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建築豆知識『コンクリートの強度』ー設計基準強度?調合管理強度? 圧縮試験との関係?-


コンクリート強度のいろいろ

コンクリート強度に関する用語には、似たような言葉が多いですよね。
 設計基準強度Fc
 耐久設計基準強度Fd
 品質基準強度Fq
 構造体強度補正値mSn(S値)
 調合管理強度Fm
 呼び強度F
があり勘違いしてしまうこともありますね。


設計基準強度Fc

構造設計で採用されたコンクリート圧縮強度のことで、現場で打設される構造体コンクリートの強度は必ず設計基準強度を満足しなければなりません。


耐久設計基準強度Fd

建物が使用される期間(計画供用期間)に対応する中性化速度が得られるコンクリートの圧縮強度のことで、供用機間に対応する圧縮強度は、
 短期   Fc18
 標準   Fc24
 長期   Fc30
 超長期  Fc36
と定められています。


品質基準強度Fq

設計基準強度Fcと耐久設計基準強度Fdの両方を満たすために必要な圧縮強度のことをいいます。FcとFdの大きい方の値ということですね。


構造体強度補正値mSn(S値)

コンクリート強度にはバラツキがあること、供試体と構造体品質基準強度Fqコンクリートは養生環境等が異なることから強度差が生じます。
具体的には、標準養生をした供試体の28日強度(m)と、コア供試体の91日強度(n)の強度差のことで、構造体強度補正値mSn(S値)はセメントの種類と予想平均気温により異なりますますが、
気温の低い冬と気温の高い夏は6N/mm2
その他の季節は3N/mm2
となります。
冬は水和反応が遅く強度が出にくいので、構造体強度補正値が大きくなります。
夏は水和反応が早く強度増加が早いのですが、強度の最大値が低くなるために構造体強度補正値を大きくします。



調合管理強度Fm

構造体コンクリートの強度が品質基準強度Fqを満足するようコンクリートの調合を定める圧縮強度で、以下の式になります。
調合管理強度Fm=品質基準強度Fq+構造体強度補正値mSn(S値)


呼び強度F

生コン工場に発注する強度のことで、調合管理強度以上の強度のものということになります。


コンクリート強度とコンクリート圧縮強度試験

コンクリートの圧縮強度は、供試体又は構造体から抜き取ったコア供試体により判定します。
判定基準は、供試体の養生方法や目的により異なりますので、勘違いしないように整理しておきましょう。

標準養生の判定基準      :調合管理強度Fm
現場水中養生の判定基準    :品質基準強度Fq
コア供試体の判定基準     :品質基準強度Fq
型枠支保工の早期解体に判定基準:設計基準強度Fc

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