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ハワイタイムマシーンZ/太平洋のど真ん中で 30.カメハメハ4世の兄がカメハメハ5世となります

よく見るクイーン・エマの写真はカメハメハ4世が亡くなった後のもの

クイーン・エマを紹介する際によく使われているのがこの写真▲です。縦長にカットして使われたりしているので、お気づきになられてない方の方が多いかもしれませんが、彼女の背景に写っているのはカメハメハ4世の写真です。1863年12月、カメハメハ4世は、アルバート王子の後を追うように亡くなっています。気管支喘息やったそうです。29歳でした。その時、クイーン・エマはまだ27歳でした。

ちなみに、この写真でクイーン・エマの左に写っているのは、イギリスのビクトリア女王から贈られた銀製の洗礼カップです。アルバート王子のために贈られたものですが、これが届いた時、アルバート王子はもう亡くなっていました。そして後ろにはカメハメハ4世の写真。何も知らないと、ただのクイーン・エマの写真なんですが、いろいろ知ってしまうと、何とも悲しい写真です。

そうそう、オアフ島には、クイーンズ・メディカル・センターという病院がありますが、この「クイーンズ」は、クイーン・エマのことです。欧米人がやって来てから、ハワイアンは些細な病気で亡くなっていました。それを何とかしようと、クイーン・エマとカメハメハ4世が造った病院です。病院が造られたのは1859年でした。

1855年1月 カメハメハ4世、王に就任
1856年6月 カメハメハ4世とクイーン・エマ、結婚
★1859年 クイーンズ・メディカル・センター創設
1862年2月 カメハメハ4世の友人、ヘンリー亡くなる 
1862年8月 アルバート王子亡くなる
1863年11月 カメハメハ4世亡くなる

歴史を知れば知るほど、クイーン・エマが可哀想でしょうがありません。

カメハメハ4世の兄ロトが後を継いで王になりました

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カメハメハ4世が亡くなった後、カメハメハを名乗れるのはカメハメハ4世の兄ロトだけでした。1863年11月、カメハメハ5世として就任することになります。

カメハメハ5世は、カメハメハ4世が就任する前から、ハワイ王国の国会議員として活躍していました。カメハメハ4世就任後も内閣で働き、内務大臣、最高裁判長と経歴を積んでいきました。王になったのは33歳直前の32歳。ずーっと現場で働いていたせいか、ハワイ王国の問題点が何なのか、よく分かっていらっしゃったみたいです。

1852年、カメハメハ3世はハワイアンに権利を分散させるために憲法改正を行いました。第27話でも書かせていただきましたが、その結果、

・王の絶対的権力が弱くなった
・議会の力が強くなった(議会には欧米人がたくさんいたので、結果として欧米人の意見が通りやすくなった)

何より、たくさんの土地が、欧米人(主にアメリカ人、イギリス人)のものになってしまいました。そして、議会が欧米人に仕切られるようになったことで、国の政策が、ハワイアンよりも、欧米移民のためのものみたいになっていました。

1864年、カメハメハ5世は、この1852年の憲法を廃止し、王に権力が集中する体制につくりなおしました。

同じ年、サトウキビプランテーションでの労働力を補うために、移住民局なるものが設置されています。清(中国)から移民労働者を受け入れていましたが、それだけではなく、世界各国からの労働力導入を考え始めます。

カメハメハ5世は、就任早々、本当にいろんなことに着手しています。すげっと思いますが、王になった歳を知ると、分かる気もします。

カメハメハ2世 21歳
カメハメハ3世 11歳
カメハメハ4世 20歳
カメハメハ5世 32歳

カメハメハ5世の絵も反転ものがあったりします

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ちょっと、歴史の話から脱線します。

左右が反転しているカメハメハ4世の写真がありましたが、カメハメハ5世にもあります。カメハメハ5世というと、上の(1)の絵と(3)の写真が有名です。絵と写真なので、絵が反転したものと考えるのが当然ですが、気になったので調べてみました。

カメハメハ5世の写真は、カメハメハ4世みたいに、サッシュ(肩からかけている装飾用の帯)がありません。じゃあ、他に判断できるものはないかな?と見ていたら、胸にポリスバッチみたいなものが付いていることに気が付きました。(2)の写真に写っているカメハメハ3世も、このバッチみたいなものを付けています。これは胸ポケットに付けるものです。スーツの胸ポケットは左(着てる人から見て)についていますから、(3)が本来の姿みたいです。

どうして反転する必要があったのか? カメハメハ4世の絵はクイーン・エマと向かい合ってる写真にしたかったからかな?と勝手に思っていましたが、カメハメハ5世には、向かい合わせる人がいません。それでも反転させてるってことは、カメハメハ4世の絵を反転させた理由も他にあるのかもしれない。って言うか、カメハメハ5世の髪の分け目が、若い時と逆になっています。訳が分からなくなってきました。まあ、分け目をその時々で変えてる人もいらっしゃいますけど。こんなことで混乱している、わたくしは、アホなのかもしれません(涙)

気になったので、さらに調べてみました。

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ビショップミュージアムにある、ハワイ王国の王たちの絵です。4世の絵が左右反転で描かれているのは確認済ですが、5世の絵は…

え?え? 

サッシュは逆やけど、肩からかけてる金色の縄みたいなものは同じ方向です。これで完全に混乱してしまいました。ギブアップ。何のために反転させているのか、ご存知の方がいらっしゃいましたら教えてください。お願いします。

カメハメハ5世は、ニイハウ島をイギリス人に売ってしまいます

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1864年、カメハメハ5世は、ハワイ王国の島を売る、ということもやっています。何と、ハワイ諸島に一番西にある島、ニイハウ島を売ってしまったのです。ちょっと分かりにくいと思うので、箇条書きにしてみます。

・売った人/ハワイ王国
・買った人/富豪エリザベス夫人(スコットランド人)
・値段/ピアノ1台+$10,000(島民付き)

何と、島民付きです。現代の感覚では意味不明ですが、アメリカで、リンカーンが奴隷解放宣言をするのが1863年です。島民も一緒に、というのは、当時は普通のことやったみたいです。

※島民は奴隷ではありません。

ちなみに、ニイハウ島は現在も個人所有の島です。エリザベス夫人の家族の末裔、ロビンソン一家のものです。他人の家へ勝手に入ることができないのと同じで、ニイハウ島は現在も上陸できません。エリザベス夫人の遺言で、ニイハウ島は、昔のハワイアンの生活を維持するように努力しています。その為、外の世界(ニイハウ島の外という意味)から人が入ってきて、ニイハウ島の人々と接触するのを禁止しています。

ニイハウ島には病院などはなく、島民に何かあった時のために、ロビンソン一家はヘリコプターを購入しました。そして、そのヘリコプターの維持費を何とかするために、カウアイ島からニイハウ島へ上陸する、というツアーをやっています。ただし、上陸できるのはニイハウ島の東海岸の一部で、ニイハウ島の島民とは一切接触できません。

わたくしは、ハワイ情報サイトの編集長をやっていたので、これは行っておかねばならん、と思い、このツアーに参加したことがあります。4人以上じゃないと参加できなかったので(2020年現在は5名以上)、4人揃えて行ってきました。

誰もいないビーチに、いるのは自分たちだけ、という何とも不思議な体験でした。そうそう、その時、ハワイアンモンクシールが4頭か5頭、ビーチに転がってました。


。。。。つづく


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