンチャンであれば手に入るものが多く、カンボジアよりも自由な材料選定がしやすい環境にあります。

結局、このような現地の建設事情に関しては、どこの教科書にも載っておらず、現地で情報収集し、実務を通して積み重ねるしかなく、これがノウハウとなっていくのです。

衝撃のラオス建設事情を把握し、カンボジア・プノンペンオフィスで設計作業に取り掛かりました。

日本国の外務省案件なので、特定の建設会社を決め打ちすることができないため、クライアントと協議の上、建設作業難易度の高い設計を控え、一期工事の仕様に添った内容で意匠・構造・設備の各設計を進めることになりました。

2〜3カ月程で順調に設計を終え、外務省の図面精査もOKとなったので、工事会社への入札案内に移行します。

クライアントが進めた一期工事では建設会社選定条件のハードルを低く設定し過ぎて苦戦したようなので、今回の二期工事では、こちらでラオスの建設会社をある程度リストアップし、今回の工事内容に対応できる建設会社が入札参加しやすい条件設定を行った上で、発注主の日系NGO・J様より入札の公示が行われました。

数社に手を挙げていただくのですが、見積書の提出期限から提出がかなり遅れ、しかも各社の入札金額の振れ幅(最安値と最高値の差)が非常に大きい。

見積提出期限が守れない事はカンボジアでもよくありますが、良い工事をするから金額が高いのならわかりますが、途上国の建設会社はとにかく根拠がアバウトで、高くてめっちゃくちゃな場合、逆に安いと見積漏れなのに後日平気で請求してくる、見積チェックがとにかく大変です。

最終的に建設会社と面談もしますが、配属される現場監督の能力で当たり外れがかなりあるので、結局は運のような部分もあります。

クライアントが今回の二期工事の設計・工事監理を日系建築設計事務所へ依頼したかった理由がよくわかりました。
見積チェックを含む建設会社選定は、我々のような専門家が関わらないと難しい、しかも、外務省案件であれば日本側の動きとも連動しなければいけません。

この間、プノンペンからビエンチャンへ幾度となく飛び、二転三転しながらも発注する建設会社が決まり、無事、工事監理のフェーズへと移行することができました。
続く…

#コラム #仕事 #建築設計 #海外進出 #アジア #ラオス

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