獣脚機動セイガ・第二話「勇敢な戦士」

シーン1【開けた倉庫のような場所】

(第一話シーン15の続き)

セイガブレイドがマサの腹に突き刺さっている。セイガは、マサの腹に向かって、真っ直ぐ剣を持った右手を伸ばしている。

セイガ「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

セイガ、剣を両手で持ち、マサの腹をさらに深くえぐる。悶え苦しむマサ。息絶え絶えのセイガ。

マサ「ト、トカゲ族・・」

セイガ、驚いて顔を上げる。

マサ「トカゲ族、万歳!!」

すると、マサの体が爆発する。セイガ、爆風で飛ばされ、地面に転がる。爆発が収まる。
セイガ、よろよろと立ち上がる。もう敵は跡形もなく残っていない。

セイガ「トカゲ族、万歳・・」(化け物の言葉に思えなくて)


〈倉庫の外から〉

ニシキ、口惜しそうにセイガの方を見ている。

ニシキ「馬鹿な、まさかここまで強いとは・・」

ニシキ、後ろに控えている自分の部隊の方を振り向く。

ニシキ「作戦は失敗だ。引き上げるぞ。」(セイガに気づかれないようなボリュームの声で)

トカゲ族の部隊、ゾロゾロと引き上げていく。


シーン2

オープニング


シーン3【その日の夜・基地の会議室】

服部、司令部のメンバーと、仕事から帰ってきた他の隊員たちの前で、話をしている。飛鳥ももちろんいるが、飛鳥はどこか元気なさげ。

服部「みんな聞いてくれ。今晩、戦闘員も含めみんなに、こうして集まってもらったのは、他でもない。今日午前10時半ごろ、この基地に、トカゲ族の部隊が襲撃してきた件についてだ。」
服部「まず、私はみんなに謝らなければならない。私が昨晩空を飛んでいたことが、やつらにばれてしまったらしい。警戒を怠ってしまい、本当に申し訳ない・・」

場が少し重い空気になる。そんな中、祐希が口を開く。

祐希「でもまあ、よかったじゃない。敵は飛鳥くんがやっつけてくれたんだし。その飛鳥くんを連れてきたの、服部さんだし。」(少し明るくしようと思って)
服部「まあ、そうだな。飛鳥くん、君がいなければ、今頃この基地は・・。本当にありがとう。」
飛鳥「いえ、大丈夫です、。服部さんこそ、体調の方は?」
服部「ああ、私は大丈夫だ。それに、ドライバーの方も、もう少しで治る。今晩全て終わらせるつもりだ。」(途中からドライバーを映す)

服部「ともかく、こちらに新たな戦力が加わったことで、敵も何かしらのアクションを起こしてくるだろう。各自、警戒を強めてくれ。いいな?」
隊員たち「はい!」
服部「それでは、解散しよう。もう夜も遅いので、早めに寝るように。以上。」

隊員たち、解散する。
飛鳥、服部に何か話しかけようとする。

吉川「冴島くん」

飛鳥、隣にいた戦闘員・吉川基弘(19歳男性)に呼び止められ、タイミングを逃す。

吉川「君、すごいね。ドライバーの力があったとはいえ、初戦闘で幹部の一人をやるなんて。」
飛鳥「幹部?なんのこと?」
吉川「えっ、服部さんから聞いてないの?トカゲ族には、通常の何倍も強い幹部が四人いる。そのうちの一人を、君が倒したんだよ。」
飛鳥「ああ、そうなんだ。」(初耳すぎて戸惑う)
吉川「なんかリアクション薄いね笑。まあいいや。僕は、吉川基弘。よろしく!」(握手の手を差し出す)
飛鳥「よ、よろしく」

吉川、飛鳥、握手を交わす。

飛鳥「あれ?服部さんは?」
吉川「司令部じゃない?あそこでいつも作業してるよ。」
飛鳥「そうか、ありがとう」

飛鳥、会議室を後にする。


シーン4【司令部】

誰もいない中、服部がメイガのドライバーを治している。
そこに、飛鳥が扉を開けて入ってくる。

飛鳥「あの、一つ、聞きたいことがあるんですけど、」
服部「ん?どうした?」(作業しながら)
飛鳥「トカゲ族は、何のために人を襲うんですか?」
服部「何のため、、それはつまり、どういうことかな?」
飛鳥「正直、僕はトカゲ族のこと、もっと野蛮で、理性のない化け物だと思ってました。でも、今日初めて戦ってみて、何か違うと感じたんです。なんだろう、もっと戦略的で、何か一つ、明確な目的のために戦っているような・・」

服部、作業を中断し、飛鳥の方を向く。真剣な表情。

服部「トカゲ族の目的は、人類を滅ぼすことだ。」
飛鳥「人類を、滅ぼす、」
服部「ああ。奴らは恐竜から進化したという話を、前にもしたことがあるだろう。恐竜はその昔、地球上を支配していた。だから奴らもそれを目指している。」
飛鳥「そうだったのか・・」
服部「それに飛鳥君、君は一つ誤解をしている。」
飛鳥「誤解?」
服部「例え目的のためでも、人を殺した時点で野蛮で理性などない。奴らに同情するなどもってのほか。違うかな。」(少し語気を強める)
飛鳥「・・」(何か言いたいけど言葉が出ない)
服部「まあ、大事なのは、迷いためらわないことだ。(時計を見て)もうこんな遅い時間だ。君は早く寝なさい。」

飛鳥、どうも腑に落ちないといった表情。

飛鳥「わかりました。おやすみなさい。」
服部「おやすみ。」

飛鳥、司令部を後にする。


シーン5【同じ頃、トカゲ族のアジト】

トカゲ族四天王(今となっては三人衆)の三人。
アコダ、部下からの犠牲者の報告書を読んでいる。

アコダ「(手を震わせながら)くそう、なんと無様なぁっ!」

アコダ、怒りを堪えきれず、机を叩く。

ニシキ「落ち着け、アコダ。我々も手は尽くした。」
アコダ「落ち着いていられるかァ!犠牲者が山ほど出たうえに、マサまでもを失ったんだぞ!」
ニシキ「でも収穫がなかったわけではない。むしろ、これでやるべきことがはっきりした気もする。」
オサフネ「やるべきこと?」

ニシキ、不敵の笑み。

ニシキ「冴島飛鳥を味方につける。」

オサフネ、アコダ、驚く。

アコダ「何を言っておるのだ貴様!?奴は我らの仲間を・・」
ニシキ「(食い気味で)戦いに私情を挟むのはよろしくないな!」

アコダ、滅多に大声を出さないニシキの大声に少しびびる。

ニシキ「アコダ、ここはぐっと堪えろ。感情的になれば、より多くの兵を失うことになる。貴様にもそのくらいのことはわかるだろう。」

アコダ、悔しいけど言い返せない。(少し感心もしている)

オサフネ「なるほど。でも、どうやって味方につけるというのだ?」
ニシキ「私に策がある。」

にやっとするニシキの口元。
会議はしばらく続く。

〜 フェードアウト 〜


シーン6【昼・飛鳥の寝室】

〜 フェードイン 〜

トカゲ族万歳のくだりが、夢にも出てくる。
飛鳥、マサが爆発するところで、はっと目が覚める。
飛鳥、時計を見ると、11時になってる。
飛鳥、ベッドから起き上がり、カーテンを開ける。


シーン7【昼・広い自然公園】

外から様子を見づらい自然公園の広場。
人々が和気藹々と過ごしている。
ボール遊びをしている若い衆五人を、物陰からトカゲ族(恐竜態)が狙っている。
若い衆の一人(Aさん)が、ボールをどこかに飛ばす。若い衆のBさんが、それを拾いに行く。
Bさん、ボールを拾い、顔を上げたその時、トカゲ族と目が合う。

Bさん「えっ」

トカゲ族、Bさんに襲いかかる。
Bさん、呻き声をあげながら、トカゲ族に喰われてしまう。
他の若い衆、それを見て逃げる。若い衆以外の周りの人たちも、それを見て逃げる。すると、トカゲ族が全てで四体でてきて、手当たり次第に人々を襲う。悲鳴を上げ、逃げまどう人々。


シーン7【都内某所】

吉川基弘と、その同僚が、ご飯屋さんを探して二人で話しながら歩いている。
すると吉川、何かを感じる。
同僚、様子がおかしいと感じて吉川の方を見る。

同僚「おい、どうしたんだ?」
吉川「あっ、ごめん、用事思い出しちゃって、ちょっと行ってくる!」
同僚「え?おい、ちょっと!」

吉川、走り去る。


シーン8【例の自然公園】

吉川、広場に走って入り、トカゲ族の蛮行を目撃する。
吉川、トランシーバー的な何かを出す。

〈司令部〉 

祐希、仲田、水川、服部がいる。
飛鳥は昼食を食べている。

吉川(声のみ)「司令部、こちら吉川基弘。応答せよ。司令部、こちら吉川基弘。」
服部「どうした?」
吉川(声のみ)「沼川自然公園にて、トカゲ族四体確認。奴ら一般人を襲っている模様!」
服部「なに?」

飛鳥、祐希、仲田、水川、驚く。

服部「どういうことなんだ・・。ひとまず変身して、時間稼ぎできるか?」
吉川(声のみ)「どうでしょう。少し数が多いかと。」
服部「わかった。こちらからは、飛鳥君をそっちへ向かわせる。君も近くにいる戦闘員に助けを求めるんだ。」
吉川(声のみ)「わかりました!」

服部、通信を切る。

服部「飛鳥君、今すぐ準備をして出るんだ!」
飛鳥「え、あ、はい!わかりました!」(フライドチキンを素手で食べているのを置いて)

飛鳥、走って外へ向かう、と思われたが、なぜか水道の水が出る音がする。服部が見ると、飛鳥が蛇口で手を洗っている。

服部「何故今手を洗う!?」(飛鳥の手首を掴んで)
飛鳥「え、ああ!そっか!すみません!」

服部、飛鳥の手を必死で拭く。

服部「(だいたい拭いて)ほら、行ってきなさい!」
飛鳥「はい!」

飛鳥、司令部を後にする。
祐希、仲田、水川、お互い顔を見合わせてちょっとクスッと笑う。


シーン9【自然公園】

トカゲ族の四体、人々を襲っている。
親子連れが逃げている時、子供がこけてしまう。母親、子供の名前を叫ぶ。トカゲ族、それを見逃さず、子供を食べようとする。
すると間一髪で、吉川のドロップキックが入る。

吉川「逃げて!」

トカゲ族が立ち上がり、吉川と戦闘開始かと思われたが、吉川が見栄を切ると、トカゲ族はめちゃくちゃ逃げ回る。

吉川「おい、待て!」

吉川、追おうとするも、トカゲ族の逃げ足が早く、見失ってしまう。

戦闘員二人「吉川!」

戦闘員二人、走って吉川の元へ。

戦闘員A「奴らはどこへ?」
吉川「見失った。僕が現れたら、奴ら一目散に逃げた。一体なにを考えてるんだ・・」

???「ハッハッハッハッハッ」

戦闘員たち、声の方を振り向く。

吉川「お前は・・!」

吉川が見た方には、ニシキがいる。

ニシキ「まんまとここに来てくれたな。」
戦闘員B「な、何のつもりだ・・!」
ニシキ「(薄ら笑い)まあ、貴様らの知ることではない。」

ニシキ、恐竜態に変身。トリケラトプスに酷似した姿になる。
身構える三人の戦闘員。すると、後ろの気配に気づく。後ろには、オサフネとアコダが。
オサフネ、アコダ、変身。それぞれ、オサフネはアンキロサウルス、アコダはステゴサウルスに酷似した姿になる。

吉川「そんな、幹部の三人がなぜ・・!」

トカゲ族三人衆が襲いかかってきたことで、なし崩し的に戦闘開始。戦闘員三人、圧倒的な苦戦を強いられる。

そこに、遅れて飛鳥が駆けつける。
飛鳥、苦戦を強いられてる仲間に気づく。
飛鳥、トランシーバー的な何かを出す。

飛鳥「服部さん、服部さん!」
服部(声のみ)「どうした!」
飛鳥「今すごく味方が苦戦しています。念のため服部さんもお願いします!」
服部(声のみ)「敵は誰なんだ?」
飛鳥「えーっと、あっ、幹部です!幹部が三人!」
服部(声のみ)「わかった、直ちに向かう!」

飛鳥、通信を切り、戦場へ向かう。

吉川、ニシキに圧倒されている。すると、ドライバーを壊され、変身が解除してしまう。

戦闘員AとB「吉川!」

戦闘員AとBにも、人を気遣う余裕はなく、アコダとオサフネにコテンパンにやられている。

トカゲ族、飛鳥の気配に気づき、そちらを見る。

飛鳥、ディノSDをドライバーに差し込む。変身待機音。

飛鳥「変身!」

飛鳥、ドライバーのボタンを押して変身。セイガになる。走って仲間たちのもとへ向かう。
アコダ、オサフネ、セイガと交戦すべく、走って向かう。

セイガとアコダ&オサフネ、戦闘開始。2対1であることに加え、戦闘員三人のことが気になるので、飛鳥が苦戦を強いられる。
飛鳥、まもなくオサフネに後ろから羽交い締めにされ、アコダの正面攻撃をかろうじて防ぎ、競り合い(押し合い)の状態になり、身動きが取れなくなる。

飛鳥「!」

飛鳥、ニシキが吉川にゆっくり近づくのがわかる。
コテンパンにやられて体が動かない吉川。
すると、ニシキが吉川の首を掴んで持ち上げる。

飛鳥「やめろ!!」

吉川を自分の頭の高さより上に持ち上げるニシキ。呻き苦しむ吉川。
飛鳥、助けに行きたくても、身動きがとれない。
すると、吉川の体がドクン、ドクンと脈打つ。

飛鳥「えっ?」

脈を打つ音は次第に激しくなる。

吉川「うわぁぁぁぁァ!!!」

次の瞬間、吉川がトカゲの姿をした化け物に変身する。

飛鳥「そんな・・まさか・・!」

ニシキ、吉川の首の骨を折り、吉川を地面に叩きつける。トカゲの姿のまま絶命した吉川。

あまりの衝撃に、あまり力が入らなくなった飛鳥。すると、それを察知したアコダが、飛鳥の腹部に一撃を加える。そして、羽交い締めにしていたオサフネは、飛鳥を投げ飛ばす。倒れ転がる飛鳥。
セイガ、よろよろと立ち上がる。

ニシキ「冴島飛鳥様。」

セイガ、フルネームで呼ばれて驚く。

ニシキ「忠告です。あなたは服部に騙されている。」

明らかに動揺するセイガ。
すると、トカゲ族幹部三人衆、目配せをして、大跳躍で去っていく。
セイガ、呆然と立ち尽くす。ふと、戦闘員二人が気になる。
セイガ、変身解除。戦闘員二人のもとへ向かう。

飛鳥「大丈夫ですか!?」(戦闘員AとBを起こす)

起きた戦闘員AとB、トカゲの姿のまま死んだ吉川に気づく。

戦闘員A「吉川・・?おい!吉川!」

戦闘員AとB、吉川の死骸を揺さぶる。

戦闘員B「嘘だろ?なにもこんな姿で・・!」

戦闘員AとB、吉川の死骸のそばで男泣きする。

飛鳥「そんな・・この人も、トカゲ族・・!?」

戦闘員AとB、飛鳥の方を見る。

戦闘員A「(飛鳥の両肩を掴んで)お前、なに言ってんだよ!俺たちはトカゲ族だろ?だからお前もここにきたんだろ?」(半分気が動転してる)

飛鳥、愕然として、恐ろしくなる。

そこへ、メイガ(服部)が空からやってくる。

戦闘員AとB「服部さん!」

戦闘員AとB、メイガの元へ。

メイガ「なにがあった!」
戦闘員B「大変なんです・・。吉川が、吉川が・・」(泣き崩れる)

メイガ、吉川の死骸を確認。どんな表情かは、マスクの下だからわからない。
メイガ、飛鳥がこちらを見ているのに気づく。飛鳥の恐れ、でも少し睨むような表情。
飛鳥、再び吉川の死骸に目をやる。大きな口を開けたままの、無残な死骸。


シーン10【夜・基地の廊下】

祐希、廊下の角を曲がろうとする。(吉川の訃報を知っているため、暗い表情。)

飛鳥(声のみ)「服部さん!」

祐希、びっくりして隠れ、二人の様子を覗き見。

飛鳥「あなた、僕に嘘をついてたんですね。この組織に居たのは、人間じゃなかった。」

飛鳥、服部にさらに詰め寄る。

飛鳥「教えてください、服部さん。なんで僕に本当のことを言わなかったんです!」(怒りを滲ませている)

服部、浅いため息をつく。

服部「あの時、私がそれを言ったとして、君はそれを受け止め切れたか?」

飛鳥、感情のピークが少し収まる。

服部「私も迷ったんだ。君に本当のことを言うべきかどうかを。でもそうしたら、君のご両親を殺した存在と、君が同じものだと、そういうことになってしまう。」

飛鳥、俯く。

服部「ご両親と知り合いだったのは本当だ。君のお父さんは、立派な戦士だったよ。だから君にも、その素質があると思った。」
飛鳥「父さん・・」

服部、俯く飛鳥の肩に手を置く。

服部「だからどうか、これからも、我々と共に戦ってくれ。期待してるぞ。飛鳥君。」

飛鳥、顔を上げる。真剣な表情だが、どこかあまり納得いってないようにも見える。

飛鳥「はい。」

服部、それを見てうなずき、去っていく。
飛鳥はまだその場に立っている。

飛鳥「祐希さん。そこにいるんだろう?」

祐希、普通にびっくりする。

祐希「(出てきながら)え、なんでわかったの?」
飛鳥「なんとなく、そんな気がした。」

祐希、納得する。

祐希「飛鳥くんも本格的に、トカゲ族になってきたのね。」
飛鳥「どういうこと?」
祐希「トカゲ族は、自分と同じ種族の匂いを、鼻で感知する能力を持っているの。」
飛鳥「そうなんだ。」

祐希、珍しく暗い顔をする。

祐希「それでね、飛鳥くん。この際だから、あなたに大事な話があるの。」


シーン11【開けた場所】

吉川の火葬が行われている。
隊員は、服部も含め全員参列しており、多くの隊員たちが涙を流している。
吉川の遺体に火がつけられる。
服部、みんなの様子を見る。

服部「みんな、鎮魂歌を歌うぞ。」

服部、指揮棒を取る。指揮を始めると、一同が歌い出す。涙を流しながら歌う参列者たち。
歌声は、以降のシーンでもかぶせて流し続ける。

〈飛鳥の寝室〉(回想)

飛鳥と祐希が並んでベッドに座っている。
祐希、思い詰めながら、言葉を必死に探して話す。

祐希「私たちの親はみんな、敵の組織にいたの。」

飛鳥、少し驚く。

祐希「幹部に殺されるのが怖くて、抜け出したくても、みんな抜け出せなかったらしくて。」
祐希「それで、なんでここにいるかというとね、」
祐希「みんなの事情は詳しく知らないけど、少なくとも、私の親は、、」

祐希、感極まって涙を流す。

祐希「『お前は逃げろ』って、、、私を組織から守ってくれて、、、、お父さんと、、お母さんは、、私の身代わりになって、、、」
祐希「服部さんは、、そんな私を拾ってくれたの、、」

祐希、ここで話すことができないくらい泣き出してしまう。飛鳥、真剣な表情で祐希の背中をさする。

〈葬儀の場所〉

みんなが涙を流しながら歌っている。歌が終わる。
一呼吸おくと、服部が口を開く。

服部「一同、気をつけ!」

その場にいた全隊員が気をつけをする。

服部「勇敢な戦士に、敬礼!」

隊員たち、敬礼をする。揺れる炎を前に、隊員たちはずっと敬礼を続けている。


第二話・完

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