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とことん『配筋検査のポイント①』-読むだけで手直しが減らせる-

配筋検査の流れ

配筋は、コンクリートを打設してからでは手直しができないので、各階・各工区毎に複数の検査により入念に検査されます。

  1. 専門工事業者による自主検査

  2. 施工業者による管理検査

  3. 工事監理者による配筋検査

  4. 審査機関による配筋検査(特定工程)

配筋検査前には、書類検査もあり、コンクリート打設計画書 ・鉄筋材料 ミルシート、タグのコピー等 ・圧接継手 自主検査記録、第三者検査記録 ・配筋 自主検査記録(専門工事業者、施工者) 設計変更部分の確認などがあります。


配筋検査の基本チェック項目

配筋検査とは、基本的には設計図書通り施工されているかの確認になり、基本的な検査項目は以下のとおりとなります。

  • 鉄筋材料

  • 柱、梁の主筋本数、鉄筋径

  • 壁、スラブの鉄筋ピッチ、鉄筋径、乱れ状況

  • かぶり厚さ(開口、スリーブ廻り含む)

  • 差し筋状況

  • 継手位置、重ね継手長さ

  • 圧接の状況

  • 定着位置、定着長さ、カットオフ筋長さ

  • 開口補強筋、スリーブ補強筋

  • 端部補強筋

  • 主筋のあき寸法

  • 帯筋、あばら筋の間隔、乱れ状況

  • 帯筋、あばら筋のフック

  • ひび割れ補強筋(床・壁)

  • 床段差配筋

  • スペーサー種類、設置状況

  • などなど

かなり多くの検査項目があり、実際には全ての配筋を確認できるわけではありませんので、ある程度ポイントを絞る必要もありますね。

基本的な基準は、これだけは知っておきたい『配筋基礎知識』をご覧ください。



一歩突っ込んだ『配筋検査のポイント』

ここでは、基本的な検査の一歩突っ込んだ配筋検査のポイントを整理したいと思います。
施工者、監理者は、設計図書による配筋検査だけではなく、一連の流れの中で検査をする必要がありますね。


後で「あちゃー」といわないように、検査する『目』を養いましょう。


配筋共通

  • コンクリート強度により継手・定着長さが異なりますので、事前に確認しておきましょう。

  • 結束線は内側に折り曲げるかSUS製を使用したいですね。

  • スペーサーはふかし寸法をプラスしたものを使う必要があります。

  • 鋼製スペーサーを使用する場合は本来かぶり厚さ分の防錆処理をする必要がありますが、下面は必ず防錆処理をしましょう。
    バルコニー下端などでは錆が目立ちますよ。

  • 比較的薄い構造体(壁・スラブ)への定着の起点を事前に確認しましょう。
    折り曲げ後の直線で定着長さを確保している場合があります。


基礎配筋のポイント

  • 山留が躯体に食い込んでいないか、空きすぎている場合はスタイロなどで埋める必要があることもあります。

  • 杭頭からのかぶり厚さが不足していることがありますので確認しましょう。

  • 捨てコンの不陸によりかぶり不足になることがあります。
    少し下げ目がよいでしょう。

  • ベース筋のXY方向で配筋が異なることがありますので、図面の確認がひつようですね。

  • ベース筋の端部は結束の為に突き出ていることがあり、かぶり厚さが確保できていない部分がありますので、確認が必要ですね。

  • 地中梁にキソエースなどの鉄筋受け架台を使用する場合、水平材が配筋より飛び出ていることがあります。
    鉄筋以外の鉄部も錆止めのためにかぶり厚さを確保したいですね。
    ちなみにキソエースの台座の裏側には錆止め塗装をする方がよいです。

  • 地中梁筋は杭頭補強筋や柱主筋を干渉し鉄筋のアキが確保できないことがあります。
    鉄筋量が多い中高層建物になると成り行きでは配筋が困難になりますので、事前に施工図でチェックし杭頭補強筋の位置などを調整しましょう。

  • 地下ピット通水管が地中梁下端主筋と干渉していることがあります。
    下主筋が2段以上になっている場合は確認する必要があります。

  • 同一部材で土に接する部分と土に接しない部分がある場合のかぶり厚さは土に接する部分で統一しましょう。


柱配筋のポイント

  • XY方向で主筋が異なる場合は、主筋の配列に注意してください。
    たまにX通り、Y通りの通芯方向と勘違いしていることがあります。

  • 上階で柱筋本数が増える場合は差し筋する必要がありますので、注意しましょう。

  • 第1フープが低くてかぶり厚さが確保できていないことがあります。
    第1フープはスラブコン天より50程度上げるとよいでしょう。

  • 柱寄せ筋がある場合は主筋の間隔が空き過ぎるとダメです。
    位置保持金物を使用するようにしましょう。

  • 柱頭の補強方法は仕様書により異なりますので確認しておきましょう。
    補強方法により上端のかぶり厚さが確保できるように柱主筋の高さを調整しておく必要がありますが、フックの位置が低すぎてもマズイですね。

  • 仕口内のフープの仕様が一般部と異なることがありますので、確認しておきましょう。

  • 梁に段差がある場合の柱の仕口は、柱に取り付く全ての梁成が重なる範囲になります。


梁配筋のポイント

  • XY方向主筋の上下は事前に設計図書で確認しておきましょう。
    わずかな寸法ですが構造計算に影響することがあります。

  • 上主筋の上に小梁主筋を乗せないようにしましょう。
    3段重ねになると上部のかぶり厚さが確保できなくなります。

  • 2段筋のあき寸法が大きすぎることが多いですね。
    スターラップフックと干渉し主筋が離れがちなので、事前に最大寸法を確認しておくとよいですね。
    結束線では切れてしまうことがありますので、位置保持金物を使用するようにしましょう。

  • 第一あばら筋の位置は柱面となりますので、注意しましょう。

  • 梁筋を丘組する場合は落とし込みしやすいように下主筋とスターラップの結束をしないことがありますので、梁筋の落とし込み後、下端部主筋が隅に配置されているかどうか確認しましょう。
    内側に寄ってきていることがよくありますね。

  • スラブ付きとならない梁(外周梁、階段部)にはフックを設けないか135°フックにする必要があります。
    途中でスラブがなくなる場合は注意ですね。

  • スペーサー(ドーナツ)はコンクリートがまわり易いように、縦使いを原則としたいですね。

  • コンクリート製バーサポートの強度は躯体強度以上となっているか確認する必要があります。

  • 腹筋の定着長さは通常30(結束ができればよい)程度ですが、ねじれが生じる梁の腹筋はL2を確保していることがありますので注意しましょう。


次回はメインフレームの配筋以外のポイントを紹介したいと思います。

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