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獣脚機動セイガ・第一話「飛鳥/すべての始まり」

シーン1【会長室】

ムラサメ(27歳男性)、ハチ(24歳男性)、対峙している。

ハチ「ムラサメ様。話って、なんです?」(神妙に)
ムラサメ「お前に、さよならを言いに来たんだ。ハチ。」
ハチ「えっ・・?」

ハチ、言葉が出ない。

ムラサメ「俺が山を降りたのは、人間を滅ぼすためではない。共存するためだ。今まで、騙していてすまなかった。」
ハチ「そんな・・」

ムラサメ、真剣な表情。

ムラサメ「お前にも、言い分はあるだろう。俺が憎ければ、好きなだけ殴って殺せ。」

ハチの泣きそうな表情。
ハチ、悲しみが怒りに変わる。
ハチ、変身ベルトのバックル部分を下腹にあてがう。ベルト紐が腰に巻きつく。
変身の衝撃で、髪をなびかせるムラサメ。
ハチ、メイガ(変身後の名前)に変身している。
迫りくるメイガ。

何かが起こり、建物内のブザーが鳴る。

そこへ、男たちがぞろぞろやってくる。

男の1人「何事だ・・!」

やってきた者たちは皆、とある光景を目の当たりにして慄く。

男の1人「おのれぇ・・討て!!」

男たち、「オォォォ!!」と叫びながら、メイガに駆け寄る。(走りながら、恐竜態に変身。男たちの正体は、トカゲ族)

メイガとトカゲ族、戦闘開始。メイガの一騎当千。

メイガ(ハチ)「うわぁぁぁぁ!!!」


シーン2

オープニング


シーン3【11時くらいの畑】

十八年後(テロップを出す)

主人公・冴島飛鳥(19歳男性)と、母の久子(42歳女性)、畑の持ち主・三河(51歳男性)が野菜の収穫をしている。

三河「飛鳥!後でいいが、そっち終わったら、今度奥の方を頼む」
飛鳥「はい、わかりました!」
三河「今日は暑いから、ちゃんと水分補給するようにな!」
飛鳥「ありがとうございます」

(三河と飛鳥の間には物理的な距離感がある)
飛鳥、持ち場の野菜を全て収穫する。
飛鳥、仕事場を移ろうと動き始める。途中、近くにいた久子に話しかける。

飛鳥「母さん、そっちはどう?」
久子「全然よ。どれも虫に食われてて、これじゃあ商売上がったりだわ。」(すごく疲れてる感じで)
飛鳥「そっか・・」

飛鳥、複雑な表情。
飛鳥、ふと空を見上げる。飛行機が飛んでいる。

飛鳥(心の声)「みんな、なにしてんだろう・・。」

飛鳥、しばらくたそがれている。

三河「飛鳥、そろそろご飯だぞー!久子さんもー!」
飛鳥「わかりました、すぐ行きまーす!」
飛鳥「母さん、行こう。」(肩を叩きながら)
久子「ええ。」(立ち上がる)

飛鳥、久子、農業用の建物の方へ歩き出す。

??「ヒサコ様・・!」(野太い男性の声)

飛鳥、久子、声の方を振り向く。そこには、スーツ姿の男が。

飛鳥「あの、どちらさまで・・」
男「ああ、やはりヒサコ様だ・・!生きておられたのですね!」(久子に対して腰が低い)
飛鳥「え?母さん、知り合いなの?」
久子「・・ええ・・。飛鳥、あなたは先に戻りなさい。二人で話をするわ。」(妙に真剣に)
飛鳥「う、うん。」

飛鳥、男のことが気になりながらも、農業用の建物のほうへ。


シーン4【昼・農業用の建物の中】

三河は、既に昼食を始めている。
そこへ、飛鳥が合流する。

飛鳥「お疲れ様です。」
三河「おう、お疲れ。あれ?久子さんは?」
飛鳥「外にいます。母を訪ねてきた人がいて、いま二人で話してます。」
三河「そうか。ご飯、できてるぞ」
飛鳥「ありがとうございます。」

飛鳥、席につき、いただきますを言って食事を始める。

三河「それにしても、お前がきてくれて本当に助かってるよ。こっちは、万年人手不足だからなぁ。」
飛鳥「それは、よかったです・・。」

5秒くらい沈黙が続く。

三河「やっぱり、大学に行きたいか・・」
飛鳥「・・しょうがないですよ。僕は家のことで精一杯だし。」
三河「今年が豊作なら、行かせてやることもできたろうけどな・・。」

3秒くらい沈黙が続く。

飛鳥「でもまあ、僕はこの生活が好きですよ。三河さんには、ずっとよくしてもらってるし。こうやって、ご飯が食べられるのだって・・」
三河「そうか・・お前は偉いな。俺はこの年頃の時、遊んでばっかりだったよ・・。」

飛鳥、愛想笑い。


シーン5【畑】

久子と例の男、どこかに腰掛けている。
二人とも黙っていて、ものすごく空気が重い。男が重い口を開く。

男「久子様、今まで、何があったのです?」

久子、黙っている。

男「なぜ黙っておられるのです。みんなあなた様のことを心配して・・」
久子「ギン。」(ものすごい圧で)

男(名前はギン)、圧に負けて黙ってしまう。

久子「東京に戻るつもりはありません。」
久子「私がそこを去ったのは、息子を争いから遠ざけるためです。」

ギン、少し失望した表情。

久子「帰りなさい。今すぐ。」

久子の鋭い眼差し。ギン、諦めの表情。

ギン「わかりました。本部に伝えておきます。」

ギン、立ち上がり、久子に一礼をして、去っていく。
久子の切ない表情。


シーン6【夕方・畑】

綺麗な夕陽

三河「はいよ、これが今日の分。気をつけて帰れよ。」(久子、日給を渡される。)
飛鳥と久子「ありがとうございました。」

飛鳥と久子、畑を後にする。


シーン7【夜・帰り道】

2人が並んで帰っている。

飛鳥「母さん、今日訪ねてきた人、誰?」
久子「・・ただの知り合いよ・・。」
飛鳥「そう・・」

4秒間の沈黙。妙にぐったりしている久子。

飛鳥「やっぱり、母さんは別の仕事探しなよ。この歳で肉体労働、きついでしょ?」
久子「・・そんなこと言ってられない。1日三食も出してくれるのは、あそこしかないんだから・・」
飛鳥「・・・」
飛鳥「父さんが、いてくれたらな・・。」
久子「・・・」

すると久子、何かに気付いてハッとする。
飛鳥、久子の様子がおかしいのに気づく。

飛鳥「母さん、どうしたの?」
久子「飛鳥、あちらへ逃げなさい!」
飛鳥「えっ?」
久子「決して戻ってきてはいけませんよ・・!」

久子、そういうなり、走ってどこかへ行く。

飛鳥「ああっ、」


しばらくすると、遠くから久子の呻き声が聞こえる。

飛鳥「母さん!?」

飛鳥、たまらず久子の走った方向へ。


〈公園〉

飛鳥が公園に入ると、驚きの光景を目にする。
久子が、トカゲの姿をした化け物に殺されている。

飛鳥「母さん!!」

化け物、飛鳥に気づく。
と、ゆっくりと近寄ってくる。
恐れ慄く飛鳥。
化け物、走って向かってくる。

飛鳥「うわぁぁぁ!」

すると次の瞬間、飛鳥の体に閃光が走る。目が眩んでよろよろする化け物。閃光が止む。
飛鳥、ふと我に帰る。
足元を見ると、自分の踏んでいる地面に、ぴったり恐竜の足跡のようなものがある。

飛鳥「なにが・・なにが起こったんだ・・」

しばらく息を切らしている飛鳥、そして、ふと倒れている久子に気づく。

飛鳥「母さん、母さん、母さん!」(揺さぶりながら)

飛鳥、抱き抱えた右手に、血がついているのに気づく。

飛鳥「そんな・・」
服部「飛鳥君。」

飛鳥、びっくりして声の方を振り向く。

飛鳥「な、なんで僕の名前を・・」
飛鳥「いったいどういうことなんだ・・どういうことなんだよこれは!!」

飛鳥、完全に気が動転する。

服部「飛鳥君、落ち着くんだ!落ち着け!落ち着け!」(飛鳥の体を揺さぶる)

飛鳥、少し落ち着く。

服部の真剣な眼差し。
ふと、野次馬が少し集まっているのに気づく。

服部「場所を変えよう。ここにいたら怪しまれる。さあ、立つんだ。」

飛鳥、服部に腕を掴まれて立ち上がる。

服部「行くぞ。」

服部、飛鳥を引き連れて公園の外に出る。


シーン8【夜中・山奥】

携帯式の照明の周りに、飛鳥と服部が腰を下ろしている。

服部「まず、君に謝らなければならない。君のお母さんを、助けることができなかった。本当に、すまない。」

飛鳥、相変わらず疲弊している。
飛鳥、重い口を開く。

飛鳥「あなた・・一体誰なんです?なんで僕の名前を・・」

服部、少し考えて、口を開く。

服部「私は、服部明。君のご両親と、知り合いだったんだ。もう二十年くらい前のことか。君のお母さんは、子供を孕っていたが、まさかこんな形で会うとは・・。」
服部「飛鳥君。私は君を探していたんだ。今から大切な話をする。全て本当の話だ。落ち着いて聞いてくれ。」

服部の真剣な眼差し。
飛鳥、緊張を隠せない。

服部「まず、君を襲った化け物について。」

ーー ここから説明シーン ーー

服部「人類が誕生するはるか昔、この地球を支配していたのは、恐竜たちだった。」

恐竜の映像(NHKアーカイブスからもってくる)
巨大隕石衝突の映像。

服部「しかし6500万年前、小惑星の衝突によって、恐竜は絶滅した。」

服部「だが、その全てが滅びたわけではなかった。」

トカゲ族の映像。

服部「一部の恐竜たちは、独自の進化を遂げ、現在まで生き延びている。それが、君を襲った化け物、トカゲ族だ。」

ーー 説明シーン終わり ーー

服部「その存在にいち早く気づいた我々は、奴らと戦うことを決意した。君のお父さんも、その1人だったんだよ。」
飛鳥「知らなかったな・・。それで、父に一体何が?」
服部「・・・」(回答に悩む)
飛鳥「・・そっか、殺されたんだな・・。」
服部「・・ああ。君のお母さんを庇うようにしてな。しかし奴らは、一度狙った獲物は逃がさない。だからここまで追ってきた。」
飛鳥「・・・」(悔しそうに)

飛鳥「服部さん、僕にも、戦わせてください。」

服部、少し驚いた表情。

飛鳥「僕はすべてを失ってしまった。父さんも母さんも、奴らに殺されたんだ。これで何もしないなんて
・・。」

服部、どこか確信めいた表情。

服部「いいだろう。というより、私は君にそれを頼みにきたんだ。よろしく、飛鳥君。」(握手の手を差し出しながら)

飛鳥、服部の手を見る。
そして、かたく握手をする。

すると、どこからかサイレンの音が鳴る。

服部「飛鳥君、そろそろ行こうか。」
飛鳥「えっ、、警察にですか?」
服部「違う。我々の基地にだ。仲間たちが君を待っている。」(ドライバーを取り出しながら)

服部、ドライバーを装着。少し戸惑う飛鳥。

服部「変身!」

服部、メイガに変身。飛鳥の方へ行き、その腕を掴む。

飛鳥「えっ、ちょっと、、」

すると、メイガの大跳躍。

飛鳥「うわぁっ!」

次の瞬間、メイガの背中に翼が生え、空高く飛ぶ。

飛鳥「えっ、今どういう状況なんですか?」
服部「言ってなかったが、我々の基地は東京にある。」
飛鳥「東京!?」
服部「ああ、そこまでひとっ飛びだ。しっかり掴まるように。」
飛鳥「は、はぁ、」

メイガと飛鳥、夜空を東に向かって飛んでいく。


シーン9【トカゲ族のアジト】

〜 フェードイン 〜

薄暗い部屋に照明一つ。

トカゲ族四天王の、ニシキ(40歳男性)、オサフネ(39歳男性)、アコダ(41歳男性)マサ(40歳男性)が、輪になって座っている。

ニシキ「たった今、偵察から連絡が来た。どうも、息子をやれなかったらしい。」
オサフネ「やれなかった?なぜ・・」
ニシキ「我らが思う以上に、息子は、冴島飛鳥は強い力を持ってる。そういうことだ。」
アコダ「フン!一人雑兵を倒したくらいで・・それで今、奴はどこに?」
ニシキ「さあ・・」

すると、ニシキのスマホが鳴る。
ニシキ、スマホを開く。スマホの画面には、「金色に光る謎の飛行物体、西日本上空で目撃情報相次ぐ」の速報記事が。

ニシキ「これは、奴だな・・」

ニシキの不敵な笑み

ニシキ「いいことを知った、作戦を立てるぞ。」

ニシキの鋭い眼差し。


〜 暗転 〜


シーン10【翌朝・青年兵団の基地】

〜 明天 〜

〈飛鳥の寝室〉

東京を包む朝日。

飛鳥、ベッドで寝ている。と、「んん、」と言って目を覚ます。

祐希「おはよ!」

飛鳥、急な挨拶にびっくりする。見ると、挨拶をしてきた少女・祐希(18歳女性)がこちらを見ている。飛鳥、ゆっくり起き上がる。

飛鳥「・・ああ、おはよう、、。えっと、ここは、いったい、?」
祐希「え?ああ、ずっと気絶してたもんね。」
飛鳥「気絶?」
祐希「うん。昨日の夜、服部さんに連れてこられたでしょ?そのときにはもう意識なかったよ。」
飛鳥「・・そうなんだ、、。」(戸惑う)
祐希「はじめまして。私は葵祐希。よろしくね!」(握手の手を差し出しながら)
飛鳥「あ、、冴島飛鳥です、よろしく、、。」

祐希の笑顔。飛鳥、戸惑いながらも、最終的には笑顔。


〈基地の司令部〉

飛鳥、祐希に先導されて入ってくる。

祐希「みんなおはよー」
仲田(20歳男性)「おお、祐希ちゃんおはよう。あれ、もしかしてその子って、」(隊員の水川と共に飛鳥へ近寄りながら)
祐希「そうそう。今日からここで暮らすことになった、飛鳥くん。」
飛鳥「あっ、冴島飛鳥です。よろしくお願いします。」
仲田「こちらこそよろしくね。僕は仲田篤胤。」
水川「俺は、水川旭。」

飛鳥、ふと周りを見る。挨拶を交わした人以外、誰もいない。

飛鳥「意外と、ここにいる人少ないんだね。」
祐希「あ、いや、ほんとはもっと30人くらいいるんだけど、みんな仕事に出てるから。やっぱ、お金がないとできないしね、こういうこと。」
飛鳥「そこは意外と現実的なんだね。」
祐希「よく言われる笑」

みんな少し笑う。仲田と水川、持ち場に戻る。

飛鳥「あ、そういえば、服部さんは?」
祐希「なんか今ね、体調崩してる。もともとあんま体強くないし、昨日長時間飛んでたから、疲れてるんじゃない?」

〈服部の寝室〉

寝込んでいる服部。(冷えピタをつけている)

〈司令部〉

祐希「そのかわり、今日は服部さんのかわりに、私がいろいろ教えてあげる。」
飛鳥「そっか、ありがと」
祐希「まず、飛鳥くんは戦闘員がやりたいんだよね?」
飛鳥「戦闘員・・そうだね。」
祐希「じゃあ、まずはドライバーの使い方から覚えよっか。」
飛鳥「ドライバー、、?」

祐希、そういうなり、練習用ドライバーを探す。しかし、なかなか見つからない。

祐希「あれ、どこしまったっけな、最近使ってなかったからな、えっと、、」

飛鳥、少し困惑した表情。そして、ふと二本のドライバーが置かれているのに気づく。ドライバーは、コードかなんかに繋がれて、水槽っぽいやつの中にある。

飛鳥「葵さん、これじゃない?」
祐希「ん?ああ、これは服部さんのドライバーだから、威力が強くて練習用には向かないかも。右がよく使うやつで、今整備してる。左は、まだ試作品だね。」(ベルトを写す)
飛鳥「そっか、じゃあひとまず、これ使ってみるよ。」
祐希「えっ?」(手を止める)

祐希、呆気にとられた表情。場の視線が一斉に飛鳥に向く。

飛鳥「え、なんか僕、変なこと言った?」
祐希「え、ちょっと待って、飛鳥くんもしかして、ポンコツ?笑」
飛鳥「えっ、なんで?笑」
祐希「え、だって私、練習用には向かないって言ったじゃん笑笑」
飛鳥「あー!そうだった!笑笑ごめん、、」
祐希「いやいや、いいんだけど笑」

みんな笑って、少し場が和む。
飛鳥の笑顔。

だが、窓の外に、遠く離れたところから基地の中を見張っているものがいる。


シーン11【基地の外】

男(トカゲ族)が双眼鏡で見張っているところに、ニシキがやってくる。

ニシキ「タク、何か変わったことはないか。」
タク(男)「いえ、特に何も。」
ニシキ「そうか・・」
タク「しかし、なんとも大胆な作戦ですな。いきなり敵の本拠地を攻めるとは。」
ニシキ「昨晩長時間の飛行で、服部も、そして奴の『ドライバー』とやらも、完全に疲れ切っている。それに加えて、敵の戦闘員たちも、今は一人もいない。奴の首を取るなら今しかない。」
タク「なるほど・・」(少し感心してる)

ニシキ、ほくそ笑む。

ニシキ「善は急げだ。部隊を動かせ。」
ニシキ「直ちに攻撃を開始する。」(口元を映す)


シーン12【青年兵団の基地】

祐希が飛鳥にドライバーの使い方を教えている。

祐希「これを差し込んで、このボタンを押す。わかった?」
飛鳥「うん。」

すると、どこからかコンクリートが砕ける激しい音がする。驚く一同。

祐希「えっ、何今の?」

仲田、急いでPCで監視カメラにアクセスする。すると、トカゲ族が基地に侵入する様子が映し出される。驚く仲田。

仲田「てっ、敵が来た!敵が基地の中に・・!」
水川「なに!?」

恐れ慄く一同。

水川「ひ、ひとまず、ここにくるのを防がなければ・・!祐希、ドライバーを持って行くぞ!」
祐希「わかった!」

水川、祐希、壁にかけてある普通のドライバーを持って、司令部を後にする。


シーン13【基地の長い廊下】

突き当たったところに、トカゲ族の部隊が大勢いて驚く水川と祐希(距離はある程度ある)。

水川と祐希「変身!」

水川、祐希、ディノSDをドライバーに差し込み、ボタンを押して変身。装甲を身に纏う。トカゲ族、水川と祐希、戦闘開始。一対一なら引けを取らないものの、敵の数が多い。

〈司令部〉

仲田、PCで水川と祐希の様子を見ている。


〈廊下〉

水川、祐希、戦闘中。

水川「だめだ!敵の数が多すぎる!」

水川、次第に劣勢になり、トカゲ族の一人に奥に突き飛ばされる。

祐希「水川くん!」(後ろの水川の方を向いて)

祐希、前を向いた次の瞬間、トカゲ族の男の一撃が、下腹部のドライバーに直撃する。
祐希、変身強制解除。

水川「祐希!」

祐希、恐れ慄いて腰が抜ける。

〈司令部〉

水川(PC越し)「祐希!」
仲田「そんな、どうすれば・・」

飛鳥、戦慄する。ふと、例の試作品のドライバーを見る。
飛鳥、覚悟を決めた表情。
飛鳥、突然そのドライバーを持って、戦場へ向かおうとする。

仲田「まって!なにするつもり!?」(飛鳥の腕を掴みながら)
飛鳥「僕が助けに行きます!」
仲田「これは試作品だよ!それに君はまだ・・」
飛鳥「動くなら大丈夫です!行ってきます!」(振り解きながら)

仲田「飛鳥君!」


シーン14【廊下】

祐希、トカゲ族の男に追い詰められている。恐れ慄く祐希の表情。

水川「祐希・・!」(苦しそうに)

トカゲ族、とどめを刺そうとする。

飛鳥「待て!」

トカゲ族たち、一斉に声の方を見る。飛鳥が立っている。飛鳥の真剣な表情。

祐希「飛鳥くん!」

飛鳥(既にベルトを装着している)、ディノSDをドライバーに差し込む。変身待機音。

飛鳥「変身!」

飛鳥、ドライバー横のボタンを押す。変身シークエンスを経て、変身。獣脚機動セイガとなる。

トカゲ族たち、セイガを襲ってくる。
セイガ、武器のセイガブレイドを起動し、見栄を切り、多数の敵と戦闘開始。セイガの一騎当千。(と言っても余裕ではなく、必死な戦いぶり)
驚く祐希と水川。
セイガ、廊下を抜けて、開けた倉庫のような場所に行く。


シーン15【開けた倉庫のような場所】

セイガ、走って入場。
セイガ、ひとしきり敵を倒し、少し息が切れてる。

マサ「貴様!」

セイガ、ふと声の方を振り向く。男は、トカゲ族四天王のマサ。(人間態)

セイガ「あなた、誰なんです・・?」
マサ「ふざけるな!おのれぇ、よくも我が兵士たちを・・!」
セイガ「えっ?」

マサ、恐竜態に変身。爪の長いテリジノサウルスに酷似した姿になる。
セイガ、驚きを隠せない。

セイガ「なんで?人間が化け物に・・」

マサ、声を上げて襲ってくる。
セイガとマサ、なし崩しに戦闘開始。
セイガ、戸惑いのせいで、マサに苦戦を強いられる。
セイガ、マサに突き飛ばされる。
セイガ、立ち上がろうとするも、激しく体力を消耗して体が動かない。

マサ「貴様もその程度だな。」(セイガにジリジリ詰め寄りながら)

セイガの窮地。
マサ、セイガの元へ走って向かい、とどめを刺そうとする。

セイガ「うわぁぁぁ!!」

すると次の瞬間、マサが「ウッ!」と言う。見ると、セイガブレイドがマサの腹に突き刺さっている。セイガは、マサの腹に向かって、真っ直ぐ剣を持った右手を伸ばしている。

セイガ「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

セイガ、剣を両手で持ち、マサの腹をさらに深くえぐる。悶え苦しむマサ。息絶え絶えのセイガ。

マサ「ト、トカゲ族・・」

セイガ、驚いて顔を上げる。

マサ「トカゲ族、万歳!!」

すると、マサの体が爆発する。セイガ、爆風で飛ばされ、地面に転がる。爆発が収まる。
セイガ、よろよろと立ち上がる。もう敵は跡形もなく残っていない。

セイガ「トカゲ族、万歳・・」(化け物の言葉に思えなくて)

飛鳥(語り)「今思えば、これが全ての始まりだった。これから続く、長く苦しい戦い。その先に待つ驚愕の真実を、この時はまだ、知るよしもなかった・・。」

セイガ、恐ろしくて手が震える様子。

その様子を、寝込んでいるはずの服部が遠くから見ている。服部の意味深な真顔。


第一話・完

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