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ハワイタイムマシーンZ/太平洋のど真ん中で 14.強力な助っ人を得てカメハメハ1世が暴れ始めます

アイザック・デービスとジョン・ヤング

日本の戦国時代、織田信長は鉄砲を大量に取り込むことで一気に戦力を拡大しました。それから200年以上後になりますが、カメハメハ1世も同じことをやっています。西洋人の船で見かける銃や大砲を使いたいと思ったんですね。それらを手に入れるチャンスは偶然やってきます。

1790年のことです。

中国に向かう途中のアメリカ船2艘とハワイアンの間でいざこざが起こります。1艘はそのまま中国へ向かいますが、もう1艘は怒ったハワイアンに一人以外皆殺しにされてしまいます。なんでそうなったか、とか、いろんなところでいろいろ書かれているんですが、わたくしが書きたいハワイの歴史とは直接関係ないので置いておきます。

この時、二人の西洋人がハワイ島に残ることになります。

・アイザック・デービス/皆殺しにされた船の中で、全身傷だらけで生き残った
・ジョン・ヤング/もう一艘の船から偵察のために上陸して、そのまま置き去りにされた

カメハメハ1世は、このいざこざには直接関わっていなかったみたいですが、乗組員皆殺しが西洋人に知られたら、強烈な仕返しを受けるかもしれないことを心配し、ハワイアンに、とにかくビーチへ行かないよう指示したそうです。そして、アイザック・デービスとジョン・ヤングを取り込むことを考えます。

カメハメハ1世は、彼らを取り込んで何をしようとしたのか。なんと、銃や大砲の使い方や西洋社会からの仕入れ方法などを学んだのでした。ううむ、まさに織田信長!

ちなみにこの二人は、その後もカメハメハ1世を助けていくことになります。

まるで日本の戦国時代のようでした

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同じく1790年のこと。オアフ島を手に入れて勢いに乗っていたマウイ島のカヘキリは、ハワイ島を混乱させることを考えます。ハワイ島を取り合ってる3つの勢力、

・ハワイ島北部 カメハメハ1世/Kamehameha
・ハワイ島ヒロ ケアヴェマウヒリ/keawemauhili
・ハワイ島南部 ケオウア/Keoua

を戦わせて、共倒れさせようというのです。それぞれの王に密偵を送り込み、けしかけたところ、ケオウアが簡単に引っ掛かり、ヒロへ攻め入ります。その手に乗らなかったのがカメハメハ1世です。なんと、マウイ島へ攻め込みます。

マウイ島はひょうたんのようなカタチをしています。東の中心にある山がハレアカラ。西にあるのがプウククイです。カメハメハ1世は、カヘキリの息子が率いる軍隊を、プウククイの谷間にあるイアオ渓谷へ追い詰め、全滅させます。

オアフ島では、カメハメハ1世がオアフ軍を全滅させたヌウアヌ・パリ展望台が観光地になっています。マウイ島では、このイアオ渓谷が同じような感じの観光地になっています。

イアオ渓谷へ行ったら、TASTY CRUST

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突然、関係ない話ですいません。わたくし、マウイ島のイアオ渓谷には、あんまり魅力を感じておりません。オアフ島のヌウアヌ・パリ展望台は、高台にあるのでカイルアやカネオヘの町を見下ろすことができます。が、イアオ渓谷はその名の通りで、谷しかないのです。見てもそんなに刺激を受けません。

でも、わたくしはマウイ島へ行った場合、けっこうな確率でイアオ渓谷へ向かいます。なぜなら、イアオ渓谷の近くに、ちょっと気に入ってるレストランがあるから。

TASTY CRUST(多分、テイスティークラストと発音)

朝早くからやってるプレートランチ屋さんで、観光客はほとんど見かけません。入っていくと、誰や?みたいな視線を感じます。バリバリローカルなお店です。オーナーは日系人やと聞きました。

わたくし、このお店が大好きです。パンケーキ、ロコモコ、サイミンなんかがある、いかにもハワイのお店で、特別美味しいとかそんなんじゃなくて、歴史を感じるというかなんというか。

あ、ごめんなさい。話がそれました。カメハメハ1世の話に戻します。

カメハメハ1世は、カヘキリの息子が率いる軍隊を、イアオ渓谷で全滅させましたが、そこにハワイ島の情報が入ります。

・ケオウアが、ヒロへ攻め入って、ケアヴェマウヒリを倒した

ケアヴェマウヒリの軍隊はもう少し踏ん張ると思っていたのに、あっさりと負けてしまったのです。マウイ島へやってきていたカメハメハ1世は焦ります。その時のハワイ島はケオウアの軍隊しかいないようなものです。このままでは占領されてしまう。カメハメハ1世は、すごい勢いでハワイ島へ引き返します。なんだか、織田信長がやられたのを知った豊臣秀吉が、すごい勢いで京都へ引き返したという話を思い出します。


ハワイ島がカメハメハ1世に味方します

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ハワイ島火山国立公園は、ハワイ島の南西にある世界遺産です。敷地はとても広く、お金を払って入るエリアには、大きな噴火口や溶岩が流れている海岸線もあります。敷地があまりにも広いため、ちょっと外れた敷地は、道路脇にクルマを停めて入ることができます。そのあたりは入園料は必要ありません。

どうしていきなりそんなところを紹介するかというと、なんと、溶岩大地の中に、ケオウアの軍隊の足跡が残っている場所があるから。

ヒロのケアヴェマウヒリ軍を倒したケオウア軍は、現在のハワイ島火山国立公園があるあたりを通過中でした。と、その時、マウナロアが噴火して、溶岩を流し始めました。

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ハワイ島には、マウナケアとマウナロアという標高4000m以上の大きな山が2つあります。北のマウナケアには世界各国の天体観測所が造られていますが、南のマウナロアには何もありません。なぜかというと、昔は噴火しまくっていたからです。例えば最近の噴火は1984年3月でした。1790年はもっと元気やったんでしょうね。

マウナロアの噴火で、ケオウア軍は全滅しました。カメハメハ1世のピンチは救われ、神に守られた、という伝説ができました。

当時のハワイはまだ文字を持っていませんでした。なので、この話も言い伝えでした。ずーっと後の1919年、地質学者が火山の調査に来たときに、溶岩の中に妙なものを見つけます。自然な模様ではなく、何やら後から付けたような、しかも同じ大きさのものがいっぱいついています。それは、全滅したケオウア軍の兵士たちの足跡でした。

足跡は、Footprintsと名づけられました。

わたくし、2004年のハワイ島取材の時、この足跡を見に行ってます。そこには真っ黒な大地が広がっていました。わたくし、ハワイ島へ上陸するまで、溶岩といえば、真っ赤でドロドロ流れているものを指すと思っていました。すでに固まっている真っ黒な状態のものも溶岩と言う、と知ったのはこの2004年の取材の時です。道は、溶岩に覆われた真っ黒な大地の中に、造られたのか、人々が歩くからただ自然にできたのか、よう分からん感じで続いていました。

すごい観光地を想像して行ったのですが、何もなく、足跡が残ってるあたりに小さな小屋があるだけでした。

この場所は、2017年にも訪れています。再びハワイ島の本を出すことになったので、改めて行ってみたのです。

驚いたのは、あちこちに物語を描いたプレートがあったこと。ただ、そこに描かれている物語は、昔聞いた話と、ちょっと違っていました。昔聞いた話では、カメハメハ1世の留守(カメハメハ1世はマウイ島へ行ってた)をハワイ島の噴火が助けた、でした。が、その説明ではカメハメハ1世はハワイ島のヒロを目指していることになっています。あれ?

ちなみに、わたくしは英語が超不得意です。そのあたりの説明も書いてあったのかもしれませんが、わたくしは理解できませんでした。すいません。

。。。。つづく


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